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国内レース他ニュース

投稿日: 2011.12.02 00:00
更新日: 2018.02.16 06:24

PETRONAS TEAM、オーバルで1号車が戴冠


スーパー耐久シリーズ2011
第5戦・第6戦「MOTEGI SUPER TAIKYU OVAL & ROAD」
2011年11月26-27日

東日本大震災の影響を受け、通年よりも遅く5月に開幕戦を迎えたスーパー耐久シリーズも、ついに最終戦を迎えた。今回は栃木・ツインリンクもてぎにおいて第5戦、第6戦を2日間で実施する。しかも第5戦はオーバルレース、そして最終戦はロードレースという異なる2つの戦いに挑むことになる。PETRONAS SYNTIUMチームとしては、依然続くチーム内のクラスチャンピオン争いも白熱化しており、最後の最後まで緊迫したレースウィークを過ごすことになった。

なお、このもてぎでは、26日(土)に第5戦として50周のオーバルレースを2回実施、そして27日(日)には、第6戦が300km・63周の形式にて行われる。1Dayレースを2日連続で、しかもオーバルとロードという異なるレイアウトを持つコースでのレースゆえ、なにかと慌しいスケジュールをトラブルフリーでこなさなければならない。ドライバーはもとより、チームスタッフにとっても目に見えないプレッシャーとの戦いでもあった。

◎11月26日(土)Oval Battle
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■第1レース 天候:晴れ 気温:16℃(午前11時30分現在)
■ No. 1:第1レース 予選2位(1'39.903)決勝1位(50L / 43'20.872)
■ No.28:第1レース 予選1位(1'39.887)決勝36周リタイヤ
*予選は、A、Bドライバー合算のベストタイム
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◎予選【タイトル奪取に向け、予選から白熱のタイムアタック合戦!】
オーバルコースでのレースはおよそ1年ぶり。途中に2箇所のシケインが設置された特設コースは、ロードコースと異なり左回り。もともともてぎはブレーキに厳しいことで知られるが、このオーバルコースはロード以上にタフなブレーキングセンスが問われるところだ。

1周わずか2.4kmというショートコースながら、ストレートでの加速によるトップスピードの高さを求める一方で、フルブレーキングからのシケインへの進入で重要視されるのがブレーキング。抜きどころも少なく、勝負をかけにくいこともあって、予選でのポジショニングが決勝でのパフォーマンスを左右するといっても過言ではない。

そんな中、まずはAドライバーの予選が始まり、PETRONAS SYNTIUM チームでは、1号車に谷口信輝、28号車には片岡龍也が乗り込み、アタックを開始した。今季初となるオーバルでのタイムアタックながら、両ドライバーは着実にタイムを削り、0.065秒という僅差でのアタックを繰り広げる。結果、谷口がトップタイムを、そして片岡が2番手のタイムを叩き出した。

続くBドライバー予選では、1号車にドミニク・アン、28号車にはファリーク・ハイルマンが出走し、それぞれにベストパフォーマンスを見せた。中でもドミニクにとっては初オーバルでのタイムアタックだったが、2番手につけたファリークに対し、ドミニクは最後の最後にタイムアップ。ファリークに0.081秒差まで詰め寄る意地を見せて3番手につけた。

なお、タイムアタックにおいては各ベストタイム合算が第1レースの、そしてセカンドベストタイム合算を第2レースの予選順位として採用されることから、1号車は第1、第2レースで2番手となり、28号車は2レースともにポールポジションを獲得。各レースで1点、合計2点を追加し、決勝レースに挑むことになった。

◎第1レース決勝【1号車、磐石の走りで今季5勝目! 28号車、まさかのマシントラブル発生に泣く】
小春日和に恵まれる中、第1レースの決勝が午前11時45分にスタート。ポールポジションの28号車には片岡、そしてもう1台のフロントローにつけた1号車に谷口が乗り込み、早速ターン1から接近戦を展開した。逃げる28号車に追う1号車というスタイルがしばし続き、2台はつねに0.5〜1.5秒という僅差で周回を重ねていった。

レースが動いたのは、23周終了時。まずトップをひた走っていた1号車がピットイン、片岡からファリークへとスイッチした上で給油は行わず、タイヤは右前後の2本を交換してピットを離れた。そしてその2周後には1号車がピットに帰還。28号車同様に給油ナシ、さらにはチームメイトとの差を詰めるためにタイヤ交換は右リアタイヤのみとした。また、交代した柳田が渾身の走りでアウトラップを消化。これが奏功し、コース復帰後、28号車からトップの座を奪取することに成功した。

ここから再び、順位を入れ替えてのトップ争いへと展開するかと思われたその矢先、なんと28号車が緊急ピットイン! 待ち構えたスタッフがジャッキアップし、クルマを確認したところ、デファレンシャルギアのトラブルであることが判明。レース継続は不可能ということで、残念ながらここでレースを終えることになった。

一方、1号車はその後も順調に周回を重ね、2位に1周の差をつける快走。ひとり旅で今シーズン負けナシの5勝目を達成。これでクラスチャンピオン獲得への足場をさらに強固なものとした。

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■第2レース 天候:晴れ 気温:11℃(午後3時現在)
■ No. 1:第1レース 予選2位(1'40.125)決勝2位(50L / 48'04.719)
■ No.28:第1レース 予選1位(1'40.358)決勝3位(50L / 48'10.586)
*予選は、A、Bドライバー合算のセカンドベストタイム
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◎第2レース決勝【1号車、ST-1クラス王者決定!】
午後に入っても穏やかな日差しに照らされたツインリンクもてぎ。さほど寒さを感じることなく、午後からの第2レース決勝を迎えることになった。ポールポジションの位置には第1レース同様に28号車の姿が。午前中のマシントラブルもスタッフの速やかな作業によって修復完了。無事に2台のPETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPEがフロントローを陣取った。

スタート直後から猛プッシュを見せたのは、2番手スタートの1号車谷口。トップ28号車片岡とタイム差なしでオープニングラップを終了する。さらには3周目の第2シケインでサイド・バイ・サイドからイン側を奪って逆転して見せた。こうなると、もう1号車の勢いが止まらない。実のところ、レース後の片岡によると、28号車は第1レースでのアクシデントが影響していたのか、午前ほどのレーシングパフォーマンスを発揮することが難しかったという。よって、周回を重ねるごとに2台の差がじわりじわりと開いてしまった。

その後レースは17周目に1台の車両がアクシデントに見舞われ、コース上に停止。これを受け、セーフティカーが導入された。このタイミングに1号車はピットイン、ルーティンワークを済ませてコースに復帰した。しかしこの判断が裏目に出て、レース再開後、終盤にはNo.9 BMW Z4の先行を許すことに…。第2レースの後半スティントを担当したドミニクは、ルーキーとして初のオーバルで善戦したが、惜しくも9号車とのギャップを埋めることはできず、2位キープのまま、チェッカードフラッグを受けた。

一方、28号車はSCランが終わり、レース展開が小康状態になった30周を終えてピットイン。この日、初レースとなったフェイホンへとスイッチした。日暮れ近く、路面温度が下がったオーバルコースでのドライブは難しいコンディションではあったが、丁寧かつ要所要所で攻めの走りで20周を走破。3位でレースを終えた。

なお、今日の第1、第2レースの結果によって、No.1 PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPEのST-1クラスチャンピオンが決定。ディフェンディングチャンピオンとして王座を保持することになった。

◆鈴木哲雄監督
レースとしてのマネージメントは両車ともうまく行ったと思います。ただ、28号車にマシントラブルが出たのは残念でした。オーバルの2レースをもって1号車のチャンピオンが決定しましたが、今シーズンも大きなトラブルなく、おおむねいい流れをキープしたままでシリーズを戦うことができてよかったと思います。

◆No.1 PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE
谷口信輝
第1レースで28号車を逆転するには、ルーティンでのピットワークだろうと考えました。素早くドライバー交代すること、そして柳田選手にアウトラップで頑張ってもらうことが条件だったのですが、それがとてもうまく行きました。結果、逆転を果たすことができました。加えて、先にピットインした28号車が前後の右タイヤを交換していたのを確認したうえで、僕たちは右タイヤの前だけを交換しました。これもタイムアップにつながりました。その一方で、第2レースはしょっと悔しさが先行する結果になりました。当初は28号車の片岡選手といいバトルを楽しみたかったのですが、序盤で2台が並んだあと、スピードの違いもあって、バトルなしに先行することになった上、そのあとアクシデントによるセーフティカーランで作戦が変わってしまいました。ただ惜しむらくは、僕たちに油断があって、チームメイトではなく他のチームに優勝をさらわれてしまったことです。今日の第2レースで、1号車がST-1クラスチャンピオンを実現させたのですが、僕としてはやはり優勝してタイトル獲得を決めたかったですね。なので、明日の最終戦では有終の美を飾るよう、しっかりと戦って優勝を目指します。

ドミニク・アン(DOMINIC ANG)
柳田さんがハイルマン選手の乗る28号車を逆転してくれたことが勝利へと結びつきました。一方では28号車がその後、メカニカルトラブルによってリタイヤになったことは残念に思いました。第2レースは僕もドライブし、チェッカードフラッグを受けるというチャンスにも恵まれてうれしかったです。でもSCラン中にピットストップしたことで、作業後はピットロード出口で足止めされたことは残念でした。結果、9号車とのバトルになり、なんとか逆転したかったのですが果たせずに終わりました。

柳田真孝
僕は、今日のオーバルレースで第1レースのみの出走となりましたが、そのレースではとてもいい仕事ができたと思います。まず、28号車を逆転するためになるべく早いピットワークができるように心がけました。それからアウトラップもプッシュし、ここでの逆転を成功させることができてよかったです。いい結果を残すことになりました。第2レースは結果こそ2位でしたが、これで今シーズンのクラスチャンピオンを決めることができてうれしいです。いつも僕たちをサポートしてくれたみなさんに感謝します。

◆No.28 PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE
片岡龍也
ポールポジションを獲得し、第1レースでもペース配分を心がけてレースをコントロールすることができました。このまま行くと待ちに待った優勝が実現すると思ったのですが…。あろうことかデフのトラブルが出てしまい、最後までレースを続けることができなくなり、とても残念な結果に終わってしまいました。第2レースでは、この第1レースでのトラブルの影響からか、ペース的にも今ひとつよくない状態で、思うようなレースをすることも難しかったです。今日の2レースで1号車がクラスチャンピオンを獲ったことはすばらしいと思います。僕たちもこのままランキング2位でシーズンを終えることができるよう、明日のレースも頑張ります。

ファリーク・ハイルマン(FARIQE HAIRUMAN)
今日は2レースを戦い、しかもどちらもポールポジションからのスタートだったので、2勝するチャンスが僕たちにはありました。しかし速さではチームメイトの1号車のほうが勝っていたようですね。1号車はシリーズタイトルがかかっていた戦いではありましたが、僕らは諦めることなく彼らと真っ向勝負で挑みました。明日のロードコースでのレースでは優勝を目指します。

フェイホン・オオイ(FEI HOONG OOI)
今日は第2レースに出走したのですが、僕自身、そのレースでしっかりとパフォーマンスを披露できなかったことがとても残念です。もっと速さを追求したかったのですが…。一方で、しっかりと走りきり、3位でチェッカーを受けられたことに関しては、良かったと思います。