全日本選手権スーパーフォーミュラを運営する日本レースプロモーション(JRP)は1日、オートポリスで2014年から導入される新シャシー、SF14の開発状況を発表した。同時に、風洞モデルの画像も公開している。

 来季から導入されるSF14シャシーは、イタリアのダラーラが設計、製作を担当。トヨタ、ホンダの両メーカーが製造するスーパーGTと共用の2リッター直噴ターボエンジン『NRE』を搭載する。この新シャシーについてJRPの白井裕社長は「量産フォーミュラとして、ワンオフであるF1との違いは高い安全性と安定したパフォーマンス、バックアップ体制、経済性などが挙げられるが、それらをすべて両立して設計されたクルマ。エンジン、パワートレインについては環境を考慮している。性能についても“クイック・アンド・ライド”を念頭において作り上げている」と言う。

 このSF14は、両社のエンジンを搭載して7月にはシェイクダウンが行われると言われているが、それに向けた開発状況についてJRPから報道陣向けに説明がされた。まず解説されたのは空力の開発の状況についてで、現在モノコックが完成、「フロントウイング、エンジンダクトまわり、フロアはいちばん新しい状況になっている」とホンダの坂井典次開発責任者は語る。

「特徴的なところとして、このクルマはF1の1800mmよりもちょっと広い、1900mmの全幅となっている。また、フロントウイングの幅も1900mmで作ってあって、ここで目指したのは前走車にくっついて走った時に、フロントのダウンフォースが抜けづらいように、フロントウイングの前後長を長くとってあること。前のクルマにくっついても、前後のバランスが崩れないような工夫がしてある」と坂井責任者。

 また、「フロアの前方にツノ状のものがあるが、そのサイドにガーニーフラップのような形状の折り返しがしてあり、フロアに入る空気の流れを制御している。サイドポンツーンの上にチムニーがついているが、左側はクーリングのためと、ヨースタビライザー的な役割をする。右側は、ダクトの後ろからターボチャージャーの空気を取り入れる。二面的な使い方がこのチムニーについては考えられている」とのこと。

 リヤウイングも最新のテクノロジーにより翼端板の後ろ側にスリットが入れられ、後ろ向きに発生する空気の渦を制御して、後走車への影響が少なくなるように考えられているという。ディフューザーもかなり大きいものがつけられていて、リヤウイング下側のビームウイングがディフューザーからの抜けを促しており、「かなり大きなダウンフォースを得ている」とのことだった。

「今はスケールモデルで性能を確認しているが、風洞に入れる前にCFDを活用していて、3DモデルでCFDにかけ、だいたいの性能を出してから風洞モデルで検証している。最新の技術をふんだんに使った設計がされている」と坂井責任者。

 また、モノコックが完成したのに伴い、配線のレイアウトを決める“ワイヤリング”という作業のために、トヨタとホンダのエンジニアがダラーラに行き「顔を見合わせずに作業をした」と語るのは、トヨタの佐藤真之介エンジニア。

 ここではダラーラが設計するコクピットパネル等も考え、両社から求められるエンジン関係、パワステ、スイッチ等の配線をダラーラと協議の末決定。「けっこうタイトなモノコックになっているので、現在のクルマに比べるとなかなか置き場がなく、パワステのスイッチ等うまく配置しなければならなかった。原始的に見える作業ですが、意外に作業に時間がかかりましたね」と佐藤エンジニア。

 また、すでにSF14はクラッシュテストもパス。トヨタの永井洋治プロジェクトリーダーによれば、SF14の安全性について、「今のフォーミュラカーはクラッシュした時の安全性が非常に重要な案件になっている。当然、現行のクルマよりも速くなるので、フロント、サイド、リヤの安全性について、2010年のF1レベルに合致するように合わせてある」とのこと。

「規則書を見ると、ただつぶれるだけではなくて、今はGの“出方”が重要になっていて、そこまでコントロールするようになっている。ある程度コンピューターでシミュレーションできるが、それを実際にぶつけてみてどうなるかを確認する。クラッシュテストの結果、きれいにつぶれていて問題はなかった。すべてクリアしています」と永井プロジェクトリーダー。

 ダラーラにはすでにトヨタ、ホンダからエンジンが送られており、今月末にはエンジンを組み込み火入れを行い、7月のシェイクダウンに向けて動き出すという。

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