トヨタ、公式テストで3000km以上を走破。9社が集うハイパーカー戦国時代の開幕に向け準備を進める
まもなく開幕を迎える2024年シーズンも、引き続きWEC世界耐久選手権に参戦するTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、2月26日から27日にかけてカタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで行われた公式プロローグテストに参加。7号車と8号車、2台のトヨタGR010ハイブリッドで多くの周回を重ね、今週末に行われる第1戦『カタール1812km』に向けて準備を進めた。
トヨタなど既存5メーカーに、アルピーヌ、イソッタ・フラスキーニ、BMW、ランボルギーニという新たなハイパーカーブランドが加わったことで都合9メーカーで争われることになるWECハイパーカークラス。物流トラブルの発生によって、多くのチームに機材やクルマの到着に遅れが出た影響で開催が2日間延期された公式テストには、トップカテゴリーに参戦する全19台のハイパーカーが一堂に会した。
ディフェンディングチャンピオンであるTGRは、トヨタGR010ハイブリッドのセットアップ作業に専念し合計11時間にわたった二日間のテストをトラブルなく終え、2台で合計571周、距離にして3093kmを走破した。
なおチームは今回、タイヤの比較や異なる車両セッティングでの分析を最優先とし、1周のラップタイムはそれほど追い求めず。とはいえ、この2日間は昨年7月のモンツァ戦以来3連勝を続けているTGRチームに、今週末のレースが今まで以上にチャレンジングになることを予感させるものとなった。
実際にリザルトを確認すると、10番手以内に入ったのがセッション2回目に1分41秒789を記録したマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース組7号車の1回のみ。姉妹車でセバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮がドライブする8号車は、1分42秒097が自己ベストとなり最高位はセッション4でのクラス12番手だった。2日間の総合タイムでは7号車が13番手、8号車は15番手だ。
■2台のトヨタGR010ハイブリッドはFP1開始前に組み直される
TGRはセッション1、4が選択制となったことを受け路面コンディションが良くない前者をスキップし、セッション2から走行を開始した。ルサイルでの走行は2023年11月にテストを行っているチームにとっては2度目だ。しかし7号車のドライバーとチーム代表を兼務する可夢偉と、8号車のハートレーは昨年のテストでトヨタGR010ハイブリッドをドライブしなかったため、今回の公式テストがカタールでの初走行となっている。
26日(月)の日没直前からスタートしたセッション2は、5時間にわたって行われた。ドライバーとエンジニアは開幕戦の舞台でもあるルサイルをふたたび習熟し、さらなる経験を積み重ねるのに充分な時間をとることができた。車両の面では、メカニカルおよび空力のセットアップ評価と、タイヤコンパウンドの分析等の広範囲にわたるプログラムが進められた。
翌27日(火)は前日よりも暑くなったコンディションのなか、テスト初日に得られたセットアップデータの解析を行うとともに、ピットストップ練習も実施。午後のセッション4ではタイヤパフォーマンスと信頼性の分析を進めている。
チームはこの後、テストとレースウイークの合間となる28日(水)をフルに使い、合計11時間にわたるテストで収集したデータを基に車両セットアップの最適化を見出すとともに、2台のGR010ハイブリッドを組み直す。そして、29日(木)12時20分/日本時間18時20分から開始される開幕戦のフリープラクティス1に挑むことになる。