スーパー耐久シリーズが、間もなく幕を開ける。今年はスポーティングレギュレーションに大きな変化はなく、強いて言うと昨年まで設けられていた年間エントリーの上限は撤廃され、常時スポット参戦が可能になった。逆に言えば予選落ちも生じることになり、昨年の上位チーム等にこそシード権こそ与えられたとはいえ、より予選から戦いは熾烈を極めることとなる。

 さて、その戦いの火ぶたは、3月29日〜30日にツインリンクもてぎで切って下ろされ、40台オーバーのエントリーを集めることとなりそうだ。いきなり5時間にも及ぶ長丁場からスタートとなるだけに、何やら波乱含みの展開になりそうな予感が……。そこで、3回に分けて、今シーズンの見どころを紹介していきたい。

 まずはST-Xクラス。これは昨年までGT3クラスと呼ばれ、文字どおりFIA-GT3車両によって争われる。それがクラス設立1年目の名称に戻されたのは、STO(スーパー耐久機構)がBoP(性能調整)を独自に定めることとしたからだ。これが公平に機能することを期待しつつ……。年間エントリーは5チームで、ニッサンGT-RニスモGT3とBMW Z4 GT3が2台ずつ、そしてアウディR8 LMSが1台となっている。なお、2連覇を達成し、昨年限りで活動休止を発表したPETRONAS SYNTIUM TEAMも、新たなスポンサーを獲得する等して継続を模索したようだが、少なくても年間エントリーには至っていない。

 3月9日にもてぎで公式テストが行われ、このうちST-Xクラスで参加したのは2台。トップタイム1分52秒680をマークしたのは、谷口行規と峰尾恭輔、飯田章の陣容で挑むENDLESS SPORTSのZ4だった。昨年マークされたレコードからはコンマ7秒ほど遅れを取っているものの、セッション前半のクラッシュにより、本格的なアタックを行っていなかったのは明らかなだけに、予選では間違いなく51秒台の戦いになりそうだ。

 一方、テストには参加しなかったものの、このZ4と双璧を成しそうなのがKONDO RACINGのGT-R。今年もGAMISAN、藤井誠暢、佐々木大樹、高星明誠という強力ラインアップであるだけに大いに期待できそうだ。なお、テストの2番手にはDIRECTION RACINGのアウディR8がつけ、開幕戦には飯田太陽、荻野哲生、小林崇志、高木真一という顔ぶれで挑むことになっている。残念なのは、年間エントリーはしているが、GTNET MOTOR SPORTのGT-Rが少なくとも開幕戦には出場しないこと。第2戦から姿を見せてくれることを期待したい。

 ちなみに前述のBoPだが、現状ではFIAが今年定めた数値とされるほか、昨年同様Z4は11年の、ポルシェ911GT3Rは12年の、すなわち最もポテンシャルを発揮できたシーズンのBoPの選択も可能とされた。これにより、スーパーGT300クラスとは一味違った戦力分布図になるのも間違いないだろう。

 スポーティングレギュレーションには大きな変化はないと冒頭で述べたが、特認で新たな車両の参加が認められたのがST-1クラスである。昨年はBMW Z4 Mクーペが2台出るに留まり、寂しさは否めなかったクラスに、ポルシェのカップカー、そしてインタープロトシリーズ(IPS)の"KURUMA"が出場可能となった。

 カップカーはともかく、市販車による耐久レースという大前提からすれば"KURUMA"の特認に若干の疑問を抱かないわけではないが、シリーズの盛り上がりという点においては、大いに歓迎すべきトピックスだといえるだろう。しかも、Z4を含めたタイム的なバランスが実に優れているのである。IPSの舞台である富士で、それぞれのレコードタイムを比較すると、従来のST-1クラスが1分45秒940、PCCJで43秒966、IPSで44秒784。大差がなく、ドライバーの実力次第で並びはいかようにも変化しそうだ。万が一明確な差が生じるようであれば、ウエイトの調整なども行われるとのこと。ただ、カップカーでのエントリーは年間、開幕戦ともになかったのは残念だが、いずれスポット参戦があることを期待したい。

 ST-1クラスの開幕戦のエントリーは3台。だが、その少なさを補うに十分なトピックスもある。まずTOMEI SPORTSから出場の"KURUMA"をドライブするのは、中山雄一と平川亮というF3チャンピオンにして、現SFドライバーたちとジェントルマンドライバーの畠中修という組み合わせであること。そして連覇を目指すFaust Racing TeamのZ4には堀主智ロバートと佐藤茂、山野直也というレギュラーに、開幕戦限定ではあるものの、山野哲也も加わるというのだ。ジムカーナでのWエントリーはあるものの、レースで同じクルマをシェアするのは、おそらく初めてとあって兄弟で火花を散らすのは、もはや確実と言える。いや、それ以上に中山と平川、山野兄弟の壮絶バトルが繰り広げられることを、今から期待せずにはいられない!

 次回はST-2クラスとST-3クラスの見どころについて紹介しよう。

本日のレースクイーン

神宮沙紀しんぐうさき
2025年 / スーパーGT
NICO girls
  • auto sport ch by autosport web

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

  • auto sport

    auto sport 2025年7月号 No.1609

    【特集】LE MANS 2025
    “史上最混戦”の俊足耐久プロト頂上決定戦

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円