BMW Motorsport
Customer Racing Team

GSR & Studie with TeamUKYO

2013 AUTOBACS SUPER GT
SUPER GT IN KYUSHU 300KM

DRIVER　谷口信輝　片岡龍也

両エースドライバーが力走。連勝で今期2勝目を勝ち取る。

　2013年10月5日・6日の2日間、AUTOBACS SUPER GT 第7戦『SUPER GT IN KYUSHU 300KM RACE』が開催された。前戦FUJI 300KMで遂に今季初勝利を果たし、2戦続けて4号車のコンペティティブな実力を証明したチームの士気はこの第7戦も高く、勝利を勝ち取る為に九州の地に降り立った。

10月5日（土）
練習走行・予選

練習走行
　第7戦の初日は雨のパラつく天候でスタート。悪天候時には濃霧に包まれやすいオートポリスだけに影響も心配されたが、9時スタートの練習走行はスケジュールどおり開催された。

　4号車はまず片岡選手のドライブでコースイン。各コーナーでの無線チェックを終え、本格的に走行を開始したが、強まる雨脚にステアリングを取られた500クラスのマシンがクラッシュするとセッションは赤旗中断に。

　片岡選手はマシンをPITに戻しコースオープンを待ったが、更に強まった雨脚にセッション再開後も走行を見合わせる展開となった。

　練習走行はその後、視界不良の為に再び赤旗中断へ。コースコンディションは回復する事なく、セッションは赤旗中断のまま終了し、14:00に開始が予定されていた公式予選も悪天候及び視界不良の為、翌日に持ち越された。

10月6日（日）
予選・決勝

公式予選
　前日に悪天候と視界不良でキャンセルされた公式予選は、決勝前のフリー走行枠の時間を振り替えて実施。300クラスの公式予選は9:00〜9:25の25分間で行われた。

　担当ドライバーは片岡選手。今回第7戦の公式予選は、時間的制約でノックアウト方式が採用されず、A/B両ドライバーの出走が不必要となった為、谷口選手は本戦前のウォームアップのみ走行した。

　9:00公式予選スタート。ウェット宣言の出ているコース上はドライとウェットのコンディションが混在する状況。片岡選手はアウトラップ後の計測2周目からアタックを開始し、まずはアタック2周目にその時点の4番手タイムを計測。その後、一旦PITにマシンを戻しタイヤ交換を行い再びコースに向かった。再コースイン後の4号車は、アウトラップに続く計測2周目からアタック開始。計測3周目に1'48.906のベストタイムを計測したが、ライバル勢も次々とベストを更新し、4号車は8番手のポジションでこのセッションを終えた。

決勝
　午前から天候が好転しないまま、オートポリスサーキットは決勝の時を迎えた。スタート時間は当初のスケジュールどおり14:00。8番グリッドに着く4号車には片岡選手が乗り込み、決勝の開始時刻を待った。

14:00決勝スタート。
　ローリングラップで隊列を率いていたセーフティーカーがPITロードへ向かい、第7戦の決勝が幕を開けた。

　4号車はコントロールライン通過直後1コーナーへの飛び込みで6番手へ浮上。絶妙なスタートにそのままポジションを上げ続けるかと思われたが、最終コーナーで前のマシンに詰まってしまい、直後にポジションを7番手へ落としてしまう。しかし、続く2周目には2台のマシンをオーバーテイク。ポジションを5番手へと上げた。片岡選手はその後、5周目に10号車のSLSを、7周目には11号車のSLSをパスし、4号車は3位に浮上。レース序盤から素晴らしいパフォーマンスを披露した。

　8周目時点での3位4号車と2位3号車GT-Rとの差は約6.3秒。LAPタイムで勝る4号車はこのギャップを着実に詰め、15周目には0.8秒以下まで前方のマシンを追い詰める。しかし、ストレートスピードに勝るライバルをオーバーテイクするには至らず、片岡選手はその後ルーティンのPIT INまでガマンのレースを強いられる事になった。

　片岡選手はその後、25周目にPITイン。ロスのないPIT作業とドライバー交代を終えた4号車は、谷口選手のドライブでコースに復帰した。4号車がコースに復帰した直後の26周目、それまで2番手を走っていた3号車がルーティンのPITへと向かう。谷口選手が駆る4号車は3号車がコースに復帰する前にPITレーン出口を通過。4号車はこの時点で見かけ上7番手（実質2番手）のポジションに浮上した。28周目に谷口選手は2台のマシンをオーバーテイク。さらに同じタイミングで前方を走っていたマシンがPITへ向かった為、4号車はポジションを4番手へと上げた。

　谷口選手はその後も力強いペースでマシンをドライブ。直接のライバル、TOPを走る50号車がPITへ向かった38周目まで詰め続けたギャップは、ルーティンのPITに関わるロス時間とほぼ同等。このタイミングでのオーバーテイクも可能かと思われたが、タイヤ交換を1本のみに絞った50号車のPIT作業は早く、ここでのポジションアップは果たせなかった。

　TOPでコースに復帰した50号車は4号車に約6秒先行。この時、4号車の見かけ上のポジションは4番手だったが、続く40周目に3番手、41周目には2番手のマシンがPITへ向かい、レースは50号車と4号車の一騎打ちとなった。

　谷口選手はその後も50号車とのギャップを詰め続け、迎えた44周目の1コーナーで遂に50号車をオーバーテイク。

　ファイナルラップまでペースを崩す事無く走りきった4号車は、第6戦に続きTOPチェッカーを受け、チームは今期2勝目を上げた。

■鈴木康昭エントラント代表
　全チームぶっつけ本番という条件の中、こんなにすべてが上手くいったのは運も大きかったけど、チームの総合力の強さが根幹だったんじゃないかなと考えております。昨年のオートポリス戦後はシリーズチャンピオンの可能性がなくなってしまい、非常に寂しく、悔しい思いで最終戦を迎えたというのが、実は心の傷として今まで残っていて、その二の舞だけは踏みたくないと思っていました。しかし、富士の優勝で光明が見えまして、今回の優勝でチャンピオンが現実的になりました。そのチャンピオンに挑戦できる権利を残したまま最終戦を迎えられるというのは何よりもうれしいし、ファンのみなさんをガッカリさせずにすんでほっとしております。今回はとにかく「うれしい」よりも「ほっとした」という気持ちのほうが大きくて、腰が抜けた状態ですね（笑）。ファンの方々の夢を最終戦まで繋げられてよかったです。

■大橋逸夫監督
　今回は作戦というよりは、タイヤとかほかのクルマのシチュエーションとか、いろんな要因があっての勝利だったんじゃないかと思います。結果的には2位以下に大差をつけていましたが、あれは特に狙っていたわけではないですし、ドライバーとチームとクルマとタイヤ、すべてが良かったですね。朝の予選で、時間がない中でセッティングを出して、決勝でもやるべきことをきっちりやれたからこそ得られた勝利ですね。

■片山右京スポーティングディレクター
　本当に良い結果がでて良かったですね。天候が荒れて予選が決勝日にずれたり、そのせいでタイヤを外しているチームもあったりと、総合力での勝利なんだけど、運にもだいぶ助けられましたね。僕だけ厳しい見方になっちゃうけど、こりゃ、次のもてぎはキツいんじゃないかなと。もちろんクルマも鈴鹿1000kmでBMWからステファンやヨルグが来てくれて良くなって、タイヤもバッチリだったし、みんなの集中力も高まってきているけど、だからこそ最終戦は気を引き締めていかないとね。100点のレースって一生のうちでなかなかないので、今回は99点のレースだったんじゃないでしょうか。

■谷口信輝選手
　こんなにうまくいくとは思わなかったですね。周りのチームがタイヤ外したりとかトラブルが起きたりとか、いろんな部分でラッキーだったこともあったけど、ヨコハマが良いタイヤを用意してくれて、スタートの片岡選手が抜きまくってくれて、3位でバトンを渡してくれた。こりゃ行くしかないでしょ！とアウトラップを頑張って、GT-Rの前に出られたから、次は絶対にアストンを捕まえてやる！と気合いを入れて走りました。アストンを抜いたら意外とほかのクルマが来なくて。終わってみればかなり差がついたみたいですね。我々としては最高のレースができましたね。

■片岡龍也選手
　今日の勝因はタイヤが良くて、周りが数周でタレだす中、コンスタントにタイムを刻めたことが大きいですね。あとは序盤に引っかかってしまいそうなクルマを、早い段階でかわせたので、それもラップタイムを維持できた要因ですね。予選はいつものごとく苦しかったけど、チームもドライバーもミスなくこなして、思ったよりもパーフェクトなレースができました。今回はブレーキングもコーナリングも優れていたので、クルマのパフォーマンスを活かすことができたかと思います。