2013 AUTOBACS SUPER GT FUJI GT300KM RACE
DRIVER 谷口信輝 片岡龍也

パーフェクトな作戦で5番手スタートから今季初勝利

 2013年9月7日・8日の2日間、AUTOBACKS SUPER GT 第6戦『FUJI GT 300KM RACE』が開催された。前戦POKKA 1000KMをノーポイントで終え、大きな失意を禁じ得なかったチームだが、同時にレース内容としてはいまだTOPレベルにある総合力を証明した事で、士気高くこの300KMのレースへ挑んだ。

9月7日(土)練習走行・予選

練習走行
 第6戦は曇り空の下スタート。厚い雲がFUJI SPEED WAYを覆うコンディションで練習走行が開始された。

 このセッション、まずステアリングを握ったのは谷口選手。チームは9:00のセッション開始と同時にマシンをコースに送り出した。

 コースインした谷口選手はアウトラップに続き、タイヤ評価とセットアップの確認に取りかかったが直後にマシンに違和感を覚え、4号車を一旦PITへ戻した。谷口選手を迎えたPITは即座にトラブルシュートを実施。再びマシンをコースへと戻すが、不具合への不安を完全に払拭する事は出来ず、練習走行はこの後もイン・アウトを繰り返しながらの展開となってしまった。

 4号車はその後、セッションの終盤を迎えようとする頃になって復調。谷口選手は調子を戻した4号車でこのセッションのベストタイム1‘40.531を計測し、ステアリングを片岡選手に託すためにマシンを降りた。

 セッション終盤に谷口選手からマシンを引き継いだ片岡選手は、300クラスのチェッカーまで計測4周を走行。片岡選手のスティントではマシンは不安を感じさせる事無く、4号車はこのセッションを4番手で終えた。

公式予選Q1
 Q1はスケジュールどおり14:00に開始。このセッションは谷口選手がドライブを担当する。

 4号車はセッションスタートと同時にコースイン。アウトラップ後1周をおいて計測2周目からアタックを開始した。谷口選手のドライブする4号車はアタック1周目に1‘40.466を記録。上々の滑り出しを見せ、続くアタック2周目にはその時点での2番手タイムとなる1‘39.861を計測。Q2進出は確実と見た谷口選手は早々にマシンをPITに向けアタックを終えた。

 4号車はこのセッションを5番手で終了。Q2への進出を決めた。

公式予選Q2
 Q1に続けて行われたQ2もオンタイムの14:40にスタート。このセッションは片岡選手が担当する。

 片岡選手がドライブする4号車はQ1同様、Q2スタートと同時にコースイン。アウトラップに続く計測1周目はアタックせず、計測2周目からアタックを開始した。

 片岡選手はアタック1周目に早くもQ1のベストタイムを上回る1‘39.625を記録、続くアタック2周目にはその時点でのTOPタイム1‘39.598を記録した。

 続くアタック3周目、1‘39.703を記録した片岡選手は、計測5周目にタイヤを休ませ最終アタックに備えたが、さらなるタイムアップは難しいと判断。PITにマシンを向けた。4号車はこのQ2を今シーズン予選最高位の5番手で終えた。

9月8日(日)決勝
天候:くもりのち小雨 コース:ドライのちセミウェット
 前夜遅くに降り出した雨が朝には上がって、FUJI SPEED WAYはこの第6戦の決勝日を曇り空で迎えた。

 コースはウェットコンディション。天候がもてば朝のフリー走行で路面状況は改善するかと期待されたが、重く垂れ込めた雲は9時の走行を前に、コース上に雨を落とし始めた。

 4号車のフリー走行は片岡選手のドライブでスタート。途中、コースオフ車両の回収で赤旗中断もあったが、スケジュールはオンタイムで進行した。前半を担当した片岡選手は、決勝に向けたウェットタイヤの評価を実施し、セッション後半を担当する谷口選手は、アウトラップ直後の周回にクラスの3番手のタイムを計測。4号車は、この第6戦で路面状況を問わず一貫して力強い事を証明し、フリー走行を終えた。

 午前のフリー走行時には水煙を上げていたFUJI SPEED WAYだが、その後天候が回復するにつれて路面状況は改善。コースはほぼドライのコンディションとなったが、決勝が近づくにつれ、再び厚い雲が上空を覆い始める中、スタートドライバーを務める片岡選手はマシンをダミーグリッドへ着けた。

 決勝は定刻通り14:00スタート。1周のフォーメーションラップを終え、セーフティーカーがPITロードへ向かうと、500クラスに続いて300クラスがコントロールラインを通過し、第6戦の決勝が始まった。

 コントロールラインを通過した片岡選手は、1コーナー進入で早くも前方のマシンをオーバーテイク。順位をひとつ上げて4番手とし、序盤は更に1分41秒台から42秒台の速いペースで前のマシンの隙を伺うレース展開となった。10周目、2番手を走行中の55号車のリアタイヤにトラブルが発生。タイヤから白煙を上げる55号車はペースを落とし、4号車はこれをパスして3番手に浮上した。片岡選手はその後もライバルと一進一退の戦いを続けるが、オーバーテイクには至らず4号車のレースは数周に渡って膠着気味となった。

 しかし、レースは迎えた17周目に大きく動く。タイヤがバーストした500クラスのマシンがホームストレートでスピン。コンクリートウォールに激しくヒットしたマシンは、パーツの破片をまき散らしながらコース上に停止し、これによってFROが、続いてセーフティーカーが導入された

 天候の急変に対応出来る様、フレキシブルな作戦をとっていたチームは、これを絶好のチャンスと判断。セーフティーカー導入中のPIT閉鎖が解除されるタイミングで4号車を呼び戻し、規定のPITインとドライバー交代を済ませる為、すぐさま万端の準備が整えられた。

 21周目、PITレーンオープン。セーフティーカー先導が続く中、作業禁止が解除されたPITレーンに片岡選手と多くの500クラスのマシンが飛び込む。マシンを迎えたチームは、最小限の作業時間で給油とタイヤ交換を実施。ドライバー交代を済ませ、谷口選手が乗り込んだ4号車を再びコースへ送り出した。

 大混乱のPITレーンを後にした谷口選手はセーフティーカー先導が続くコースへ14番手で復帰。300クラスではセーフティーカー解除直後の周回に3号車がPITインした以外、このタイミングで規定のPITを済ませたマシンは1台もなく、4号車はこの時点で事実上のTOPに立った。

 谷口選手は、コース復帰の翌周に早くもポジションを2つ上げて12番手に、更に翌々周には300クラスこのレースのファステストラップを更新。ポジションも11番手へと上げて行った。迎えた27周目、PIT付近に大粒の雨が落ち始める。雨はその後数周に渡ってコースを濡らしたが、ウェットタイヤへの交換が必要になるまでには至らず、PITに向かうマシンは現れない。

 谷口選手はこの間、前方を走るライバル勢より1~3秒程度速い驚異的ペースでラップを重ね、前方を走るマシンのPIT作業を待たず、コース上のオーバーテイクでポジションを大幅にアップ。雨がほぼ止んだ33周目には6番手、その翌周には5番手へと順位を着実に上げて行った。

 37周目の4号車は4番手。この時、谷口選手の前方を走るマシンは全てルーティンのPITを終えていなかったが、TOPと4号車のギャップは12.6秒。万が一、急激に雨が強くなり再度のPIT作業が必要になったとしても、ライバルの給油時間分のアドバンテージがある4号車は、ほぼ間違え無くTOPを確保出来るポジションまで上り詰めていた。
 42周目。最後まで残っていたマシンがPITに向かい、4号車は遂にTOPに躍り出る。谷口選手はその後もマシンを駆る勢いを緩める事無く、周回を追う毎に2番手以降のマシンとのギャップを拡げ続け、300クラスのレースは62周目にチェッカー。チームは今季初の勝利を上げた。

■鈴木康昭エントラント代表
 鈴鹿で受けた心の傷はかなり深くて、応援してくれるファンのみんなも同じだったかもしれません。心が折れるギリギリでした。それが今日の優勝で傷が癒えて、モチベーションを残り2戦に繋げられる結果になった。それくらい大きな一勝でしたね。フリー走行と予選の内容は悪くなかったので、決勝は期待できると信じていました。天気予報も荒れるとのことだったので、それがうちのチーム的に良い方向に転んでくれればいいなと思っていたら、天気だけじゃなくすべてが良いほうに動いてくれて。SUPER GTを6年やってて、こんなレースもあるんだというのが、いまの正直な気持ちです。まだまだチャンピオンは狙えます。白旗あげるところではありません。オートポリスでも良い成績を残して、最終戦もてぎにはチャンピオン争いを持ち込みたいですね。

■大橋逸夫監督
優勝の要因は、いろんなものがうまくハマったということでしょうね。追いかけてくるライバルたちがトラブルで沈んだのも大きかったと思います。雨に関しては、決勝のときに雨雲が細かく切れていたし富士の近くを大きな雨雲が通ることもなかった。それにタイヤ交換をするかしないかという状況はむしろ谷口選手は得意ですからね。なので、あまり心配はしていませんでした。今回はピットインのタイミングが明暗を分けて、うちは1位で走っていましたが、ピット後の40周くらいはいろんなことがもやもやと頭をよぎりましたね。ただ、谷口選手には、リスクのない自分のペースで走ってくれと言っていたので、ガソリンもタイヤも心配はしていませんでした。

■片山右京スポーティングディレクター
 前戦鈴鹿の結果で、喉の奥に魚の骨が刺さったような感じがずっと続いてました。それが今回の優勝でポロっと取れた感じです。もちろん作戦が良かったというのもあるんだけど、タイヤがちゃんと機能していてドライバーが完璧な仕事をした。これは鈴鹿からそうだったけどけどね。また、あの難しいコンディションの中で、ほかのクルマより2~3秒も速く走れるというのは、全コンディションに対応できるうちのドライバーならではでしょう。あとはsaitomさんのイラストのおかげもあると思います。
ミクさんが雨女で雨に強いというのは、もはやアイルトン・セナの伝説にも近いものになってきたような気がします(笑)。

■谷口信輝選手
 今回は練習走行や予選から調子よくて、もちろんほかに速い車はいるんだけど、早くから手応えを感じていました。決勝は絶対勝ちたいと思ってスタートしたんですが、ピットインのタイミングが絶妙だったし、タイヤも素晴らしくて最後までパフォーマンスが落ちなかったんです。クルマのセットもいい、タイヤもいい、作戦もうまくハマった、そしてチョイ濡れスリックという、僕の見せ場的なシチュエーションもあったので、ここは気合いを入れて頑張らないといかんなと。気がついたら貯金がいっぱいできてて、これで勝ちを確信しましたね。今回もうちのチームのパフォーマンスを見せられたと思います。

■片岡龍也選手
 今日の勝因はズバリ、ピットタイミングでしょうね。もちろんクルマもタイヤもよかったし、1位を取れるパフォーマンスもありました。ただ、レース距離が300kmなのでどこでピットインするかの見極めが難しくて。あのセーフティーカーがベストのタイミングだったんです。チームは迷わずあそこでピットインを決断しました。そのおかげで、全車のルーティンが終わった頃には大量リード。これにはチョイ濡れの状況を驚異的なスピードで走っていた谷口選手のおかげもありますけどね。前戦鈴鹿と同じく、チーム全員がパーフェクトな仕事をしたうえに、さらに運も味方して、最車検も合格できて(笑)、そして優勝できました。

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