スーパー耐久シリーズ2010
第4戦「SUPER TEC」
2010年6月26-27日
およそ1ヶ月のインターバルを経て迎えたスーパー耐久シリーズ第3戦が、6月26-27日、静岡・富士スピードウェイにて開催された。今回はシリーズ戦唯一の距離制での一戦。日曜の午後1時にスタートし、4時間に渡る長期戦だ。舞台となった富士は、連日天候が安定せず、あいにくの雨模様。しかも決勝日は完全なウェットコンディションとなり、中盤以降は濃い霧に悩まされた。
そんな中、PETRONAS SYNTIUMチームでは予選で28号車にトラブルが発生。アタックのチャンスを失い、最後尾スタートを切るという厳しい状況となった。しかしスタート後は粘り強く周回を重ね、レース後半にポールポジションを獲得した1号車に次ぐ2位までポジションアップ。前回に続き、1-2フィニッシュ達成かに思われた。だが、終盤、濃霧のためにセーフティカーランが導入され、これまで築き上げたマージンが消滅。1号車はトップの座を死守し、シリーズ4連勝を果たしたが、28号車はNo.8 ポルシェからの猛攻を受けて3位でチェッカーを受けた。
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□■ 6月26日 予選 天候:小雨
■□ No.1:1位 (3'55.369) No.28:ノータイムにつき38番手最後尾 *タイムはA、Bドライバー合算タイム
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【1号車、文句なしのPP獲得。28号車、アタック直前にトラブル発生】
今シーズン前半戦の最後を飾る戦いは、4時間の長期戦。タイヤや燃費を意識し、クルマに負荷を与えないようなレースマネージメントが求められる一戦でもある。チームでは早速金曜日の練習走行で、さまざまな項目の確認に取り組み、戦いに向けて順調に準備を進めた。
迎えた土曜日の予選。朝から曇天模様の富士スピードウェイに雨粒が落ち始めたのは、午後に入ってから。ウェット宣言が出され、路面はあっという間にレインタイヤを必要とするコンディションへと変貌した。
天候の行方が読めないため、みな早めにタイムアタックに向かったが、1号車のPETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPEをドライブする谷口信輝は2番手以下を早速1秒近く突き放し、暫定トップについた。さらに終了間際のアタックでタイムを更新。1'57.627までタイムを削り取り、ダントツのトップにつけた。
一方、28号車でアタックに向かった片岡龍也。ピットを離れ、コースインした直後にトラブルが発生。なんとプロペラシャフトが破損し、ドライブが不能になり、クルマを2コーナーで止めることになった。チームでは予選終了後にプロペラシャフトを交換する予定でいたため、ピットに戻されたクルマはすぐさま修復を開始。作業はわずか45分で終了したが、スーパー耐久では、A、B両ドライバーによる合算タイムでグリッドを決定するため、今回28号車はノータイム扱い。よって、決勝レースは最後尾からのスタートを切ることを強いられた。
なお、1号車のBドライバー、柳田真孝もアタック開始からトップタイムをマーク。さらにセッション終了間際にベストタイムを更新し、1'57.742をマーク。A、Bドライバーの合算タイムにより、1号車は3戦連続でポールポジション獲得を果たした。
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□■ 決勝 天候:雨
■□ No.1:優勝 (4:01'43.542)106周 No.28:3位 (+21.489)
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【終盤のSC導入で僅差の戦いへ。1号車がシーズン4連勝を達成】
迎えた決勝日。前日から雨が降り続き、富士は完全なウェットコンディションとなった。前日、アタックができずに終わった28号車。朝のフリー走行で3番手のタイムをマークするなど、不安材料は一切感じられない。決勝は最後尾からではあるが、4時間という長丁場での猛追、逆転に期待がかかった。
チームによると、ライバルとの激戦を制するためポイントとなるのがピットインのタイミング。ルーティンワークは原則2回を予定し、燃費との兼ね合いでピットインを決めるという。また、雨の場合はタイヤへの負荷が少なく、燃費も向上するため、ライバルとの駆け引きも難しいところ。まずは1号車がトップを牽引し、28号車はリスクを負わず、後方から追い上げることが重要課題となった。
午後1時、降り続く雨のため、レースはセーフティカー先導によるスタートが切られる。その中でPETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPEの2台はそれぞれのミッションに集中。トップ1号車のスタートドライバーを務めた谷口は順調に周回を重ね、開始1時間後には2位との差を約28秒まで広げる快走を見せた。一方、28号車はファリーク・ハイルマンが多くの前方車両から立ち上がる水煙に苦しみつつ、冷静な走りでポジションアップを重ね、自己ベストタイムを更新しながら1時間後には総合6位まで浮上するという奮闘が光った。
迎えた1回目のルーティンワーク。雨でペースが上がらなかったこともあり、レース開始から1時間30分あまりを過ぎた時点で行われた。PETRONAS SYNTIUMチームでは、先に28号車がピットイン。ハイルマンからメルビン・モーにバトンが受け継がれた。そしてトップを行く1号車はその2周後にピットイン。谷口から柳田へとスイッチし、コース復帰後も2位との差を1分以上キープしたまま走行を続けた。
レースはその後、次第に霧が濃くなり、ドライブするのが難しい状況へ。そしてついに開始から2時間40分を過ぎて、SCが導入される。ちょうど2度目のルーティンワークを迎えるタイミングでもあったため、ピットに戻るマシンが続出。早速チームでも28号車をピットインさせ、片岡へとドライバー交代。給油を済ませると、タイヤ無交換のままで最後のスティントへと向わせた。3位でピットインした28号車。実は、2位のNo.8 ポルシェも同周にピットインしており、ピットレーンでのガチンコ勝負へと展開する。給油時間が若干短かった28号車は、ひと足先にエンジンを始動。これで8号車の前に出ることに成功し、2位へと浮上した。
まさにチーム力で逆転劇を披露したPETRONAS SYNTIUM。トップを行く1号車はその翌周にピットイン、同じくタイヤを換えずに柳田からイムラン・シャハロムへとスイッチし、給油を済ませてコースへと復帰する。しかし、1号車のシャハロムはアウト&インラップのみでピットイン。再び谷口がステアリングを握ることに。十分にマージンのある1号車だが、セーフティカーの周回が続けば、2位以下とのギャップは消え失せてしまう。終盤にNo.8 ポルシェを含め、3台のガチンコ勝負になれば、ストレートスピードでポルシェが優位に立つ可能性も高い。チームはあらゆる展開を考慮し、熾烈なバトルを迎え撃つために谷口の起用を決断したのだった。
SCランはおよそ40分に渡って続き、結果、残り35分による戦いが再び幕を開ける。スピードに乗るNo.8 ポルシェはまず28号車を猛追。片岡も必死に応戦するが、1コーナー進入で先行され3位に。この時点で、トップ1号車とポルシェとの差は17秒強。谷口はペースアップに努め、このまま首位キープに成功。長くハードな戦いを勝利し、今シーズン4連勝を飾ることとなった。28号車も、37位から3位へと大躍進。PETRONAS SYNTIUMとしての1-2フィニッシュは惜しくも実現しなかったが、シリーズランキングでは、これまで同様、チームが1-2の座を死守し続けている。
◆鈴木哲雄監督
28号車はルーキーのメルビン(・モー)もしっかりと落ち着いてレースができましたね。3位でしたが、作戦としてはうまくいったと思います。1号車に関しては、SCが入るとマージンがなくなる上、8号車のポルシェが来るだろうと予測できたので、このままでは勝てないと即断し、谷口へとスイッチしました。最後は盛り上がったので、お客さんには喜んでいただけたと思います。次の岡山はエンジンのトルクがないぶんクルマ的に得意ではないので、ポルシェに優位に働くのではないでしょうか。厳しい展開になるでしょうが、なんとかうまく乗り切りたいですね。
No.1 PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE
谷口信輝
最初は僕と柳田で作った貯金(マージン)があるからイムラン(・シャハロム)にいってもらうことになったんです。でもSCが入り、貯金がなくなるだろうってことになって…。即断でしたが、今日のレース結果はここが勝敗の分かれ目だったと思います。リスタートのときには2位の28号車との間に6台いたので、なんとかこの1周で絶対10秒以上離したいと思ってプッシュしました。
柳田真孝
僕は燃費のことを考え、ずっと安定したペースで走っていました。そこそこのタイムで燃費走行に徹していたんです。超エコランでした。ところが、もうちょっとギャップを作ろうと思ってプッシュし始めたちょうどそのときにSCが入ったんです。結果的に今回、苦手にしていた富士でPPを獲って優勝できたことはとても価値があると思っています。総合力で勝利したという思いが強いですね。次の岡山でまた連勝記録を伸ばせるようガンバりたいですね。
イムラン・シャハロム(Imran Shaharom)
今回のレースの展開を考えるとチームが下した決断は正しいものだと思います。明らかに8号車の立川選手は僕よりも速いペースだったし、セーフティカーのあとのレース再開を考えると、キャリアあるベテランドライバーの谷口さんがドライブするという作戦が最善でした。もしSCランにならなければ僕にもドライブのチャンスがあったと思いますが、今回は仕方ない。これもレースですから。次回こそいいパフォーマンスをお見せしたいと思います。
◆No.28 PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE
片岡龍也
今回は8号車のポルシェが速かった。僕らはルーティンのピットイン作業も早かったんですが、ピットでしか抜けるタイミングがないと思っていたので、必死で頑張りました。ただ、今回はポルシェが速く、一方で僕らのクルマのフィーリングが若干良くなかったということが重なってしまい、最後には抜かれてしまいました。でも、ファリーク(・ハイルマン)が最後尾からすごくガンバってくれたし、そういう意味ではそれなりのレースはできたという気持ちです。
ファリーク・ハイルマン(Fariqe Hairuman)
ほんと難しいスタートでした。周りのクルマはクラスが違うのでスピードも遅かったし、雨の影響で水煙も半端ではありませんでした。最後尾スタートから早く追い上げたいという気持ちがある反面、周りのクルマはそれぞれのクラスでのポジション争いをしていたので、彼らの邪魔もしたくないという思いがありました。感覚的には自分のクルマがとても遅いような感じだったんですが、タイミングよく次々とクルマをパスすることができました。本当にドライビングが難しい状況だったので、とにかく何ができるか、その都度考えて走ることにしました。今回はポルシェの後ろでチェッカーを受けることになりましたが、スタートのことを考えると今日の3位はとてもうれしいものです。みないい仕事ができてガンバった結果だと思います。
メルビン・モー(Melvin Moh)
僕にとってS耐で初めてのウェットレースでした。視界は悪いし、路面コンディションも難しく、困難な状態でした。中でも途中に霧が出てきたのが一番大変でした。とはいえ、ドライバーとしての経験を積むことができたとも思います。今日のレースはスタートのグリッドを考えると、上出来の結果だと思います。次こそは優勝を狙っていきたいと思います。今回、チームのみんながいい仕事をしてくれて僕らをサポートしてくれたことに改めて感謝します。
