オートポリスが舞台となったスーパーGT第7戦で、GT300クラスの2位を獲得したExe Aston Martin。大躍進を遂げた理由として、ひとりの助っ人メカニックの存在があった……かも!?
その助っ人メカこと弓掛貴明さん、実は中学校の先生なのである。オートポリスから30分ほどの、阿蘇市立阿蘇中学校3年4組の担任だ。毎年、オートポリスで観戦していたスーパーGTながら、「ひょんなことから、アルナージュ・レーシングのお手伝いをすることになりまして」と弓掛先生。
「この期間、ちょうど生徒たちも職場体験学習を行っていまして、『ならば自分も……』と思い立ったのがきっかけなんです」と見る側から一転、参加する側となった訳だが、不思議とツナギに違和感はない。
きっとふだんは技術が担当科目で、着慣れているから……と思いきや、「いえ、ふだんは数学を教えています」とのこと。それはさておき、先生が手にしているのは『道標』というタイトルの学級通信。その中で生徒たちに観戦を勧めているものの、「近頃の子供たちはクルマ離れがねぇ……」とリアクションは薄かったらしい。
とはいえ、弓掛先生が初めて内側からレースを経験して、伝えられる魅力は倍増しているはず。ましてや今季最上位の2位という結果を得て、「先生もっていますね。来年もまた来て、って言われますよ」と告げると、「いやいや、私なんて……」と語りながらも、その表情は笑顔に満ちていた。
きっと朝一番、教壇に立つなり、誇らしげに、そして楽しそうに、生徒たちに今回のことを報告していることだろう。ひとりでもモータースポーツに興味を持つ生徒が増えてくれれば、何よりである。