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スーパーGTニュース

投稿日: 2012.06.14 00:00
更新日: 2018.02.16 09:38

GSR & Studie with TeamUKYO、#4が今季初得点


BMW Motorsport
Customer Racing

GSR & Studie with TeamUKYO

2012 AUTOBACS SUPER GT
ROUND3 SEPANG

#0 DRIVER 谷口信輝 片岡龍也
#4 DRIVER番場琢 佐々木雅弘

0号車12位完走
4号車10位完走シーズン初ポイント獲得

 2012年6月9日・10日の2日間、2012 AUTOBACKS SUPER GT シリーズ唯一の海外大会 『SUPER GT INTERNATIONAL SERIES MALAYSIA』 がマレーシアはクアラルンプール近郊の SEPANG INTERNATINALCIRCUIT で開催された。予選は前戦に引き続き SUPER LAP 方式。5月開 催の Rd.2で今シーズン初勝利を飾った0号車は、谷口信輝と片岡龍也がドライブ、4号車は番場 琢と佐々木雅弘がドライブする。

6月9日(土)練習走行・予選 練習走行
 2012年 Rd.3の初日は曇り空。予報どおりいつ雨が降り始めてもおかしくない空の下、土曜日のス ケジュールがスタートした。午前10:00公式練習開始。チームはコースオープン早々に0号車4号車 を立て続けにコースへ送り出す。まずルーティンのメニューを消化した2台は、曇り空の影響で路面温度が上がらない条件下で持ち込んだタイヤを機能させるべく、セットアップの変更を開始。0号車は幾通りかのセットアップを試し、4号車は若干の変更で両マシンとも納得のいくセットアップを確定させ練習走行を終えた。

予選 Q1
 15:30 Q1開始。0号車は B ドライバーの片岡選手が、4号車は A ドライバーの番場選手が Q1を担当 する。いつもの Q1セッションではトラフィックを嫌い、コースインを遅らせるチームだが、今回はセッション 中の降雨を警戒し、0号車・4号車とも Q1開始早々にコースインさせた。まずタイムを出したのは0号 車。アウトラップ後の計測2周目に2分7秒019を記録し、その時点での6番手となる。続く計測3周目、4号車が2分7秒174を記録。8番手に飛び込む。その後、他チームのタイム更新で0・4号車 ともポジションを落としたが、Q1終了時のポジションは0号車が9番手、4号車は10番手。4号車と しては初めて、チームとしてもシーズン初となる2台揃っての SUPER LAP 進出を果たした。

SUPER LAP
 SUPER LAP のアタックは Q1の10番手からのスタートとなる為、300クラス最初のアタックは4号 車だ。今大会が自身初のセパンとなる佐々木選手のドライブで4号車がコースイン。午前の練習走 行では周回を追う毎にタイムを詰め、A ドライバーの番場選手に遜色の無い結果を残した佐々木選 手だけに、チームは不安無く4号車をコースへ送り出す。アウトラップに続く2周目、ライトオンで4号 車計測開始。途中大きなミスを犯さずアタックを終えた佐々木選手のタイムは、2分8秒044。続い て0号車谷口選手がアタックを開始する。谷口選手のタイムは2分6秒833。0号車は7番手、4号車は9番手で SUPER LAP を終えた。

6月10日(日)決勝 天候:晴れ/コース:ドライ
 0号車は7番、4号車は9番ダミー グリッドにつく。0号車は片岡選手、4号車は番場選手がスタートドライバー を務める。16:00、通常より1周多い2周のローリングラップでレースはスタートした。7番手スタートの0号車は1コーナーでの911号車のスピンを処理する際にポジションを落とし1周目8番手でコントロールラインを通過、4号車は11番手で通過する。レース序盤、前2戦の獲得ポイント×2kg=62kg にBOP で今回から増加した20kg の合計82kg のウェイトを積んだ0号車は、 苦しい戦いを余儀なくされるが、片岡選手はタイヤマネージメントを徹底しつつ力走。12周目にポジショ ンを一つ落とし9番手となるが、このタイヤをいたわる走りが今回のキーポイントだけに、無理をせずペ ースをキープ。予定されていた19周目にルーティンの PIT へと向かう。

 一方、番場選手のドライブで9番手からスター トした4号車は、一時そのポジションを14番 手まで落としてしまう。ポジションを一つ取り戻 し13番手で迎えた16周目、コーナー飛び込 みで前を走る27号車のオーバーテイクを狙っ た4号車は、深く飛び込んだ先にいた43号 車と接触。幸い、双方ともダメージは大きくな くレースを続ける事が出来たが、この接触で4号車はドライブスルーペナルティーを受けてしま う。その後、22周目にドライブスルーペナルテ ィーを履行。26周目に再びルーティンの PIT へ 向かい、佐々木選手へバトンを渡した。

 ウェイト増で苦しい戦いを強いられて いた0号車は、このレース、PIT 戦略で 前に出る作戦を選んだ。前日の練習 走行からフィーリングが良く、且つタレ の少ない今回の DRY タイヤに賭け、0号車はルーティンの PIT で給油とドライ バー交代のみを行うタイヤ無交換作 戦を敢行。バトンを受けた谷口選手は PIT 作業を終え16番手でコースへと 復帰した。この時点で0号車の前方に はルーティンの PIT 作業を終えているマ シンはまだ無い。勝機は確実に0号車 の手の中にあった。その後、谷口選手 はタイヤをマネジメントしながら2分10秒台で LAP を重ねる。

 レースも中盤に差し掛かった24〜25周目、前方を走るライバル達が次々に PIT へと向かい始め、0号 車が浮上開始。27周目には5番手、30周目には3番手でコントロールラインを通過する。前方に残る マシンは33号車と2号車の2台のみ。しかも2号車はまだ PIT を終えていない。32周目、2号車が PIT へ向かう。0号車とのギャップは PIT 静止時間+ロスタイム分とほぼ同じ。2号車が前に出るか?0号車がそれをかわすか?非常に微妙なラインだ。だが、PIT レーンから出た2号車はわずかに0号車の 前でコースに復帰する。しかし、同時にタイヤが温まっていない2号車はペースが伸びない。直後の33周目、0号車は好機を逃さず2号車をオーバーテイク。遂に2番手に浮上する。

 この時、佐々木選手がドライブする4号車も着実にそのポジションを上げていた。

 27周目に15番手でコントロールラインを通過した4号車は31周目に12番手、33周目には11番手へ浮上する。ポイント獲得圏まであと一つ。前を行く43号車の姿はまだ見えないが、佐々木選 手と4号車は1周1秒半ずつその間合いを詰め続ける。35周目には4号車のこのレースのベスト タイム2分9秒496を記録した。

 2番手を独走する0号車のペースは、レ ース終盤に差し掛かっても落ちる気振り すら見せない。すぐ後ろ、3番手を走る911号車とのギャップはやや詰まり始め るが、谷口選手は2分10秒台半ばで LAP を続け、レースはいよいよ最終局面 へと向かう。残り2周。2番手0号車と3番手911号車のギャップは3秒774。11番手を走る4号車と10番手43号 車とのギャップは6秒6。このまま行けば0号車は2位チェッカー、4号車は初の ポイント奪取を逃す事になる。どちらのマ シンにとっても正念場だ。

 そして迎えたファイナルラップ。誰 もが今回の表彰台を確信した時、0号車から入った無線でチームに 衝撃が走る。0号車のエンジンが 吹けない。すぐさまチーフエンジニ アから谷口選手へ対処を指示する がマシンの反応は変わらない。残 りわずか1/2周。谷口選手はマシ ンをコース脇に寄せた。 そしてチェッカー。0号車は同一周 回の最後尾の12番手で完走扱い、4号車はそれによって一つポジショ ンを上げ、10位完走初ポイントを 獲得した。

■鈴木康昭エントラント 代表
4号車は初ポイント獲得となりました。 ペナルティ等はありましたが、しぶとく最後まで走り抜いた結果 です。ひとつの階段を登れたレースだったと思います。0号車は、ウェイトハンデもあり、昨日の段階でトップチームとは 明確に早さでは負けていたので、タイヤ無交換という掛けに出 ました。結果、上手くハマって2位を獲得できたかと思ったので すが、ファイナルラップでまさかのストップ。 チーム内でも改善できること、反省点を洗い出して、 気を引き締め直して次に繋げたいと思います。

■大橋逸夫 総監督/0号車監督
0号車のラストのストップについて、前戦の富士で燃費を計算してギリギリのラインで攻め、結果優勝できたことで、燃費計算について自信があったこと、攻めることを優先して慎重さが掛けてしまっていたことに起因すると思います。今考えるとポイントリーダーである現状、タイヤ無交換作戦がはまりそうだったこと等で肝心なところを見逃してしまっていた気がします。4号車はドライブスルーを受けたことなど、初ポイント獲得という結果では ありましたが、まだまだ喜べる状況ではありません。「あせらなくてもチャンスは来る」ということ含め、上 手く指示できなかった責任は僕にあります。前後の差、ラップタイムなど伝え切れていなかったことも理 由だと思います。まだ3戦終えたばかり、運に頼っていてはチャンピオンは取れません。もう一度チームを きちんとまとめていきます。

■片山右京 スポーティングディレクター/4号車監督
我々の車のレースペースを想定して考えた作戦で、タイヤ無交 換という勝負に出た結果2位を走行中、何らかのトラブルで車 が最終ラップで止まってしまいました。 チャレンジした結果なのですが、非常に悔しいです。止まるまで 全て完璧に行っていただけに・・・・。ドライバー達は良くあの厳 しい状況で頑張って走ってくれました。起こってしまった事は仕 方ないですが、この逃がした15ポイントは大きいです。次戦に 向って頑張るしかありません。4号車は接触でペナルティーがあっての結果なので、ポイント獲 得は納得の行く結果ではありませんが、これからのレースに繋 がる走りだったと思います。佐々木選手は他車より速いペース で走れたのでもっと自信を持ってもらえればと思います。 この結果は、ギリギリの状態で戦っている証拠です。これこそレ ースです。気持ちを切り替えて受け止めるしかありません。 引き続き、今後とも皆様の応援を宜しくお願いします。

■谷口信輝 選手
7番グリッドから、片岡選手がスタートし、スタート直後の911ポルシェのスピンをかわしているうちに数台に抜かれ・・・ と、苦しい展開で、我慢の走りを強いられていました。ウェイ トハンデなどもあり速さでは周りに勝てないので、いかにミス せず走るかということと、作戦でなんとかするしかないという 状況でした。予選日の練習走行から、ラップタイムは他のマ シンに敵わないものの、タイヤの摩耗は悪くなさそうだった ので、ひそかに、タイヤ無交換作戦を視野に入れていました。 決勝日は気温がかなり上がったこともあり、スタートドライバ ーを務める片岡選手のフィーリングから、判断にすることに しました。とは言え、レースが始まれば、前車を抜いていくポ テンシャルは無いので、「抜けず抜かれる」の我慢のレースに なるだろうというのが僕たちドライバーの予想でした。早め にドライバーを交代し、コースの空いているところで走ったほ うが効率がいいと考えられることから、片岡選手はショート スティント(18周)で僕がロングスティント(32周)で行く作戦でした。タイヤ交換をすると、4輪で約14秒+アウトラップでのタイヤが冷えているロスタイムが6秒く らいとして、トータル約20秒のロスとなりますが、僕のスティントの約30周で20秒差を取り返すには、 毎周約0.8秒速く走らなくてはなりません。タイヤが新しいうちは速く走れても、その後はペースを保て ない可能性が大きいですし、何より、タイヤ無交換であれば、他のマシンより前に出ることができます。 「トップと20秒差くらいまでだったら、ピットで追いつける!」という確信のもと、ルーティン通り、18周 で片岡選手がピットイン。ポジションも、これ以上下げられない位置だったので、苦肉の策ではありまし たが、「タイヤ無交換作戦」を決行しました。幸いにもこの作戦が当たり、最終ラップまでに2番手まで追 い上げることができました。後続がドンドン追い上げてきているのは知っていましたが、そのまま逃げ切 れる差でした。ところが、最終ラップの3コーナーで燃料が来ない症状が出てしまい、あっという間にスト ップ・・・。とても残念ですが、これもレースです。チームが目一杯攻めた結果ですし、2位のポイント15点が目の前で消えていったのはショックですが、まだチャンピオンが無くなったわけではありません。 今回は、「運」がなかっただけ。実力では、2位になれたことは事実です。必ずチャンピオンを獲ります!

■片岡龍也 選手
ウェイトハンデや今年の勢力図を見ると、自分たちの車は決 して優位ではありませんでした。マシンのセットアップも進めて、 「作戦によってはなんとか戦えるかも」という状況で決勝に挑 みました。最初のアクシデントを避けるために、JAF車両2台 に抜かれてしまったり、その処理に手間取ったり・・・と、展開 としてはよくなかったのですが、クリアになってからはペースも 上げて谷口選手へバトンを渡すことができたと思います。 チームもドライバーもミスなくタイヤ無交換でルーティンのピッ トを終え、その後も最終ラップまでは2位までポジションをアッ プ・・・と、ここまではパーフェクトな展開でしたが、最終的には 燃料系のトラブルでストップとなってしまいました。チャンピオ ンシップを考えると非常に厳しい結果です。 今後も楽な状況ではありませんが、僕たちには「総合力」とい う強みがあります。今回の取りこぼしを補うというのは厳しい かと思いますが、まだチャンピオンシップを争えるところにはい ると思うので、あきらめずに、引き続きリードを作れるようにレ ースを進めていきたいと思います。

■番場琢 選手
作戦では(佐々木選手と距離的に)半々でレースを受け持ち、タイヤ等 の状況でフレキシブルに対応する作戦でした。スタート後、1コーナーの 位置取りはよかったのですが、前方のスピン車両を避けるところでいい 位置を逃してしまいました。その後、27号車とのブレーキング勝負をして いたところで43号車をスピンさせてしまい、ドライブスルーペナルティを受 けてしまいました。ドライブスルーペナルティを巻き返すべく、その後は必 至に追い上げました。第2スティントの佐々木選手は本当に頑張ってくれ たと思います。レース結果から、ポジティブに考えれば「タイム的には全 体的に戦える」という自信を、ネガティブに考えると「もっとレースバトルを 勉強するべき」という課題ができました。一時期、0号車もタイムが落ち てきていましたが、最終的には2位という好位置を走っていました。且つ、0号車はトップ6台のマシンに比べるとタイムが1秒くらい遅いのに、いつもいい位置をキープできています。4号車も、ベストタイム、ラップタイムは0号車と遜色ないタイムが出 せているのですが、タイム的に考えると、(今回のレースで)接触とドライブスルーがなくても8位くらいの 位置であったと考えられます。谷口選手、片岡選手の走りから学び、早く自分のものにしたいです。

■佐々木雅弘 選手
今回、番場選手がQ1でスーパーラップに残り、初のスーパーラップ を担当しました。9番手という結果でしたが、あの時点での僕の出来 る限りの結果だったと思います。予選後から決勝に向けて映像やロ ガーなどをできるだけ解析し、決勝はさらにいい結果が出せるよう準 備をしていましたが、結果を見ると、9秒台で走っている周、11秒台 で走っている周・・・などタイムにもばらつきが見られるので、今後は 更なるマシンコントロールが課題です。前戦までに比べて車もよくな っているし、次戦の菅生、鈴鹿はもっとよくなって今より上を目指せ るはずです。


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