Formula NIPPON NEWS 2009.08.21
全日本選手権フォーミュラ・ニッポン
第7戦・オートポリス ラウンド・プレビュー
3人のドライバーによる熾烈なチャンピオン争奪戦!
このオートポリスでデュバルのタイトル奪取はあるのか!?
九州で3年ぶりのフォーミュラ・ニッポンは絶対逃せない!!
2009年のフォーミュラ・ニッポンも、残すはわずか2戦。8月29、30日にはタイトル争いの天王山とも言える第7戦が行なわれる。この重要な一戦の舞台となるのは、阿蘇の山懐に抱かれたオートポリス(大分県)。アップダウンが激しく、バラエティに富むコーナーに彩られた国内屈指のテクニカルコースだ。またタイヤに厳しいコースという特徴も持っている。ここでは、クルマのセットアップのみならず、ドライバー個々のテクニックも試されることになるはずだ。
ニューマシン初登場のコースだけに波乱は必至か!?
オートポリスでフォーミュラ・ニッポンが開催されるのは2006年以来、実に3年ぶり。つまり新型マシンFN09が、初めて九州のファンの前に姿を現すことになる。ぜひ、その迫力を生で感じ取ってもらいたいものだ。チームにとっても、ほとんどデータを持っていないサーキットということで、波乱の展開が予想されている。
中でも、好調を維持すると見られているのはNAKAJIMA RACINGのNo.31 ロイック・デュバルとNo.32 小暮卓史。他チームに先駆けてFN09の“オイシイ”セッティングを発見したNAKAJIMA RACINGは、リヤダンパーシステムによって、マシンの挙動が非常に安定しており、シリーズ中盤戦からはどこのサーキットでも、他を突き放す速さを見せてきた。しかし、シリーズ後半戦では、他チームもこれに追いつき始めている。中でも、Team LeMansやPETRONAS TOM'Sなどは、上昇の気配。今回のオートポリスでも、ダークホース的な存在となりそうだ。
タイトル争い崖っぷちの小暮が狙うは勝利のみ
一方、タイトル争いに目を転じてみると、そろそろ候補は絞り込まれてきた。現在、ランキングトップに立っているのは、45ポイントを獲得しているデュバル。これに39ポイントのNo.2 ブノワ・トレルイエ(LAWSON IMPUL)が続く。さらに、小暮が26ポイントで3番手と、タイトルの可能性があるのは、わずかにこの3人(次ページのランキング表を参照)。ただし、小暮は今回ポール・トゥ・ウィンを成し遂げたとしても、デュバルが7位以上に入賞した場合には、最終戦を前に権利を失うことになる。それを考えると、実質上タイトル争いは2人のフランス人の間で争われることが濃厚だ。その2人に関しても、現在圧倒的優位に立っているのは、デュバル。今回のレースで、もしデュバルがポール・トゥ・ウィンを果たし、トレルイエが3位以下という結果になれば、早くもタイトルが決定してしまうからだ。それだけに、トレルイエを擁するLAWSON IMPULとしては、決して落とせない一戦。今まで以上に気合いを入れて、巻き返してくることだろう。
チームタイトルも、前戦を終え上位3チームに絞られた(次ページのランキング表を参照)。ポイント差に加えチームの状態を考えるとトップのNAKAJIMA RACINGはかなり優位といえる。だが、このオートポリスでLAWSON IMPULが2台揃って表彰台となれば、最終戦での逆転チャンピオンもあり得ない話ではなくなる。こちらも目の離せない戦いとなるだろう。
勝負の鍵を握るオーバーテイクシステム
そんなギリギリの一戦の中で、今回も効力を発揮しそうなのは、今季フォーミュラ・ニッポンで採用されたオーバーテイクシステムだ。前戦のツインリンクもてぎでも、多くのドライバーがこのシステムを上手く使用し、オーバーテイクを成功させた。一方、後方のマシンから逃れる防御のワザとして駆使したドライバーも見られた。そのオーバーテイクシステム、オートポリスでは、どんな使い方がされるのか?
まず使いどころと思われるのは、メインストレートから1コーナーにかけて。1コーナーが比較的高速のため、スリップにつけばオーバーテイクの可能性は大きく広がる。その他のポイントとしては、第1ヘアピン立ち上がり後の上り区間途中から、第2ヘアピンにかけて、あるいは第2ヘアピン後のジェットコースターストレートも候補となるだろう。ただし、オーバーテイクシステムを使用した場合、第2ヘアピンの進入やジェットコースターストレートエンドの右コーナー進入でのブレーキングのタイミングがズレてくることは避けられない。これをどう制御するかが、ドライバーの腕の見せどころ。そこを上手くこなしたドライバーは、迫力あるオーバーテイクシーンを見せてくれるだろう。
初めてオートポリスを疾走するマシン、激しいバトル、タイトル争いの行方と、見どころ満載のフォーミュラ・ニッポン第7戦は、決して見逃すことのできない一戦となりそうだ。
