BMW Sports Trophy Team Studie
2015 AUTOBACS SUPER GT Round 3 BURIRAM SUPER GT RACE
灼熱のサーキットでタイヤ無交換作戦
3位フィニッシュで昨年に続き表彰台に立つ
6月20-21日|チャン・インターナショナル・サーキット(全長4.554km)
予選 Q1:6位通過 Q2:6位
天候:晴 | コース:ドライ | 気温/路面温度 Q1開始:36度/58度、Q2開始:38度/57度→Q2終了:38度/54度
決勝 3位
天候:晴れ | コース:ドライ | 気温/路面温度 開始:37度/50度→途中:35度/58度
タイヤ無交換を支えたヨコハマタイヤ
2014年、0.862秒差で優勝を逃したチャン・インターナショナル・サーキットは、悔しい思い出が残る場所ではあるものの、2位に入賞したNo.7 Studie BMW Z4にとって相性の良いサーキットでもある。
実際、サーキットのコース図を見るとストレート主体の印象を受けるのだが、インナーフィールドではコーナリング性能が存分に問われるコース設計となっている。ここがコーナリングマシンであるBMWZ4と相性の良い理由だ。
20日(土)は午前に公式練習、午後に公式予選のスケジュール。公式予選までの走行枠は約95分。21日(日)は午前にフリー走行が30分間、そしてサーキットサファリが20分。そして決勝スタートとなる。決勝までの走行時間は約145分。鈴木康昭チーム代表兼監督と高根裕一郎チーフエンジニアは、この145分を最大限に活かして、ひとつのプラン実行への可能性を探ることにした。
タイヤ無交換作戦である。
このプランを実行するためには、タイヤのライフを慎重に検証しなければならなかった。昨年のタイは10月開催。今年はタイでもっとも暑くなる季節とも言われる6月開催。事実、日中の路温はいとも簡単に60度を超える。そのような過酷な条件の中で、果たしてタイヤ1セットだけでチェッカーフラッグを受けられるところまで行けるのか。検証なしにはとてもリスキーなプランだ。
しかし、GT300クラスの実力は拮抗している。明らかにパフォーマンスに差を付けられているマシンもあり、これを追尾するのは現実的でない。加えて、その他の実力が伯仲しているマシンにしても無策では群を抜け出せないことがハッキリしている。
そこで、限られた走行時間枠をつなぎ合わせて、タイヤのライフを検証することにしたのだ。
もちろん、セッティングを出すための走行も必要。また、予選でQ1突破、Q2進出は大前提。予選ではタイヤをいたわるほどイージーな闘いではない。タイヤ無交換作戦が可能かを検証するには、本番さながら、タイヤマネージングをシミュレーションし、タイヤを労わる時間帯を設けなくてはならない。予選の数周でゴリゴリと美味しいところ使い切ってしまったのでは検証にならないのだ。そこで高根裕一郎チーフエンジニアは非常にタイトかつ緻密なスケジュールを作成。限られたタイヤセット数と走行時間枠をベースに、巧みにタイヤを使い分けるプランを練った。
予選Q1を担当するドライバーはヨルグ・ミューラー選手。四輪脱輪のジャッジがありヒヤリとさせられる場面があったものの、4周目に1分34秒770をマークして3番手となる。これでQ1通過を決めた。
予選Q2は荒 聖治選手。1分34秒883の好タイムを出して6番グリッドを見事に獲得した。決勝は3列目からのスタート。チームが決勝の展開を見据えて目標としていたポジションだ。
これにより20日(土)のメニューをすべて消化。一部セッティングを煮詰めきれなかった部分は残していたものの、この間、約20周走った検証用タイヤセットを作成することに成功していた。
翌21日(日)決勝の朝。GT300クラスの周回数を昨年の実績から60周前後と想定。午前のフリー走行とサーキットサファリで、さらに30周を走り込み、トータル50周走らせた検証用タイヤを作った。
鈴木康昭チーム代表兼監督はヨコハマタイヤのエンジニアを交えて意見交換。決勝の60周に持ちこたえると判断して、タイヤ無交換作戦を実行することに決断した。決勝スタート3時間前のことだった。
実はこのとき、ヨコハマタイヤのエンジニアから厳格にアドバイスされていることがあった。タイヤのパフォーマンスを大きくドロップさせずに、フィニッシュまでもたせるには、最初が肝心であること。つまりレース序盤にペースを守り、タイヤを労らなければならないというものだった。
決勝レースがスタートした。スタートドライバーを務めた荒 聖治選手は勝利への執念から苦渋を舐めた。ペースを守りながらポジションをキープしようと奮闘する。しかし、直線スピードが抑えられているBMW Z4 GT3にとって、これは至難の技。しかも得意なコーナリングでペースを上げられない(タイヤを活用できない)となれば、武器をもたずに闘えと言われたのも同然である。
なんとか奮闘するもののジリジリと順位を下げ、ピットインのサインが出された23周目には9番手までドロップしていた。No.7 Studie BMW Z4から降り立ち、煮えたぎるアツさを胸に秘める荒 聖治選手の熱量を、ヨルグ・ミューラー選手がすべて引き受ける。ピットストップではドライバー交代と給油のみ。タイヤ無交換によりピットロスを20秒ほど短縮していた。荒 聖治選手の稼ぎ出したこのタイムをヨルグ・ミューラー選手が着火剤にするのだ。
爆音を残してピットロードを後にすると、まるで発火したかのようにヨルグ・ミューラー選手がラップを重ね始める。25周目アウトラップで順位をドロップさせたものの16番手。26周目には一気に12番手。他マシンがピットに入り始めると、37周目には5番手にまで順位を回復。
さらにジワリジワリと間を詰め、ついに49周目には表彰台圏内の3番手に這い上がってみせたのだ。
50周目には1分35秒355の決勝レースベストラップを更新。いかにヨコハマタイヤがこのサーキットにジャストミートしているかを証明。圧巻の追走を見せ、そのまま3位でチェッカーフラッグを受けた。
BMW Sports Trophy Team Studieがポディウムに立ったのは、2014年の第7戦以来。その第7戦の開催地は他ならぬ、ここタイ・ブリーラムだった。
コーナリングマシンの実力を問うチャン・インターナショナル・サーキットにおいて、BMW Z4 GT3はそのパフォーマンスをまざまざと見せつけたのだ。
[関連サイト]
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