VivaC team TSUCHIYA
レースレポート
2015 SUPER GT Rd.2 富士スピードウェイ
■日時:2015年5月2-3日
■車両名:VivaC 86 MC
■場所:富士スピードウェイ(静岡県)
■ゼッケン:25
■監督:土屋春雄
■ドライバー:土屋武士/松井孝允
■チーム:VivaC team TSUCHIYA
■リザルト:予選7位/決勝リタイア
一番得意なサーキットを終え、一番苦手なサーキットへ
開幕戦は我々のマザーシャシーのトヨタ86(86MC)にとって、一番得意と思われる岡山国際サーキットだったのですが、雨によってウエットコンディションになってしまったおかけでパフォーマンスを発揮できず、非常にフラストレーションがたまりました。そして約1ヵ月のインターバルをおいて開催された第2戦。我々の86MCはエンジンパワー的には他車に比べ低く、ストレートが長いコースを苦手とするマシン。今回の第2戦の舞台である富士スピードウェイは世界でも屈指の長いストレートを持つコースですので、今季一番苦戦することが予想されました。そういった意味では、今回が86MCの2戦目として、一番苦手なコースでどれだけのパフォーマンスが出せるかという、真価を図れるラウンドとなります。開幕前の富士テストでいいバランスを得ていたので、開幕戦後は大きなアップデートは施さず、マシンそしてチームスタッフがよりパフォーマンスを発揮しやすい環境を作るべく準備を進めてサーキットへ入りました。
500kmレースの戦い方。予選Q2は松井が志願のアタック!
今回のレースは決勝が普段より200km長い500kmレースということで、2回のピットストップ義務があります。我々の86MCは燃費という点で他車よりも有利なので、ピット回数が多い方がレースでは順位を上げるチャンスが増えます。ただ燃料補給の際の流量速度がマシンによって細かく設定されており、燃費の悪いFIA-GT3のマシンなどより流量速度は遅く設定されていて、そこまでマージンを稼げるわけではありませんが、レースの展開によっては戦略を広くできるメリットもあります。 86MCはスピード勝負では敵わないこの富士では、どれだけレース戦略で上位に食い込めるかが鍵になることが明白だったので、土曜日朝のフリー走行では決勝へのデータ取りをメインにスケジュールを進めていきました。テストのデータから微調整をした程度で持ち込んでいたこともあり、ほんの少し車高を合わせた程度でバランスはOK。すぐにロングランでデータを取った後、走行最後はNEWタイヤで予選シミュレーションをして走行終了しました。タイヤの摩耗、燃費やフューエルエフェクトといったデータをしっかり取って決勝へ向けて理想的な準備をすることができました。
午後に行われた予選はQ1が私、土屋が担当し、Q2を松井が担当しました。開幕戦でもそうでしたが、うちのチームの予選は松井がQ2をやりたいといった時は松井に担
当させることにしています。私がこのマシンを走らせている理由の一番は次代の若手を育てるというもの。それはドライバーだけではなくメカニックもエンジニアも関わる全ての人がこの環境で成長してほしいという想いからですが、単純にドライバーにとってはQ2がメインの舞台なのでプレッシャーも大きくなります。当然スタートの順位にも影響が出るので責任が重い。そういったプレッシャーを感じながらみんなの期待を背負いながら走っていくことで、どんどんプロとしての経験を積んでいって成長してほしいな、と。今回は自ら松井がQ2をやりますと言ってきたので任せることにしました。
そうは言ってもQ1も13位以内に入らなければQ2には進めないプレッシャーはあるのですが、それ以上にまだ松井には負けてられないという私の意地もあり、いい集中を持ってQ1を走った結果は1'37"753の4位。上出来です。多少セクター3でコンサバに走った感はありますが、それでもいいアタックラップだったと思います。
そして松井が走ったQ2では私と同じように計測3ラップ目で記録した1'37"736で7位のタイムでした。悪いタイムではないですが、コンディションや期待値を込めると37秒5がマシンパフォーマンスのベストではないかなということを踏まえるとあとちょいかな、と(笑)。とはいえ、開幕戦ではタイヤのベストパフォーマンスを引き出せなかっだけど、今回ベストの周にまとめることができたのでそこは大きな成長でした。
松井、初めてのスタートドライバーを無難に決めるも、開発途上故のマシントラブル発生
決勝日、朝のウォームアップではセットアップの確認とピットワークシミュレーションを行い、そしてレースの直前まで何パターンものレースプランを準備して決勝スタートを迎えました。そして今回のスタートドライバーは松井。予選同様、多くの経験を積ませることと私かそろそろ楽できるように(笑)スタートを任せました。
86MCはストレートスピードそのものよりも加速が厳しく、富士のレースはスタート後の数周で何台に抜かれるか、どこまで凌げるかということが最大の課題でした。そんな展開が分かっている中で初めてのドライレース&スタートを経験させるということは少し荷が重いかとも思いましたが、まだまだ上を目指している松井にとってはいい肥やしになるのではということが理由のひとつで、もうひとつは1回目のピットストップの際のタイヤ交換や再給油量のオプションがたくさんあって、私がそれを判断することが必要だったので戦略の幅を作るために松井スタートが我々チームにはベストな戦略でした。
期待と不安の中、いよいよ決勝のスタートが切られました。周囲の不安をよそに松井は#55 CR-Zをパスし6番手で1コーナーをクリア。#0 SLSには1周目でパスされ7位に落ちたものの、その後数周はポジションをキープして周回を重ねました。しかし順調だったのもつかの間、4周目に突然パドルシフトにトラブルが発生、シフトアップ
ができないという無線が入りました。その後、色々とトライするものの症状は悪化し、6周目にはシフトができない状態になり、マシンがコース上でストップ。時間をかけて何とかピットまでは帰ってこれたもののパドルシフトのコンプレッサーの交換作業が必要で、30分以上の時間を費やしてしまい完全に勝負権を失ってしまいました。
修復後、ドライレースの経験がない松井にフルタンクからスティント最後のバランス変化やタイヤのグリップダウン、ラップタイム変移などを経験させるために再びコースインしましたが、あと3周で1スティントを走りきるというタイミングで#18の86MCがフロントアームの破損でピットに入ってきたのを見て、我々も大事を見てピットイン。チェックするとアームの同じ場所にクラックがあることを発見したので、ここでリタイアすることを決断しました。
色々あったけど、これこそ望んでいた環境!!
残念ながらこの富士ラウンドはリタイアという結果に終わりましたが、見方を変えると一番苦手な富士でたくさんのトラブルが出てくれたことはポジティブなことでした。アームのトラブルも原因は掴めていてすでに対策されて次のレースは心配ないですし、まだまだ実戦経験の少ないマシンなので色々とトラブルは出てくるでしょう。ただマシンを育てていくことがメカニックたちの腕の見せ所ですし、ひとつひとつの経験が職人を育てていくことになると思います。
そして松井は今回も滞りなく自分の仕事をこなしました。Q2、予選と危なげなく走ったことでまたひとつ自信になったと思います。人の成長には、自信になる経験と悔しい想いをする経験、そして何よりも失敗をたくさん経験することが成長への肥やしになると思います。まだまだシーズンは始まったばかりですが、松井がシーズン終了後にどれだけ成長しているかが楽しみですね。私白身も松井の高い壁になるべく、もう少しドライバーとしてのパフォーマンスを上げていこうと思います。ここまでチーム運営やエンジニア業務の方にウェイトを置いていたこともあって、ドライバーとしての準備は全然できていませんでした。富士ラウンド後ようやく時間が取れるようになってきたので、ここからレースを戦う準備を整えていくことができます。プライベートチーム故、いきなりすぐにはできませんが、ひとつひとつ階段を上っていきチーム全体で成長していきたいと思います。そしてまた今回もたくさんの応援とサポートをいただきありがとうございました! 本当に皆さんの支えが力となって頑張れます。正直、開幕戦後の富士までの間で色々あって辛かったのですが、やっぱり頑張ろうと思わせてくれることがたくさんあって本当に勇気づけられました。これからも皆さんの応援がある以上、頑張り続けますのでこれからもよろしくお願いいたします。ありがとうございました!!
【松井孝允コメント】
今回の富士ラウンドではたくさんの経験をさせてもらえました。フリー走行では組んでいた予定通りにメニューが進み決勝に向けてのバランスまで見れたことでペースは悪くないことが分かりました。予選に関してはQ2を担当させてもらってプレッシャーもありましたが、いざ走り始めるとそのことは考えずにタイヤの性能を引き出すことだけを考えて走れました。
まだアタックラップ自体に満足はできませんが開幕戦より自分の思った通りに動かせるようになっだので今シーズンを戦うには良かった点だと感じました。決勝はスタートドライバーと、今までの経験上でも周りに対してどのくらい通用するのか不安がたくさんある中でその課題をクリアすることができたことは武士さんをはじめとするたくさんの方々のアドバイスのおかけです。ありがとうございます。今回のレースでマシンにトラブルが起こったことは残念ですが、タイに向けてまた進化して挑めるという部分では次戦以降が楽しみです。そして富士でたくさんの応援がありこんなにも多くの方に応援されているのだと感じました。今回は応援してくださった皆様の期待には添えませんでしたが次回のタイでは結果を出しに行きますので改めまして応援宜しくお願い致します。
