LM corsa
SUPER GT 300 CLASS RACING TEAM
A.Iida H.Yoshimoto

2014・10・04-05
Round 7 : BURIRAM UNITED SUPER GT RACE
at Chang International Circuit

Result | 4th(60Laps)
Entry | 22台 出走:22台 完走:19台
Weather | 晴れ(ドライ)
Car | TWS LM corsa BMW Z4

シリーズ初開催のタイラウンドで見事な追い上げ劇を演じ4位に入賞!

 伝統の鈴鹿1000kmで念願のスーパーGT初優勝を遂げたLM corsa。次なる戦いの舞台は、今季マレーシアに代わり、シリーズ唯一の海外ラウンドの開催地となったタイのChangインターナショナルサーキットだ。

 FIAのグレード1を取得したこの1周4.554kmのサーキットは、タイの首都バンコクから約400kmほど北東へ向かったブリラムにある新設コース。すべてのチーム、タイヤメーカーなどが実際の走行データを持たず、文字通りのぶっつけ本番の戦いとなるだけに、LM corsaのチームとしての実力が試される週末となる。

 前戦で優勝したTWS LM corsa BMW Z4ながら、今大会のウエイトハンデは全車半分に軽減されることとなっており、36kgのみ。このため鈴鹿に続いての好リザルトが期待される中、金曜に設定された2時間のフリー走行では飯田章→吉本大樹→飯田と交代しながら持ち込みセットアップの確認を行い、コースとTWS LM corsa BMW Z4のマッチングを高めることとなったが、1分36秒618で15番手に留まる。

 高い気温と路面温度から来る熱によるマシンへの悪影響に加え、ストレート区間が長く直線の速いライバル勢に対して厳しい状況が浮き彫りになるなど、LM corsaは多くの課題を突き付けられる結果となった。

 前日同様の好天となった土曜。午前10時からの公式練習では気温32°C、路面温度48°Cでセッションがスタート。まずはここで吉本がコースインし、午前10時12分には1分37秒283でその時点での6番手に。ピットインを挟んで再びコースに復帰した吉本は、午前10時25分に1分36秒388を刻んで4番手につける。その後もピットイン&アウトを行いながらセットアップとタイヤ評価をこなした吉本は、午前10時58分に1分35秒717へとタイムアップもポジションは9番手。直後に赤旗中断が入り、午前11時06分の再開後には飯田がTWSLM corsa BMW Z4をドライブ。

 飯田も各メニューを消化しながら1分36秒052にまでタイムアップ。午前11時40分からはGT300の専有時間帯となるが、そのまま飯田がステアリングを握って周回を重ねた結果、このセッションでのTWS LM corsa BMW Z4は1分35秒717がベストタイムとなり17番手に留まることとなった。

■不安定な路面状況の中でセットに苦しみ、Q1突破はならず
予選結果■15位(1分35秒881)
 気温33°C、路面温度51°Cとなる中、午後3時に公式予選セッションが始まった。予選に向けてセットアップを変更したTWS LM corsa BMW Z4を駆り、Q1をアタックするのは吉本。セッションが開始されると同時に、吉本はすぐさまピットアウト。いの一番に計測ラップに入って行った。トップ13台に与えられるQ2への進出権を確保すべくコースに出た吉本は、まずは計測1周目を1分43秒392で終えると、2周目は1分42秒783。そして翌周最初のアタックに入ると、1分36秒659をマークし、速い時間帯ながらこの時点でトップにつける。

 ところが、このChangインターナショナルサーキットは縁石が低く、多くのマシンがタイムを削ろうと激しくインカットするケースが多く、その際に大量の砂や砂利がコースに撒かれてしまう。走行前にもそのあたりの懸念を口にしていた吉本だったが、翌周にさらにタイムを削っていたところで、TWS LM corsa BMW Z4は比較的高速の右コーナーであるT8で前車の撒いた砂利に乗ってしまい、まさかのスピンアウトを喫してしまう。すぐさまコースに復帰し体制を立て直した吉本は、翌周から再度アタックを敢行する。

 施したセットアップ変更が、思ったほどのパフォーマンスアップに繋がっていない状況ながら、計測6周目になんとか1分35秒881をたたき出し、一時下がっていたTWS LM corsa BMW Z4のポジションを9番手にまで押し上げる。

 しかし、セッション終盤となりライバル勢のタイムアップも相次ぐ状況とあって、翌周も吉本はアタックを継続も、さすがに計測7周目ではタイムも1分36秒103と延びずチェッカー。GT500ボードが提示された段階では13番手とぎりぎりQ2進出圏に踏みとどまっていたTWS LM corsa BMW Z4だったが、ラストラップにタイムアップしたマシンが現れてしまい、結局15番手で終了。惜しくもQ1敗退となってしまった。悔しげな表情を見せた吉本だが、この結果TWS LM corsa BMW Z4は翌日の決勝を15番手から追い上げることとなった。

■力強い追い上げのレースを披露し、表彰台目前の4位に!
決勝結果■4位(60周)
 翌日、やや雲が増えたものの相変わらずのドライコンディションで迎えた決勝日。朝のフリー走行とサーキットサファリの時間帯を活用し、飯田、そして吉本が決勝に向けたセットアップとタイヤ評価を行ったLMcorsa。フリー走行中には飯田が1コーナーでスピンを喫するシーンもあったが、終盤に吉本が1分35秒577をマーク。このタイムでGT300クラスの5番手につけたTWS LM corsa BMW Z4は、決勝での挽回に向けまずまずの手応えを得る。

 そして気温34°C、路面温度52°Cとなった午後3時。降雨があるかもしれないとの不穏な情報が伝えられる中、66周の決勝レースがスタートの時を迎えた。スタートドライバーを務める吉本は、15番グリッドに停めたTWS LM corsa BMW Z4の傍らのグリーン上に横になり、リラックスするとともにスタートに向け集中を高めて行く。いよいよ1周のローリングを終えた午後3時03分、決勝レースがスタート。吉本が駆るTWS LM corsa BMW Z4は、1周目にふたつポジションを上げ、前を行くAudi R8 LMS ultraを追走すると、これを2周目にオーバーテイク。TWS LM corsa BMW Z4のポジションをさらに12番手に押し上げる。

 しかし、吉本の進撃は止まらず3周目には11番手とすると、4周目にアクシデントで遅れた車両があったことから、一気に8番手とポイント圏内へジャンプアップを果たすことに。前を行く7番手のマネパランボルギーニGT-3をじりじりと追いつめて行く吉本は、7周目に1分36秒817のベストラップを刻みつつ、これを攻略して7番手に。この後も追撃の手を緩めず、グッドスマイル初音ミク Z4を捕らえて10周目には5番手に浮上したTWS LM corsa BMW Z4は、前を行くStudie BMW Z4を追うが、ギャップが少し開いていたこともあり、なかなかそれ以上のポジションアップは果たせない。

 しかし、23周目に早めのピットインを行ったStudie BMW Z4が後退したことで4番手に浮上すると、吉本は翌周1分35秒817へとタイムアップ。徐々にブレーキの消耗が進む中、さらに1分35秒35秒667を刻みつつ、GAINER Rn-SPORTS DIXCEL SLSとの2番手争いを展開し、一度はパスして2番手に浮上する。その後、LM corsaは31周目にピットに呼び寄せ、後半スティントを飯田の手に委ねる。

 ピットインのため、10番手でコースに復帰した飯田は、早々に1分36秒270の好タイムをマークするなどハイペースでの追い上げを開始。前に Studie BMW Z4、後ろにグッドスマイル初音ミク Z4と、同じBMW勢に挟まれながらも、33周目には9番手、34周目には8番手、36周目には7番手と着実にポジションを奪い返して行く。アウトラップからハイペースでラップを重ねた飯田は、さらに38周目には一気に5番手とした飯田は、Studie BMW Z4を追いながら40周目に は1分35秒506をマーク。飯田のハイペースな周回はさらに続き、4位に浮上した43周目には1分35秒364とベストタイムをさらに更新する。

 前を行くStudie BMW Z4とのタイム差は大きいものの、着実に4位でのフィニッシュに向け周回を重ねて行った。ところが48周目、なんとそこまでトップを走行していたワイルドカード参戦のi Mobile AAS ポルシェがタイヤバーストに見舞われて緊急ピットイン。これでTWS LM corsa BMW Z4は表彰台圏内の3番手に浮上を果たす。

 ブレーキを含め、かなり消耗してきたTWS LM corsa BMW Z4にムチを振るい、飯田は52周目に1分35秒282にベストラップを更新するが、この頃背後に迫って来たグッドスマイル初音ミク Z4は、飯田を上回るハイペースで追い上げて来ていた。54周目にそのギャップは1秒9。55周目には0.5秒と瞬く間に間合いを詰められてしまった飯田は、56周目のストレート区間で止むなくグッドスマイル 初音ミク Z4の後塵を拝することに。

 これで惜しくも4番手に後退したTWS LM corsa BMW Z4だったが、そのままの順位でチェッカー。表彰台獲得こそならなかったが、初開催の舞台で予選15番手から見事な追い上げを果たし、4位でのフィニッシュを飾ることとなった。残るは最終戦のもてぎ退会のみとなった2014スーパーGTシリーズ。今回で5戦連続ポイントを獲得したLM corsaは、残念ながらチャンピオンの可能性は消えてしまったものの、現状ランキング5位につけているだけに、さらなる上位ランキングを狙って最終戦でも好レースが期待される。

Director comment
チーム監督 小林 敬一
「15番手というスターティンググリッドを考えれば、結果としてはまずまずだったと思います。あのポジションから上位へ上がって行こうとすれば、それなりのリスクも必要でしょうし、元々ブレーキに負担が大きいと予測されていた中で、ハイペースで追い上げたことで終盤ブレーキが厳しくなったのも仕方なかったかなと思います。今回思うように行かなかった部分、ダメだった部分は反省点として踏まえた上で、今後にどのようにつなげることが出来るかが大事ですが、今日のレース内容自体はドラマティックで非常に中身の濃いレースを戦うことが出来ていたと思いますし、最後に抜かれてしまったとはいえ、凄く良いレースが出来たなと捉えています。4号車とは異なるブレーキを使用していますので、その違いが出たということです。吉本選手も飯田選手も凄く頑張ってくれましたが、最後に追い上げて来た4号車の方が結果として速かった、ということでしょう。次は最終戦ですが、ここまで経験して来た部分、今回得られたものなどをきちんと検証しつつ、最後のレースに臨みたいと思います。」

Driver comment
ドライバー 飯田 章
「最後は(4号車に抜かれてしまい)残念でしたが、状況的に仕方がなかったと思います。あれが精一杯でしたね。吉本選手からマシンを引き継いだときには、もっと追い上げられるのではと思っていましたが、ピットアウトした時点でかなりブレーキが厳しい状況で。スティントの序盤、少しブレーキを冷やして労りつつ、フィーリングが戻ってくるのではと様子を見たのですが、結果的に思うようにブレーキを使うことが出来ませんでした。4号車に最後に抜かれたのは、1コーナーを立ち上がってからのストレート区間です。追いつかれないよう、その直前までかなり頑張ったんですが、そこでプッシュするとブレーキが悲鳴を上げてしまうという状況でしたので……。それに、4号車があれだけペースが上がるとは予想外でした。99号車がピットインして3番手に上がったのは良かったですが、そんなに良いことばかりは続かないものですね。残るは最終戦のもてぎですが、同じBMW勢と真剣勝負するためにも自分たちのクルマの速さをもう少し引き出さないと、全開で勝負出来ないと思いますし、今季の締めくくりとしてしっかり見直しをしてレースウィークを迎えたいと思います。」

ドライバー 吉本 大樹
「スタートから良いペースで追い上げることが出来ましたし、結果としては上出来じゃないでしょうか。予選15番手からスタートしての4位ですから。僕のスティントの終盤、10号車をパスしたあとにピットアウトして来た同じチームの11号車に前を抑えられてしまい、また10号車に抜き返されてしまって。チームプレイではないでしょうけれど、結果としてそれでタイムロスをしてしまったのが、最後に少し響いたのかなと思います。チャンピオン争いの可能性も残していただけに、少し残念でした。ただ、予選でクルマが思うように走らず15番手となってしまったことを考えると、決勝ではクルマもかなり良くなりましたし、4位フィニッシュということで、結果の部分では満足しています。ブレーキに関しては、自分がスタートしてかなり早い段階で厳しい状況となりました。フェードしてしまい、止まらなくなって。みんな同じような条件だったのではないかと思いますが、それが飯田選手の最後の数周は、本当に苦しい状況だったと思いますし、そのためにペースを落とさざるを得ず、4号車に逆転されたのは仕方なかったと思いますが、全体としては、良くリカバリーできたレースだったのではないでしょうか。」

本日のレースクイーン

村上楓むらかみかえで
2025年 / スーパーGT
埼玉GreenBraveサポーターズ
  • auto sport ch by autosport web

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

  • auto sport

    auto sport 2025年7月号 No.1609

    【特集】LE MANS 2025
    “史上最混戦”の俊足耐久プロト頂上決定戦

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円