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スーパーGTニュース

投稿日: 2015.08.10 00:00
更新日: 2018.02.17 09:37

ZENT RC F、SGT富士で今季最高位の2位を獲得


2015 SUPER GT Race Report ZENT CERUMO RC F
#38立川祐路/石浦宏明
第4戦 富士スピードウェイ <FUJI GT 300km RACE>

◆8月9日 (日) Race

決勝総合結果 2位

<決勝> 天候:晴れ |コース状況:ドライ
 タイラウンドからの好調に加え、今回投入されたニューエンジンの後押しを得て2大会連続でのポールポジションをゲットした#38 ZENT CERUMO RC F。自身の持つ最多記録を「21」と延ばした立川はもちろん、その立川にバトンをつないだ石浦もQ1をトップタイムで終えるなど、文字通り絶好調といえるLEXUS TEAM ZENT CERUMOだが、ここまで速さを結果に結びつけられていないだけに、この日の決勝では是が非でも優勝という結果を持ち帰るべく、まずは決勝日の午前9時35分からのフリー走行に臨んだ。

 前日同様、照りつける日差しの中で早朝から気温が上昇、午前9時35分のフリー走行開始時には、既に気温27℃、路面温度38℃という暑さに。セッション開始と同時に立川がステアリングを握った#38 ZENT CERUMO RC Fは、その暑さの中で早々に連続周回に入る。

 立川は1周目を1分33秒983で終えると、翌周には1分32秒756にタイムアップ。さらに周回を続けた立川は、午前9時45分に1分31秒878にまでタイムを上げると、この時点で#38 ZENT CERUMO RC Fを8番手につける。

 そのまま合計10周をこなした立川は、午前9時57分に石浦にステアリングを委ねることとなったが、石浦も計測3周目に1分32秒567をマークするなど6周を消化。この30分の走行では決勝を想定したメニューをじっくりとこなした#38 ZENT CERUMO RC Fは、ポジションこそ13番手ながらも午後の決勝への準備を整えることとなった。

 気温31℃、路面温度45℃となった午後3時。いよいよ66周の決勝レースが始まった。ポールポジションからスタートする#38 ZENT CERUMO RC Fは、スタートドライバーを務める立川のドライブで、白バイ9台、パトカー4台に先導されたパレードラップに続いて1周のフォーメイションラップの後、300km先のゴールを目指して加速体勢に入って行った。

 午後3時07分、気温31℃、路面温度45℃で決勝レースがスタート。立川は鋭い加速を活かし、難なく1コーナーをトップでクリアすると、オープニングラップで一気に1秒3ものマージンを稼ぎだす。さらに2周目に1分30秒976、3周目に1分30秒800のファステストラップをたたき出した立川は、2番手の#36 PETRONAS TOM’S RC Fをじりじりと突き放して行く。

 7周目あたりから早くも周回遅れが現れる中、立川はややペースダウンしながらも順調にマージンを拡大。厳しいコンディションにタイヤの消耗が進みつつも、#38 ZENT CERUMO RC Fは2番手とのギャップを5秒以上としトップを快走していく。そしてLEXUS TEAM ZENT CERUMOは順調に周回を重ねた立川を30周目にピットインさせ、後半スティントを石浦に託すことを決めたが、立川がピットインしようとしたタイミングでピットへの進入路にペースの遅いGT300車両がいたことから、咄嗟の判断で立川はもう1周。結局31周目に立川はメカニックたちの待つピットへ飛び込むことになった。

 ここでタイヤを4輪交換し、ガソリン給油を素早く終えたLEXUS TEAM ZENT CERUMOは、石浦に交代した#38 ZENT CERUMO RC Fをピットアウトさせる。コースに戻った#38 ZENT CERUMO RC Fは、上位陣が次々ピットに入る中いったんは3番手を走行も、スティントを引っぱり先行していた#19 WedsSport ADVAN RC Fと#37 KeePer TOM’S RC Fがピットインした36周目には、予定どおりトップに返り咲く。

 この時点で石浦のリードは5秒7。このまま後半も乗り切れば、待望の今季初優勝かと誰もが思い始めた39周目、2番手に#36 PETRONAS TOM’S RC Fをかわした#1 MOTUL AUTECH GT-Rが浮上する。ペースに勝る#1 MOTUL AUTECH GT-Rは、瞬く間に石浦とのギャップを削り取り、残り20周ほどとなった47周目の段階で、2台は1秒差に接近。周回遅れも石浦の行く手を阻み、2台はテール・トゥ・ノーズ状態となってしまう。

 それでも石浦は#38 ZENT CERUMO RC Fのストレートの速さを武器に、#1 MOTUL AUTECH GT-Rに隙を与えない。セクター3では巧にブロックしつつ、最終コーナーを立ち上がってからはじりじりと#1 MOTUL AUTECH GT-Rを引き離す我慢の展開に持ち込む石浦の奮闘に、ピット内にもこのまま逃げ切りかとの雰囲気も流れた。

 ところが、残り6周となった60周目、トップ2台を凌駕するハイペースで追い上げて来た#24 D’station ADVAN GT-Rが最終コーナーで#1 MOTUL AUTECH GT-Rを捕らえて2番手に浮上してきてしまう。ウエイトが重くストレートが伸びない#1 MOTUL AUTECH GT-Rならば充分抑えきれると思えた#38 ZENT CERUMO RC Fだったが、ストレートも速い#24 D’station ADVAN GT-Rにはなす術がなく、61周目の最終コーナー立ち上がりからの加速で並びかけられてしまい、コントロールラインまでに逆転を許してしまう。

 残念ながら残り僅かのところでトップを明け渡した#38 ZENT CERUMO RC Fは、そのまま2番手でチェッカー。今季初優勝は惜しくもならなかったが、それでも#38 ZENT CERUMO RC Fは今季最高位となる2位を獲得。次戦の鈴鹿からは、ウエイト合計が52kgとなるため燃料リストリクターの装着が義務づけられてしまう#38 ZENT CERUMO RC Fだが、今回獲り逃した勝利を掴み、さらにランキング上位へと浮上するべく万全の体勢で鈴鹿へ乗り込むこととなりそうだ。

ドライバー/立川 祐路
「GT300の周回遅れに遭遇する前に、出来るだけギャップを作ろうと思っていましたので、序盤は予定どおりでしたし、タイヤの消耗も想定していましたから、自分たちの中ではイメージ通りの展開に持ち込めていました。ところが終盤、予想していなかったライバルが現れてしまって。石浦はとても頑張ってくれたと思いますし、24号車を抑えるのは無理だったと思います。石浦が頑張っていなければ、4位もあり得た状況でした。結果的に2位ということで、タイトルを争える位置に戻って来られたことは良かったのですが、今日はレクサス勢との戦いになるものと思っていたものが、終わってみればGT-R勢がトップ4に3台という結果になり、レクサス陣営としては非常に悔しいです。次の鈴鹿ではボーナスポイントも付きますし、きちんとポイントを獲って後半戦のシリーズ争いに持ち込みたいと思います」

ドライバー/石浦 宏明
「立川さんの無線で、タイヤ的にぎりぎりだということは分かっていましたので、無理せずギャップをコントロールするような形で周回していました。けれど、突然1号車がやって来て。バトルをするうちにストレートでこちらに分があることが分かり、なんとかこのまま抑え切れそうだと思ったのですが、その後でやって来た24号車には太刀打ち出来ませんでした。2位に落ちたのは残念でしたが、チームからも24号車は(抜かれても)仕方ない、と言われていましたので、さらにポジションを落とさないようにその後をしっかりと走りました。2位では次戦から燃料リストリクターが入ってしまうのは分かっていましたが、多くのポイントを獲れるときに獲っておこう、という考えもありましたし、今日は自分たちが出来るだけのことをやった結果での2位なので半分悔しいですが、半分は満足しています」

監督/高木虎之介
「立川はもちろんですが、特に後半の石浦はよく頑張ってくれていたんですが……。1号車に追いつかれてからも、なんとかトップを守りきれるかな、と思ったのですが、24号車の終盤の速さは異次元でしたね。予想外というか、残念ですが抑えられなかったと思います。タイム差がありすぎましたし、あのような抜かれ方は久しぶりに見た、というほどでした。もちろん優勝を目標にしていましたので、勝てなかったことはとても残念ですが、その一方で2位という結果によってランキング4位にまで浮上することが出来たことには満足しています。鈴鹿では燃料リストリクターが入りますが、それでも表彰台に入るか入らないか、という戦いは出来るのではと期待しています」