未体験のコースで強いられた我慢の戦い
第6戦で2位入賞を果たす。
全日本F3選手権第6・7戦
6月14~15日
岡山国際サーキット 3.703km
『とちぎル・ボーセ モータースポーツ』が挑む、全日本F3選手権の第3ラウンドが、岡山国際サーキット(岡山県)を舞台に、6月14~15日に開催された。久保凜太郎はここまで5戦3勝で、ルーキーながらF3-Nクラスのランキングトップ。特に前回のツインリンクもてぎ(栃木県)での3連戦は、昨年スーパーFJでチャンピオンを獲得し、走り慣れたサーキットとあって2勝を挙げ、重ねてきた経験を大いに活かすこととなった。対照的に岡山国際サーキットは久保にとって、初めてのサーキットとなり未知の領域での戦いとなる。中低速コーナーの多いテクニカルコースを攻略すべく臨んだ。
予選
6月14日(土)
天候/晴れ コース状況/ドライ
今回も木曜日にも専有走行が行われ、金曜日の2セッションと合わせて5時間の走行が可能となった。岡山国際サーキットでのレース経験はなく、ツーリングカーでのスポーツ走行を1時間だけ経験したに過ぎない久保にとって、貴重なコース習熟の機会。セッションごとにタイムを短縮し、トップには立てなかったものの、差はごくわずか。セットアップも順調に進んでいたこともあり、期待を抱かせることになった。
このレースウィークは梅雨時ながら、木曜日の専有走行開始直後のゲリラ豪雨以外はコンディションに恵まれ、青空の下での走行となった。むしろ気温はやや汗ばむぐらいで、ここからは暑さも相手に戦わなければならないことを、改めて実感させた。それでも予選では、しっかりタイヤのウォームアップを行い、コンディションを整えた上で2周目からアタックを開始する。まず1分27秒714を記録し、次の周には27秒028で狙い通りトップに浮上。その後は他車にタイムを更新されることはなく、第6戦は今季3度目のポールポジションから挑むこととなった。
わずか10分のインターバルではあったが、その間に路面コンディションは急変。第7戦の予選はほとんどのドライバーが、タイムが伸びない状況に。久保は、最初のアタックで27秒888を記し、次の周に27秒835へとタイムアップするも、第7戦は3番手から決勝レースに挑むこととなった。
決勝1
6月14日(土)
天候/晴れ コース状況/ドライ
15周で争われる決勝レース第6戦は、15時55分からのスタートと、土曜日最後のセッションとなった。岡山国際サーキットもまた、オーバーテイクポイントが多いとは言い難いだけに、先頭からレースを開始できるメリットは極めて大きい。
シグナルがブラックアウトしスタートが切られると、久保は出遅れてしまい、2番手で1コーナーを通過。それでもしばらくは離れることなく食らいついていったが、そこにスタート直後のアクシデントで順位を落とした新型エンジン搭載車両がタイミング悪くトップ車両との間に割り込んでくる展開で差を広げられてしまい、その間に後続車両の接近も許すことに。中盤以降、後続車両は引き離すことができたものの、序盤の追走でタイヤを酷使してしまったせいか、トップを捕えることはできず、悔しい2位チェッカーとなった。
決勝2
6月15日(日)
天候/晴れ
コース状況/ドライ
日曜日の12時35分からスタートの決勝レース第7戦は、第6戦より7周多い25周で争われる。太陽が真上に上がっているだけに、今年最も過酷な戦いになるのは必至だった。
スタートで1コーナーまでに1台に先行を許すも、飛び込みのブレーキングで抜き返しポジションをキープ。オープニングラップの終了時点では、前を行く2台とも僅差。プレッシャーをかけ続け、逆転のチャンスを得ることが期待された。
ところが、2周目のアトウッドコーナーで単独スピンを喫してしまう。すぐに復帰はなったが、ほぼ最後尾へと後退。それでも4番手を争う集団との差を着実に詰め、1ポイントでも多く稼ごうと激走を見せた久保。ところが、その間にタイヤの消耗からかペースを維持することが難しい状態となり、5番手の車両が射程圏にいるのだが、終盤での逆転は許されず6位でフィニッシュとなった。
次回のレースは7月12~13日の富士スピードウェイ(静岡県)が舞台。国内随一の高速コースでは、激しいバトルが絶えず繰り広げられる。速さ、強さを見せるべく巻き返しの後半戦へと挑む。
チーム監督 坪松唯夫
限られた時間を有効に使うため木曜日の走行はドライバーの慣熟走行と新たな空力の確認作業とした。路面が出来てきた金曜日の午後の1時間30分で最終的なセッティングを行い、1回目の予選では予想以上のパフォーマンスを見せてくれた。2回目の予選に向けてセッティング変更は行わず、更に良いタイムを出せる感触があったが、突如バランスが崩れてしまった。レース1は結果的にスタートの失敗で決まったようなものだった。レース2はスピンそのもので順位を落としてしまったが、2回目の予選であったようにタイヤの不具合なのかバランス悪化に苦しみ、本来のパフォーマンスが出せないレースになってしまった。
Driver 久保凛太郎
第6戦はポールからのスタートだったので、手応えも感じていたのですが、スタートを失敗してしまいました。その後はスタート直後に順位を落としたCクラスの車両に割って入られた間にギャップを広げられ、ついていくことさえ許されませんでした。第7戦は僕の弱さが出てしまい、スピンは単独です……。その後もリヤが不安定で、厳しい状況の中で必死に追い上げましたが、タイヤも酷使してしまったので、順位を上げることはできませんでした。それでも初めてのコースで、いろいろ学べましたので、この経験を今後に活かしたいと思います。
