そのような状況で、クルマがようやく力を発揮できるようになってきたこともあり、タナクは速さを取り戻したのだ。フィンランドではロバンペラと戦うためにかなり大きなリスクを冒し、ベルギーでもエバンスとの僅差の戦いが最後まで続いた。

 トヨタ時代、そのような接戦になった時のタナクは本当に強く、現在のロバンペラに負けずとも劣らない速さと強さを示していた。ようやく、彼本来の力を発揮できる状態にまでに戻ってきたのだ。もっとも、ベルギーでエバンスに10秒のペナルティが課せられなかったら、優勝できていたかどうかは微妙なところだが。

 ただし、2連勝してもタナクはチームに対して厳しい態度を緩めない。技術部門のジュリアン・モンセがチームの副ディレクターを兼務していることを批判し「クルマはまだ完全には良くなっていない」と、開発陣にハッパをかける。タナクは自分自身に相当厳しいが、同じことをチームにも求める。難しいのは、それによって奮起するスタッフもいれば、反感を持つスタッフもいるということだ。

 モンセは「ようやく信頼性を確保できるまでになってきたから、これからはパフォーマンス向上に力を入れていく」と述べるが、開発のメインが来季のクルマにシフトしていることも隠さない。今年使えるジョーカーは残り少なく、またチャンピオンシップでも逆転できる可能性が少ないためだ。

 タナクには来年以降も基本契約が残っているが、チームが強いコミットメントを示さないと、彼は古巣のMスポーツ・フォードに戻る選択肢を選ぶかもしれない。これからの数戦が、タナクとヒョンデにとって非常に重要な戦いとなる。

今季初優勝を果たした第5戦イタリア以降、調子を上げているオット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヒョンデi20 Nラリー1) 2022年WRC第9戦イープル・ラリー・ベルギー
今季初優勝を果たした第5戦イタリア以降、調子を上げているオット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヒョンデi20 Nラリー1) 2022年WRC第9戦イープル・ラリー・ベルギー

本日のレースクイーン

優羽ゆうは
2025年 / スーパー耐久
LOVEDRIVE RACING
  • auto sport ch by autosport web

    FORMATION LAP Produced by autosport

    トランポドライバーの超絶技【最難関は最初にやってくる】FORMATION LAP Produced by auto sport

  • auto sport

    auto sport 2026年1月号 No.1615

    ネクスト・フォーミュラ 2026
    F1からカートまで
    “次世代シングルシーター”に胸騒ぎ

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円