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ラリー/WRC ニュース

投稿日: 2023.04.27 07:10
更新日: 2023.04.27 01:23

悪い流れをリセット。勝田貴元、ワークス参戦のWRCポルトガルは「好きなラリーですし、表彰台を獲りにいく」

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ラリー/WRC | 悪い流れをリセット。勝田貴元、ワークス参戦のWRCポルトガルは「好きなラリーですし、表彰台を獲りにいく」

 ひとつのステージの中でも路面状況が大きく変わり、ラリーカーが走行するたびにコーナーの“インカット”部分のグラベルが路面に掻き出される影響でグリップレベルも激しく変化することから、ターマック(舗装路)ラリーのなかでもとくに難しいイベントとして知られる『クロアチア・ラリー』で、日本人ラリードライバーの勝田貴元は総合6位入賞を果たした。

 イベント後、オンラインによる合同取材に応じた勝田は、WRC世界ラリー選手権でのライバルであり友人でもあったクレイグ・ブリーンの事故死というショッキングな出来事から間を置くことなく開催された同ラリーを振り返るとともに、ワークスノミネートを受け3台目の『トヨタGRヤリス・ラリー1』をドライブすることになる次戦ラリー・ポルトガルに向けた意気込みを語った。

■シェイクダウンでの感触は悪くなかったが、SSではグリップが不足

 勝田曰く、やはり今回のラリーは通常のラウンドとは雰囲気が違うなかでのスタートになったといい、彼自身も切り替えるのは簡単ではなかったようだ。それでも、「グリーン選手のためにも、皆でしっかり最後まで走りきる」という想いを胸に競技に集中していった勝田だったが、競技初日の金曜は路面の見きわめの難しさからうまくリズムに乗れず、ラリーの序盤からタイムを失う展開となった。

 この要因としてはレッキと呼ばれるステージの下見走行が雨の中で行われたことや、路面状況の面で不利になる後方の出走順だったことによるグリップ不足などが挙げられたが、オーバーシュートやSS5でのスピンもそのひとつとなった。

 また、SS6では雨が降ることを見越してMスポーツ勢と同様にウエットタイヤを履いて山岳ステージに臨んだが、予想に反して路面が乾いておりこの選択が裏目に。このミスチョイスによりさら40秒ほど遅れを取った。当時の判断について、勝田としてはすでに大きくタイムを失っていたことから「トライできることはトライしてみよう」と、トヨタ勢でただひとり雨用タイヤを投入したという。

 また、この判断の裏にはSS5とSS6をつなぐ山岳地帯のロードセクション(リエゾン区間)で電波が入らず、ステージ開始前にチームのエンジニアと情報交換ができなかったことも関係している。今大会で優勝したエルフィン・エバンスを含む勝田のチームメイト3人がドライタイヤを選択したのは、SS6開始1時間前の時点でトヨタのクルー全員に対して「スリック(ドライタイヤ)で行くべき」という情報が入っていたためだ。それにもかかわらず勝田を動かしたのは、ライバルチームの姿だった。

「準備としては僕たちもドライで行く方向で用意していました。ただステージのスタート時間を待っている間に(オット・)タナク選手がレインタイヤを付け始めていて、もしかしたらMスポーツには何かしらの情報が入っているのではないか、と。それに対して自分たちはまったく情報が得られていない状況で、さらに僕としてはすでに結構なタイムを失っていたこともあって、賭けじゃないですけど雨が降っている可能性に賭けて自己判断でレインを履きました」と勝田は説明している。

 改善を進めるなかで迎えた土曜日については、ダンパーに不具合が発生。デイ2の午後は急きょ本来使用しないダンパーを使っての走行になったと振り返った勝田は、「そこでかなり(ペース的に)苦戦してしまった部分がクロアチアでの大きな課題のひとつだったかな」と続けた。

勝田貴元がドライブするトヨタGRヤリス・ラリー1(TOYOTA GAZOO Racing WRT) 2023年WRC第4戦クロアチア・ラリー
勝田貴元がドライブするトヨタGRヤリス・ラリー1(TOYOTA GAZOO Racing WRT) 2023年WRC第4戦クロアチア・ラリー

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