ポルシェ カレラカップ ジャパン 2009 第5戦 (富士) レースレポート
ポルシェ ジャパン株式会社(本社:東京都目黒区 代表取締役社長:黒坂 登志明)とポルシェ カレラ カップ ジャパン (PCCJ) 委員会は、ポルシェ カレラカップ ジャパン 2009年シリーズ 第5戦 決勝を、2009年6月14日(日) 富士スピードウェイ(静岡県)にて開催いたしました。
天候:曇 気温:19℃ 路面温度:25℃
前日の晴天だった空模様から一転、富士スピードウェイのスターティンググリッド上には、今にも雨が落ちてきそうな曇り空だ。サーキット発表の天気予報によると、約20分後には雨が降り出す可能性が高い、とアナウンスもされている。そんな微妙なコンディションのなか、ポルシェ カレラカップ ジャパン(以下PCCJ)2009シリーズ第5戦の決勝レースのスタート時刻が迫ってきた。
前日のベストラップ順によって決定される決勝グリッドには、1'45.576のファステストラップを記録した#8清水康弘(A)がポールポジション。その横フロント・ロウには#92中村嘉宏(A)、PCCJ若手育成プログラムにより参戦の#88塙翔(A)と、第4戦の決勝順位どおりに並んでいる。そして4番手にはクラスBトップの#21一ツ山康(B)、その後ろに#13吉田基良(A)、#55水谷晃(B)と続く順列となった。
予定時刻よりやや遅れた12時30分、1周のフォーメーションラップから再びホームストレート上に戻ってきた17台の911GT3カップが、一瞬の静寂の後レッドシグナルのブラックアウトとともに、フラット6のエキゾーストサウンドを奏でながら一斉にスタートを切った。注目された1コーナーの進入では、アクシデントもなく全車がきれいにクリアしていく。また上位陣の順位は、トップ#8清水(A)、#92中村(A)、#88塙(A)、#21一ツ山(A)まではグリッド順のままだが、5番手には9番グリッドからジャンプアップを果たした#3世戸竜児(A)がつけている。
その後オープニングラップでは順位こそ変動はなかったが、#8清水(A)と#92中村(A)の2台が、後続のマシンを引き離し始める。この2台は、いきなり1分46秒台前半のタイムをたたき出しながら、瞬く間に#88塙(A)を置き去りにしていき、早くもマッチレースの様相だ。レース序盤では、トップ2台が抜け出し、3位#88塙(A)が単独走行、その後ろでは#21一ツ山(B)を先頭に、#13吉田(A)、#55水谷(B)のほか数台のマシンがほぼ等間隔で並びつつ集団を形成、まるで互いの動きをけん制しつつ走行しているようだ。
ところが4周目の13コーナー立ち上がりで、#15神取彦一郎(A)と#3世戸(A)が接触し両者がともにスピン。#3世戸(A)は再スタートしてレースを続けるが、#15神取(A)はラジエターを破損してしまいピットイン、そのままリタイヤしてしまう。このアクシデントによりやや集団がバラけてしまった4位グループだが、7周目に#55水谷(B)が#13吉田(A)を抜き5位に浮上すると、11周目には#16マイケル・キム(B)も#13吉田(A)をパスし6位へとポジションアップするなど、見ごたえあるバトルが繰り広げられた。
そんななか、これまでと違う展開を見せたのはトップ争いだ。レース序盤こそ、2秒強まで差が開いたトップ#8清水(A)と2位中村(A)だったが、中盤を過ぎたあたりから#92中村(A)がその差を縮めていく。勢いに乗る#92中村(A)は10周目にこの日のファステストラップとなる1'45.911をマーク。これは何と自身の予選よりも早いタイムだ。しかしレース巧者の#8清水(A)も、安定したタイムを刻み#92中村(A)をなかなかテールトゥノーズ状態には持っていかせない。この戦いはレースの全15ラップ中、全体のベストタイムを#8清水(A)が8回、#92中村(A)は7回を数え、まさにベストラップを応酬しながらの激しい戦いであった。
結局最終ラップに両者の差は1秒以内に詰まるものの、オーバーテイクはかなわず#8清水(A)がトップでフィニッシュ。開幕5連勝を飾った。「今日はかなりキツかったですよ。もうちょっとでテールトゥノーズでしたから。ここで折り返し点なので気を引き締めなおして後半戦に臨みたいですね」と#8清水(A)。一方#92中村(A)も「これまであきらめていましたけど、やればできるんですね。今度の菅生はわからないけど、次の富士はいい勝負になるんじゃないですか」と、今後に期待を感じさせるコメントだ。また終始単独走行で3位に入った#88塙(A)は、「まだちょっとついていけませんでしたね。フロントタイヤをグリップさせるために、ブレーキングを上達させることが課題です」と、まだまだ成長していきそうな気配だ。
一方クラスBでは「クルマも問題なく、後ろとの差を調整しながら無事勝つことができました」と、淡々したレース運びを見せた#21一ツ山(B)が優勝。2位には「レース途中、一ツ山さんの後ろについたとき、追いきれませんでした。そこで踏ん張って何とか追いつくのが今後の課題ですね」と語る#55水谷(B)、そして3位に入った#16マイケルは「スタートに失敗したんですけど、その後はいい感じで走れました。クラスAのマシンをパスするときは無理しないようにしてますよ」と、ポイントリーダーとして冷静なレース運びに徹していたようだ。
今回の富士ラウンドで前半戦が終了したPCCJ2009シリーズ。ポイントランキングではクラスAが、全勝でついに100ポイントまで伸ばした#8清水(A)が、2位の#92中村(A)に18ポイント差をつけてダントツのトップ。3位、4位には#13吉田(A)と#88塙(A)が69ポイントでならぶ展開。またクラスBでは、ここまで3勝を含め、取りこぼしなくポイントを重ねてきた#16マイケル(B)が94ポイントでトップ。そして10ポイント差で#55水谷(B)が続き、3位の#5高見沢は64ポイントと大きく離されているが、今後は第3戦から参加の#21一ツ山が、どこまでポイントを伸ばすかも気になるところだ。
次戦の舞台は再びスポーツランド菅生へと戻り、1ヶ月以上のインターバルを経た7月25日〜25日、SUPER GTのサポートレースとして開催されるPCCJ第6戦/7戦。いまだ#8清水(A)の後塵を拝しているものの、その差は確実に縮まってきつつある#92中村(A)が、どのようなレースを見せてくれるのか?一方クラスBでは、ポイントリーダーの#16マイケルを筆頭に、接戦を繰り広げている#21一ツ山(B)、#55水谷(B)、#5高見沢、#38浜野といった面々のなかから抜け出すのは誰か?といったところに注目が集まる。いずれにしても、大観衆をうならせるほどの素晴らしいレースを期待したいものだ。
■第5戦(富士)決勝結果
Pos.\tCar#\tDriver\tClass\tCar Name\tGap
1\t8\t清水 康弘\tA\tART TASTE CUP\t26'38.932
2\t92\t中村 嘉宏\tA\tPROMODET 997CUP\t0.891
3\t88\t塙 翔\tA\tGARMIN PORSCHE\t11.875
4\t21\t一ツ山 康\tB\tHitotsuyama GT3\t28.376
5\t55\t水谷 晃\tB\tDIRECTION997DRP\t30.183
6\t16\tMichael Kim\tB\tMetavision DRP\t30.606
7\t13\t吉田 基良\tA\tPROVA-ENG997CUP\t31.898
8\t38\t浜野 彰彦\tB\tテクニカルメイトGT3 Cup\t46.947
9\t6\t中山 良明\tA\tDRP 997 CUP\t52.038
10\t5\t高見沢 一吉\tB\t高見沢整骨院OSSOポルシェ\t54.692
11\t2\t桜井 澄夫\tB\tアーテック GT-3\t58.632
12\t54\t天本 昌呉\tB\tBABIE'S 997 DRP\t59.489
13\t7\t海宝 善昭\tB\tアーテック タカラ樹脂 GT3\t1'02.405
14\t3\t世戸 竜児\tA\tアリコ・インタークルーGT3\t1'17.346
15\t10\t石原 将光\tB\tダイヤマンゴーポルシェ\t1Lap
16\t9\t小林 賢二\tA\tこばやし歯科・坂東ポルシェ\t2Laps
以上完走\t
17\t15\t神取 彦一郎\tA\tパワーステーション KRM\t9Laps
