WAKO’S EXE ASTON MARTIN
Arnage Racing

SUPER GT Rd.8 MOTEGI 250km
2014/11/15~11/16

「去年の忘れ物を取りに行こう」を合言葉に勝ち取った、完走とポイント。
Arnage Racing結成二年目のシーズンに、有終の美を飾る。

 2014年のSUPER GTシリーズもいよいよ最終戦。今年もシーズンの総決算は、栃木県にあるツインリンクもてぎが舞台となる。

 前戦のタイラウンドでは、6位入賞、ポイント獲得というエキサイティングな成績を収めたArnage Racingであったが、迎えるもてぎラウンドは、昨シーズン、マシントラブルのためにたった6Lapで無念にもリタイヤしなければならなかった苦い思い出のレース。

 Arnage Racingは「去年の忘れ物を取りに行こう」を合言葉に、さらに強い意志のもと、結成から2年間で培ってきたチーム力の総てを賭けて臨むレースとなった。

 タイから車両が帰ってきてから2週間と短いメンテナンス期間に、ガレージでは、もてぎラウンドに向けてのチェックと補修が入念におこなわれた。特に、鈴鹿ラウンド後の慌ただしいタイ向けメンテナンスではカバーできなかった細かい個所も徹底的に点検して、最終戦へ万全の態勢を整え、チームは初冬の色濃い北関東へと向かった。

November 14th
天候:晴れ 路面状況:ドライ
気温:15℃〜19℃ / 路面温度:17℃〜26℃

 10月のタイラウンド開催で実施できなかったもてぎ公式テストが、もてぎラウンドのレースウィーク金曜日の午後に設けられた。気温は低めだったが、秋の日差しが穏やかで青空に恵まれるなか、13時よりテストがスタート。3時間15分という時間内に使用できるタイヤの本数が限られていたことから、チームはテスト開始から1時間後にゆっくり車両をコースに出し、じっくりと車両のチェックを行った。

 テスト終盤では気温の急激な低下からかコースアウトする車両も見られ、赤旗中断を繰り返すうち、16時15分、公式テストは終了した。Arnage Racingのドライバーは加納選手、安岡選手の順で18Lapを走行し、安岡選手が5Lap目に1’50.957をレコードして19位でテストを終えた。

November 15th
天候:晴れ 路面状況:ドライ
気温:Q1開始時 14℃→Q2開始時15℃ / 路面温度:Q1開始時 21℃→Q2開始時22℃
入場者:15,500人

 前日に続き、爽やかな晴天に恵まれたツインリンクもてぎでは、朝9時から公式練習が行われた。この日もマシンは順調で、加納、安岡両選手は、時間いっぱいを使って44Lapを走行した。これまで、両選手共にシミュレーターを使ってのトレーニングを積んできたおかげで、マシンへの理解度は去年より格段に深まっていた。そのためより深化したセットアップが要求されたが、幸い前日に続いて車両の調子がよく、周回を重ねるなかでセットアップは十分に煮詰められた。もともとストップ&ゴーが特性のツインリンクもてぎのコースは、中低速コーナーに強いAston Martinの得意とするところ。両ドライバーの進化に応えるように、去年よりもぐんと戦闘的なセットが決まった。なお公式練習でのベストタイムは7Lap目に安岡選手が出した1.50’842(23台中20位)

 午後、日没時間を考慮して通常より1時間早く予選がスタート。Q1を担当する安岡選手はQ2突破を期してコースに進み出た。しかし、すべての車両からウェイトハンディが解かれた最終戦もてぎのQ1突破の壁は厚く、安岡選手は最後まで懸命のアタックを続けたもののQ2進出は叶わなかった。それでもQ1最終ラップで作戦が的中、1分49秒台が出て15位で決勝を戦う準備ができたことに、チームは士気を上げた。

P1 #11  GAINER DIXCEL SLS 平中 克幸 / ビヨン・ビルドハイム(1'47.796)
P2 #31  OGT Panasonic PRIUS 新田守男 / 嵯峨宏紀(1'47.977)
P3 #4  グッドスマイル 初音ミク Z4 谷口信輝 / 片岡龍也(1'48.500)

P15#50 WAKO’S Exe ASTON MARTIN 加納政樹 / 安岡秀徒(1’49.760)

November 16th Race
天候:晴れ 路面状況:ドライ
気温:16度→18度(スタート時→レース中盤)/ 路面温度:23度→23度 入場者:32,000人

 明け方の冷え込みは厳しかったが、決勝日も朝から青空が広がり、またとない観戦日和に、朝から大勢の観客が詰めかけた。9時からのフリー走行は安岡選手からスタート。ところが走行を開始して間もない3Lap目、「トランスミッションがおかしい!」と安岡選手から駆動系の異常を訴える無線が入った。モニタにはコース上でストップしているAston Martinの姿が映し出される。デフの破損か、プロペラシャフトの異常か…トラブルの部位によってはこれ以上の走行はできない。チーム全員の脳裏に、6Lapしか走れなかった昨年のもてぎラウンドがよぎる。

 このまま決勝に出ることもできずリタイヤしてしまうのか。牽引されて戻ってきた車両をピットに入れ、メカニックが足回りを外して、懸命にトラブルの原因を探る。結果、トラブルはドライブシャフトが破損したことが原因だと判明。幸いドライブシャフトはスペアパーツがあったため、大至急パーツの交換と修理にとりかかった。薄氷を踏むような決勝の朝のトラブル発生であったが、メカニックたちは午前中いっぱいをかけてマシンの修理を終え、ようやくWAKO’S Exe Aston Martinは2014年の最終戦決勝のグリッドについた。

 レース開始は通常より一時間早い13時。栃木県警の白バイとパトカーの先導によるパレードラップのあとフォーメーションラップと続き、いよいよ250km、53Lapのレースがスタートした。スタートドライバーを務める安岡選手は15位から順調に走行を始め、5Lap目にもてぎラウンド決勝のベストタイムとなる1’51.984をレコードし、その後は1分52〜53秒台を中心とした好調な走りでポジションアップしていく。

 そして33Lap目に見かけ上の順位4位で加納選手と交代するためにピットに戻ってきた。チームは言うまでもなく、前戦までと同様にタイヤ無交換作戦をとって、給油のみの素早いピット作業を完了させ、11位でマシンをコースに戻した。加納選手も1分53秒台の非常に安定した走行を見せ、44Lap目、残り6Lapというところで前方の車両をかわして10位にポジションアップ。背後からは88号車の名手織戸選手が猛烈なプレッシャーをかけて迫っていたが、ペースを落とすことなく冷静にドライビングを続けて、見事10位でチェッカーを受けた。

 Arnage Racingはようやく一年越しの雪辱を晴らし、さらに加納選手がレース前にした「10位入賞・ポイント獲得」という公約まで果たすことができた。

P1 #11  GAINER DIXCEL SLS 平中 克幸 / ビヨン・ビルドハイム
P2 #31  OGT Panasonic PRIUS 新田守男 / 嵯峨宏紀
P3 #4  グッドスマイル 初音ミク Z4 谷口信輝 / 片岡龍也

P10 #50  WAKO’S Exe ASTON MARTIN 加納政樹 / 安岡秀徒

<チーム代表 伊藤宗治>
今回のもてぎラウンドは、前年度の借りを返すという意味合いもあり、完走できたことは無論何よりだったのですが、それにも増してドライバー二人の技量が前年度とは比べ物にならないほど上がっており、今年一年を通して二人積んできた努力の成果が表れたようなレースでした。チームもそれに応えることができて、結果ポイント獲得にもつながり、非常に満足しています。年間通じて素晴らしいタイヤを供給してくださったヨコハマタイヤ様、応援してくださったすべての皆様に感謝したいと思います。

<ドライバー 加納政樹>
去年は決勝を走れなかったんで、チームとしても、ドライバーとしても、去年忘れてきたものを拾いに行こうってことで、まず完走っていうのが目標でした。今回は金曜日も練習走行があって、最初から車のフィーリングもよかったし、なんとかQ1突破できたらなあって(ドライバー)二人で言ってたんですけど、コンマ3足らなくて残念でした。ただ、決勝はいつも追い上げる形で行けるんで、後半勝負かなって僕としては思ってました。
やっすーも何とかポジションキープしながら頑張って、タイヤも残してくれてたんですけど、意外と周りがタイヤ無交換作戦できててね。タイヤ無交換作戦はうちのおかぶやったんですけど(笑)周りも行ける方向性のセットを出してきてるんかなあ。そんな中でも(コースに)戻った時が11番、うしろを見たらマネパの88号車もいてたんですけど、前とのギャップも縮めていけそうやったし、何とかあとポジションを一つ上げればポイントが取れるっていう状況やったんでね、何とかプッシュして走ってポイントにつながりました。でもこれって、今までのポイントの取り方と違うんじゃないかなあと。前のポイントの取り方って、こっちの作戦で取ってた部分があったと思うんですけど、今回のもてぎに関しては、タイヤ無交換の周りと同じ条件の中でもポイント圏内を走れた。それって、この2年間アルナージュでやってきて、だんだんスキルアップしたってことで、安岡君含め、みんなで勝ち取った順位やし、ポイントゲットなんじゃないかなと思います。これから来季に向けて、三年目の集大成ができるようにしていきたいなと思ってます。応援してくれる方ももっと増えるだろうし、こうやってこういうレースを続けていくことが大事やと思います。とりあえず今年一年お疲れ様でした。ポイントも4戦取ったしね。また来年もポイントとって、もっと上位で戦えるくらいのレベルアップもしたいですね。

<ドライバー 安岡秀徒>
最終戦もポイントゲットで終われて、ほんとによかったです。今年加納さんはすごく速くなったんですけど、その成果が全部出たようなレースだったので、それが一番うれしかったですね。僕は結構苦しいレースでしたけど、加納さんの熱い走り、激走を見ることができて、ポイントを取れなくても満足できるくらいの、いいレースでした。僕の側からすると、去年(リタイヤしたので)レースをできなかったっていうのは、けっこうハンデだったな。思ったよりもブレーキがきつくて、ブレーキがきついのか、僕がへばっているのかわからないくらい止まんなくて…それに、前の車のペースがなかなか上がらない中で我慢して走ってて、前が空いた瞬間にもうちょっとペースが上げられたらよかったんですけど、ちょっとそこが心残り。でも、ポイントとれて終われたんで、最高によかった。なにしろ、朝のウォームアップ走行でトラブルが出てくれたことが、本当に運が良かったと思います。神様が応援してくれてた証拠ですよね。(笑)一年間頑張って、最後までたどり着いて感慨深かったです。また来年走れるように、みんなで頑張りたいと思います。皆さん、応援ありがとうございました。

<一年を振り返って>
Arnage Racingとしてチームを結成して二年目。無我夢中のまま手探りで突き進んできた感のあった初年度に比べると、カラーリングがWAKO’Sカラーとなったことに象徴されるように、支援してくださるスポンサー様も少しずつ増えて、少しは地に足の着いた活動ができるようになったように思います。これは、ご支援してくださる皆様が、チームの目指す「チームとスポンサー様とファンの皆様が一丸となってレースを楽しむ」というスタンスをご理解頂き、一年を通して温かく見守ってくださったおかげにほかなりません。おかげさまでシリーズ8戦中7戦を完走、そのうち4戦でポイントを獲得しました。ドライバーズポイントランキングでは加納選手が17ポイント19位、チームポイントランキングでは34ポイントを獲得して24チーム中14位という結果でシーズンを終えることができました。一年間ありがとうございました。

☆Arnage Racing SUPER GT2014年シリーズの戦績
Round 1 4/5〜4/6 岡山国際サーキット 13位完走
Round 2 5/3〜5/4 富士スピードウェイ 15位完走
Round 3 5/31〜6/1 オートポリス 8位完走★
Round 4 7/19〜7/20 スポーツランド菅生 4位完走★
Round 5 8/9〜8/10 富士スピードウェイ 16位完走
Round 6 8/30〜8/31 鈴鹿サーキット リタイヤ
Round 7  10/4〜10/5 チャーン・インターナショナル・サーキット 6位完走★
Round 8 11/15~11/16 ツインリンクもてぎ 10位完走★
星印はポイント獲得

 一年間たくさんの応援、ありがとうございました。

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