VivaC team TSUCHIYA
レースレポート
2015 SUPER GT Rd.1 岡山国際サーキット

■日時:2015年4月4〜5日
■車両名:VivaC 86 MC
■場所:岡山国際サーキット(岡山県)
■ゼッケン:25
■監督:土屋春雄
■ドライバー:土屋武士/松井孝允
■チーム:VivaC team TSUCHIYA
■リザルト:予選4位/決勝6位

つちやエンジニアリング始動開始
真の復活を果たすまで挑戦し続けます。

 2008年に活動を休止した最強プライベーター「つちやエンジニアリング」職人・土屋春雄の活躍の場を復活させ、本物のレース屋が用意する環境の中で、次代を担う職人メカニック、そしてプロフェッショナルなドライバーを育てることを第一の目的に、私、土屋武士はこの6年間活動を続けてきました。そして今年、多くの素晴らしい 出会いとご縁があり、2015年スーパーGT開幕戦の舞台に「VivaC team TSUCHIYA」として「つちやエンジニア リング」は復帰することが出来ました。

「人を育てる、歴史を繫ぐ」というテーマで活動を続けてきた6年間で私たちが得たものは、まさに人と人が拘わる和の力です。組織力・資本力を持つ大きな力に対抗するために、私たちのような町工場は人間力で戦うしかありません。その挑戦を再びスーパーGTの舞台で出来ることに感謝し、本当の「復活」を果たすまで、私たちチームの挑戦は続きます。その「最強プライベーター」としての復活までのストーリーをレースレポートとしてお伝えしていきたいと思います。この活動を通して、少しでも多くの方に元気や勇気が伝染していくことを祈りつつ、ドライバーもメカニックもスタッフも、関わる全ての人間が成長していく様をお伝えできるようにチーム一丸となって頑張っていきます! お付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

日本のモノ作りを刺激する
僕らの戦うマシン

 GTアソシエーションが「日本のモノ作り」をテーマに開発・販売した「マザーシャシー(MC)」を使用したトヨタ86が私たちの戦うマシンです。エンジン・モノコック・フロントアンダー&リヤデュフューザーなど、数点のパーツが改造禁止で手を加えることが出来ず、さらに規定パーツを使用しなければならないというルールがあるのですが、FIA GT3のようにホモロゲーションがあるパーツだけを使用し一切の改造は禁止ということはなく、資材を買ってきて自分たちでアイデアを投入しパーツを製作することができるので、モノ作りが好きな職人にとってはまさに待望のマシンです。このMCは基本的にJAF GTと同じレギュレーションテーブルにあるので、直接的なライバルはトヨタプリウス、ホンダCR-Z、スバルBRZになります。これらのマシンは少なからずメーカーが関わっているので、「打倒ワークス」を掲げる我がチームにとっては申し分ない相手です。ただ、長年のライバル16号車無限CR-Zが今期参戦していないことは非常に残念でした。

RD1.フリー走行から予選
完成したばかりの車両の完成度は?

 2回の走行テストを経て、4月4〜5日に岡山で開幕戦が行われました。

 3月1日にマシンがガレージに到着し、そのまま開幕までノンストップでメカニックがメンテナンスと改造を施しました。開幕戦で今期最初のフリー走行を2番手で通過し上々の滑り出し。走行時間の前半は前夜の雨が残っていたため、ドライでの走行時間が少なかったものの、決勝を見据えたセットアップの作業は順調に進みました。ただ予選に向けてのマシンセットは満足いくものではなく、走行データの少なさや、タイヤ開発といった部分の遅れがマシンバランスに響いていることは間違いありませんでした。しかし、予選に向けては大きくセットアップを変更することをせずに挑むことにしました。

 Q1担当はこのレースがスーパーGTデビューとなる松井孝允。松井はジュニアフォーミュラで好成績をあげていたのですが、タイミングよくステップアップできず才能とともに埋もれてしまっていたドライバーです。松井のセンスは抜群でどんなマシンでもすぐにトップレベルで走らせることができる才能を持っています。そしてこのプ ロの舞台でも、いとも簡単に8番手のタイムを記録しQ1を突破しました。「走り方を変えていったんですが、今の自分のトライアルでタイムが出るのかはまだよく分からない……」とは予選後のコメント。常に試行錯誤しながらトライする様は、速く走ることに貧欲で、それ以外は執着があまりないという天才肌のドライバーの本領発揮というところでしょうか。

 そしてQ2は私、土屋が担当。乗り込む前は少々緊張しましたが、走り出したらいつも通り。アタックラップの1コーナーで「やっぱり一発が出るセットじゃないなぁ〜」と思いつつも攻めと抑えをバランスよくリズムよく走っていると、レストラン前のコーナー出口で大量の砂利と遭遇。それを避けたのですが次の W ヘヤピンで少し滑 ってロス。刻んだタイムは1分26秒909で4番手でした。この滑ったロスはコンマ1秒くらいでしたので、それがなければ2番手に行けたと思うと悔やまれる予選結果でした。

 というのも、ここ岡山のサーキットはJAF GT車両の為のサーキット。ストレート区間が短くテクニカルなコーナーが多いレイアウトなので、FIA GT3車両に対して有利なサーキットといえます。逆に富士スピードウェイやツインリンク茂木のような、エンジンパワーがあるマシンが有利なサーキットではかなり苦戦を強いられる為に、シリーズを考えるとこういった「JAFサーキット」では確実にビッグポイントを獲る必要が我々JAF勢にはあるのです。とはいえ、出来上がったばかりのマシンでライバルと遜色ないトップレベルの戦いができたことはよかったかなと思います。

ウエットコンディション、読めない展開
10番手から追い上げ6位でチェッカー

 そしていよいよ決勝日。しかし朝から雨模様のウエットコンディション。ドライ用タイヤはテストで新しくMC用のモノが用意されていたので持ち込んでいたのですが、レイン用タイヤはMC用ではなく、車重が約200kgも重いFIA GT3用のレインタイヤ。それでも決勝日はそれを使うしかない状況でした。正直、ウエットコンディションではトップレベルでは戦える準備はありませんでした。それでもできる限りのことをしようと、あらゆるコンディションを想定したレースプランとセットアップをスタート前まで念入りに考えました。

 今回、私自身がドライバーをやりながらエンジニアをやっているので、こういったコンディションになると本当に時間が足りません。でもグリッドへ着くころには、シミュレーションも終え、現場で出来ることは全てやり切ったという感触があり非常に落ち着いていました。雨が降るか降らないか微妙な天候の中、インターミディエイ トのタイヤをチョイスしてスタート。1コーナーでスリックを選択した11号車SLSを抜きましたが、懸念されていたストレートスピードの遅さの問題であっという間に抜かれました。1周につき2〜3台に抜かれて5周目には10番手まで落ちてしまいました。混戦になると前にマシンがいてコーナーを速く走れないのでこの展開はいたしかたないところです。

 そして雨量も減ってきたことで5番手争いの集団に少し離れてついていくことができるペースで周回を重ねてい たところ、30周過ぎにまた雨が降ってきたので、ここでレインタイヤに換えるタイミングと読み、35周目にピットイン。タイヤ交換・給油・ドライバー交代を行ってピットアウト。実戦デビューとなる松井にバトンを託します。

 一通りピットが落ち着いたところでは順位は変わらず10番手でしたが、ここからの松井のペースが素晴らしく前を行くマシンを追い上げていき、さらに雨量も我々の選んだタイヤに運よくマッチしていたこともあり、あっという間に7番手までポジションアップ。とくに松井に関しては、初めてのレースで500クラスの抜かれ方など心配な部分があったのにも関わらず、まるで何レースもこなしているような順調なペースで追い上げて、最終的にはもう一つポジションを上げ6位でチェッカーを受けることができました。

暑苦しく、面倒くさい、レース屋。
でも大人の青春がここにあります(笑)

 復帰初戦を無事に6位という結果でチェッカーを受けたことはすごく嬉しかったですし、このステージに戻す為にサポートしてくださった皆さんに本当に感謝したいです。ただ、ウエットコンディションになってしまったことで、100の力で戦うことができなかったことは悔しくてしかたありません。JAF勢が戦えるサーキットは限られ ている中で、この岡山が一番のチャンスがあったからです。とはいえ、MCは開発が出来ることと燃費がFIA GT3に対して有利な点があるので、そのメリットを活かして、戦える準備をしっかりとしていきたいと思います。

 そして松井がデビュー戦にもかかわらず素晴らしいパフォーマンスだったことがチームにとってすごくポジティ ブなニュースでした。2008年からチームサムライの一員としてプロになる為に藤沢でずっと一緒に活動してきま したが、この瞬間を迎えられて本当に嬉しいです。しかし当の松井は6位に満足いかなかったようで、全然喜ん でなかったことも頼もしく感じることができました。スーパーGTデビューと同時に、“プロ”としてのデビューといったほうがいいかもしれません。

 暑苦しいともいえるし、情熱がほとばしっているだけともいえる。いわゆる“レース屋”ばかりが集まったチームの戦いが始まりました。6年間の我慢が結集した形でできあがったチームですので、色々と面倒くさいと思われることがあると思います。でもこんなむさくるしいチームを応援したい、一緒に戦ってみたいって思う人がいてくれる限り、レース屋として突っ張っていきたいと思っていますので、そんなちょっと変わった人たちに是非仲間になってもらって、そして応援していただきたいなって思っています。
今後ともよろしくお願いいたします m(__)m

【松井孝允コメント】
スーパーGTデビュー戦というプロの舞台で6位入賞という順位で終えられたことは本当に嬉しく思います。マザーシャーシとうマシンがガレージに届いてから、日々進化していく様子を間近見てきたので、本当に開幕戦が待ち遠しかったです。そこには職人の技がたくさん詰まって、本当の意味で車作りを見させてもらいました。また岡山という遠い地で、応援してくださる皆様のサポートは本当に嬉しかったです。走ることに集中できたことで無事完走・入賞することができました。今年の目標としては1勝することを最初のステップとしたいと思っています。そして簡単ではありませんがシリーズチャンピオン目指します。 応援してくださった方々、メカニック、サムライサポーターズの皆さまありがとうございました。次回の富士では500Kmという長丁場のレースなので完走はもちろんのことしっかりと結果を出しに行きます。応援よろしくお願い致します。

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