鈴鹿サーキットを舞台に、年末恒例のスーパーFJ&F4日本一決定戦が12月5〜6日に開催され、それぞれ大本命と予想されていた阪口晴南(中日本自動車短期大学KK-SII戸田ワコーズ)がスーパーFJで、そして牧野任祐(DODIE・制動屋ルーニー・ミスト・JSS)がF4で、予選からファイナルまで一度もトップを譲らず、優勝を飾っている。

 鈴鹿ともてぎで隔年開催されるスーパーFJ&F4日本一決定戦は、レースシーズンの終わりを告げる風物詩でもある。F4は2006年からの開催で、ちょうど10年目。もう一方の歴史はさらに長く、FJ1600の時代を含めて1998年からなので実に18年もの歴史を誇る。スーパーFJはまた、ジャパンスカラシップシステム(JSS)によるF4スカラシップ選考会も兼ねていることから、レースが普段以上に白熱することでお馴染みだ。

 レース形式は、スーパーFJがトーナメントとなっている。複数のグループに分けられた後、予選と第1レグを行って、第1レグの上位10位まではファイナル進出を許される一方で、11位以下のドライバーは引き続き敗者復活を戦って、その中の上位10位に入らなければならない。以前は第2レグも行われていたが、エントリー台数の減少もあって現在では廃止されている。F4も昨年までは予選とファイナルの間にセミファイナルを挟んでいたものの、今年からこれもなくなってしまったのが、緊張感をやや削いだ感もあって残念だ。

 スーパーFJのエントリーは34台で、すなわち4台がファイナル進出を許されないという、実に緊張感を伴う戦いになった。Aグループでは、ひとり予選で2分12秒台に入れた阪口が、第1レグでも後続を一歩も寄せつけず勝利。2位は八巻渉(モレキュール アキランド イーグル)が、3位は兒島弘訓(OUSFP高下レーシングKK-SII)が獲得した。

 Bグループでは、平優弥(Team Naoki☆LEPRIX 10V)と小高一斗(KK-SII・制動屋ミスト)が予選で2分12秒台に突入。激しいバトルを予感させたが、小高はジャンピングスタートでドライビングスルーペナルティを課せられ、平も1周目のヘアピンでシフトロックによってスピン。それぞれ激しい追い上げを見せ、平は3位でゴールしたが、小高は11位に留まり敗者復活に回ることになった。優勝を飾ったのは岡山チャンピオンの大湯都史樹(Rn-Sports TANZEN KK-SII制動屋)で、2位は吉田宣弘(DAYTONA☆KK-SII☆ミスト☆ED)となった。

 第1レグのフィニッシュタイムが速かった方がポールポジションとなるため、阪口を先頭とするAグループ勢がアウト側の、大湯を先頭とするBグループがイン側のグリッドに整列。「普通にスタートが切れた」という阪口がトップで1コーナーに飛び込むと、その後ついていけたのは大湯のみだった。スタートでふたつ順位を上げた平は、ヘアピンで吉田に迫り、続いてスプーンで逆転を狙うもラインが交差して接触。足まわりを傷めた平は、ピットでリタイアを喫している。

 オープニングラップを終えたところで、阪口と大湯の差はコンマ8秒。10番グリッドから山田遼(IDMS&RSプリモガレージ茶畑)が3番手にまで上がっていたものの、ふたりからは4秒近く離されていた。またその直後には、コースアウトした車両を回収するためSCがコースイン。わずか1周でフルコースコーションは解除されるが、リスタート後に目を見張ったのは、小高が1コーナーまでに一台を抜いて10番手に浮上する様子。敗者復活1位、すなわち21番手からたった1周で10台をかわしていたのだ。

 そこから先は2分12秒台にも叩き込んでいき、ひたすら逃げ続ける阪口よりも小高の激しい追い上げがハイライトとなる。6周目には3番手に浮上した小高だったが、すでに2番手の大湯との差も大きく、それ以上の追い上げは許されなかった。

 最終的に、阪口は8秒差の圧勝。「SCが入った時だけ、まいったなぁと思いましたが、それ以降は満足のいく走りができました」と語る。大湯、小高に続く4位は八巻で、5位はもてぎチャンピオンの川合孝汰(ル・ボーセフォーミュラアカデミーPFC)が獲得。鈴鹿でのレース未経験者として最上位を獲得した。

 さて、スーパーFJを制した阪口(ハートフルスクエアー戸田DL)は、F4にもエントリー。“W日本一”を狙ったものの、その前に真っ向から立ちはだかったのが牧野だった。予選ではレコードタイムにあと一歩と迫ってポールポジションを獲得。阪口は2番手につけたが、実に1秒半も引き離されてしまう。

「この時期、朝イチだったら絶対レコードは更新できたと思うのですが、最後に勢い余ってスピンしてしまいました(苦笑)。決勝でも狙ってみます」と牧野。3番手には牧野や阪口同様、FIA-F4も戦う根本悠生(GUNZE ZAP F108)がつけ、4番手は加藤智(FEEL・RK01・TODA)だったものの、Wチェッカーのペナルティとして2グリッド降格。片山義章(TAIROKU EXCEED)がひとつ繰り上げることとなった。

 ファイナルでは、牧野への逆襲も誓っていた根本がスタートで出遅れる波乱が。一方、牧野は好スタートを決め手トップで1コーナーに飛び込み、2番手の阪口を寄せつけない。そして加藤も、ペナルティを帳消しとするスタートで3番手に浮上する。とは言え牧野は、1周目を終えた時点で阪口に1秒2もの差をつけて、早々と独走態勢に。そのまま6周目までファステストラップを更新し続けていくが、さすがにレコードタイムの更新までには至らなかった。

 3番手に上がった加藤の後方には、栗原正之(テクノ ハヤブサリターンズ)と太田達也(佐藤製作所MYST制動屋東名)が続くことに。激しいバトルを予感させたものの、太田が2周目に3番手に浮上、続いて加藤にも迫ったものの、鉄壁のガードに行く手を阻まれる。やがて、それぞれ単独走行となり、間隔が保たれたままチェッカーが振られることとなった。

「レコードは更新できませんでしたが、ずっとハイペースで走れましたし、気持ち良くシーズンを終えることができました」と語る牧野は、阪口に11秒の差をつけた。対照的に完敗とあって、「さすがに経験の差が出てしまいましたね」と阪口は悔しそうに語っていた。太田を振り切った加藤が3位で、若いふたりとともに表彰台に並ぶこととなった。

本日のレースクイーン

森脇梨々夏もりわきりりか
2025年 / スーパーGT
スタンレー レースアンバサダー
  • auto sport ch by autosport web

    FORMATION LAP Produced by autosport

    トランポドライバーの超絶技【最難関は最初にやってくる】FORMATION LAP Produced by auto sport

  • auto sport

    auto sport 2026年1月号 No.1615

    ネクスト・フォーミュラ 2026
    F1からカートまで
    “次世代シングルシーター”に胸騒ぎ

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円