全日本選手権スーパーフォーミュラの第6回新型車両開発テスト兼ルーキーテストは、19日に2日目(最終日)を迎え、午前はジェームス・ロシター、午後は中嶋一貴と、いずれもSF14トヨタ開発車がトップタイムをマークした。

 この日の富士スピードウェイの天候は雨。とはいえ午前中は空も明るめで、雨量も時間帯による変化こそあれ、終日、豪雨とまで呼べるレベルには至らなかった。最悪の場合は積雪の可能性も懸念されていただけに、ドライタイヤの出番こそなかったものの、天候には恵まれたと言ってもいいくらいの状況で、KCMGでの中山雄一の走行を見守るなどしていた関谷正徳氏も「充分、充分。いい練習だよ」と午前のセッション前に語っていた。

 SF14で走行に臨んだのはトヨタ開発車がロシター(午前)と一貴(午後)で、ホンダ開発車が山本尚貴。SF13で走行したのはナレイン・カーティケヤン、陣川雄大、ベルトラン・バゲット、中山、小泉洋史の5名で、カーティケヤンはKYGNUS SUNOCO Team LeMansの7号車、陣川はNAKAJIMA RACINGの31号車、バゲットは同32号車をそれぞれ走らせ、中山と小泉はKCMGの18号車をシェアするかたちで臨んだ。なお、カーティケヤンはフライトの関係で午前のみで走行を切り上げている。

 午前のセッションは目立ったアクシデントなく進んだが、開始から1時間50分以上を経過したセッション終了間際に、小泉が1コーナー〜コカコーラコーナー間でスピンしたらしく、マシンストップ。この回収作業のために赤旗が掲示され、そのままセッション終了となった。このセッションは特に前半で連続周回に取り組むマシンが多かったように感じられたが、最終的にトップタイムをマークしたのはSF14トヨタのロシターで1分36秒579。SF14ホンダの山本は1分39秒219で、この2台の間に小泉以外のSF13勢のベストタイムが挟まる格好となった。SF13のトップは中山の1分37秒732。

 午後は雨が強まる傾向で、後半には霧が降りてくる雰囲気もあったが、車両ストップによる赤旗が複数回出た以外は午前同様、セッションはほぼ順調に推移。トップタイムはSF14トヨタの一貴で1分37秒711。SF13勢のトップは中山の1分38秒518、SF14ホンダの山本は1分40秒270がベストで出走5台・計6人中の5番手だった。

 午前と午後のセッション間にはトヨタとホンダの両陣営のエンジニアとドライバーが囲み取材に対応し、トヨタの新エンジン開発チームの佐藤真之介エンジニアは「雨なのでエンジンのドライバビリティに重点を置いて両ドライバーに評価してもらっています。もちろんレースでの混戦状態における使い方は試せていませんが、概ね、レースができるレベルまで仕上げられたと思います」と語り、一貴とロシターもそれを裏付ける旨を語っている。

 エンジンの仕上がりに関して佐藤エンジニアは「80%くらい。性能に関してはほぼ狙っていたところにいるのかなと思います」と話し、「信頼性もある程度(以上のレベルが)得られていますが、あとは今後、各チームにデリバリーされてから、いわゆる量産不具合みたいなものが出る可能性はなくもないので、もう一度データを洗い直しもっとクオリティを上げていきたいと思っています」と続けた。

 一方のホンダも、プロジェクトリーダー代行を務める佐伯昌浩エンジニアが「乗るドライバーごとに要望が変わってきたりしているので、そのあたりのチューニングをどんどん進めています。それと、レース実戦でエンジンメンテナンスを担当するM-TECさんへの引き継ぎ作業にも重点を置いています」と話すなど、やはり開発が実戦レベルへと入ってきていることをうかがわせた。

 タイム、そして最高速的にはトヨタ上位の状況だが「淡々とメニューを進めていますので、そのあたりは気にしていません。8〜9割の仕上がりまで来ていると思います」と佐伯エンジニア。山本は「前回の鈴鹿テストからの進化をクルマにもエンジンにも感じています。順調だと思いますが、もちろんもっと煮詰めていく必要はありますけどね。ドライバーにもターボ車への対応という進化が要求されると思います」と話している。

 また、この日の“カーナンバー1"に関しては「つけたくてもつけられない、ひとりだけのナンバーですから、その重みと誇りを感じながら(来季は)走りたいと思います」と語った。

 スーパーフォーミュラはこの日で年内の全日程を終了。来季最初の公式合同テストは、2月18〜19日に富士スピードウェイで開催される予定となっている。

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