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ラリー/WRC ニュース

投稿日: 2022.08.26 16:53

トヨタ時代の強さが復活。後半戦に入り本来のスピードを取り戻したタナク【WRC Topic】

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ラリー/WRC | トヨタ時代の強さが復活。後半戦に入り本来のスピードを取り戻したタナク【WRC Topic】

「強いタナク」が帰ってきた。オット・タナクは2019年にトヨタで世界チャンピオンに輝き、セバスチャン・オジエの連覇記録を阻んだ。しかし、その翌年ヒョンデに移籍して以降は不調が続き、2020年は1勝でシリーズ3位、2021年も1勝でシリーズ5位と、絶不調だった。今季も第3戦クロアチアでの2位を除くと序盤は酷い結果だったが、第5戦サルディニアでの優勝で流れが変わった。サファリ(ケニア)ではリタイアに終わったが、その後エストニアで3位、そしてフィンランドとベルギー(イープル)で連勝するなど、後半戦に入り非常に調子がいい。

 グラベル(未舗装路)のラリー・フィンランドでは、選手権リーダーのカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)と最後まで優勝争いを続け、気合いの走りでロバンペラの追撃を退けた。また、ターマック(舗装路)のベルギーでは早々にロバンペラがリタイアしたとはいえ、チームメイトで昨年優勝のティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)、トヨタのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)との戦いを制し優勝。この2戦については、2019年にチャンピオンを獲った年のような、気合いに満ちた走りが随所で見られた。そういった時のタナクは、ミスもしないものだ。

■ライバルに対して出遅れたヒョンデ。チーム内部は分裂状態にあったとの証言も

 ヒョンデに移籍して最初の2シーズンは、『ヒョンデi20 WRC』のハンドリングに手を焼いているように見えた。i20 WRCはデザインの初期段階からヌービルのドライビングに最適化した設計がなされ、ドライビングが合う、合わないが明確に分かれるマシンだった。

 ダニ・ソルドには合っていたが、セバスチャン・ローブには合わないなど、『トヨタ・ヤリスWRC』や『フォード・フィエスタWRC』よりも、乗り手を選ぶマシンだと言われていた。そしてタナクは、どちらかというと合わないほうのドライバーだった。それについてはタナク自身もある程度認めていて、だからこそ自分が初期から基本デザインに関与できる『i20 Nラリー1』を、心待ちにしていたのだ。

 ところが、i20 Nラリー1は開発が大幅に遅れ、信頼性を充分に確保できぬまま今季の開幕を迎えることに。それが、シーズン序盤にタナクが苦戦した最大の理由である。パフォーマンスを上げる以前に、トラブルシューティングに力を注がなくてはならず、それでもなおトラブルは次々と起こった。

 タナクは苛つき、トラブルを抑え込めないチームを批判。パフォーマンスに関しても不足していることを隠さなかった。その頃、ヒョンデのチーム内部は分裂状態にあったと、とある関係者が証言するくらい、酷い状態だったという。

2連勝でシーズン3勝目を挙げたオット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヒョンデi20 Nラリー1) 2022年WRC第9戦イープル・ラリー・ベルギー
2連勝でシーズン3勝目を挙げたオット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヒョンデi20 Nラリー1) 2022年WRC第9戦イープル・ラリー・ベルギー

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