100周年記念大会として開催された2023年のル・マン24時間レースから4週間。WEC世界耐久選手権は2023年シーズンの後半戦へと入り、7月7~9日の週末はそのオープニングイベントとなる第5戦『モンツァ6時間レース』がイタリア、モンツァ・サーキットで行われる。ここでは走行開始前日、朝から嵐のようなコンディションとなった6日(木)のパドックから今大会直前のトピックスをお届けする。
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***決勝レースが行われる9日(日)の気温は34℃に達すると予想されている。TOYOTA GAZOO Racing(TGR)のセバスチャン・ブエミはとSportscar365に対し、「週末が進むにつれてタイヤマネジメントが重要になってくるかもしれない。暑いときはデグラデーション(タイヤの劣化)がより進むためだ」に語った。「これまでのシーズンでは気温が高い場合、競争力を発揮できている」
***WECの数台のマシンとドライバーがモンツァのタウンセンターに出向き、ファンイベントを行った。会場では先月フランスで行われたル・マン24時間レースで優勝したフェラーリに特別賞が贈られている。ポルシェとキャデラック、プジョー、そしてプレマが車両を持ち込み、ドライバーはステージ上でサインやインタビューに応じた。
***モンツァに登場した複数のマシンは、前戦ル・マンからのカラーリングを引き継いでいる。トヨタGR010ハイブリッドの2台はフランスで見られた桜の花が追加されたままであり、ORT・バイ・TFの25号車アストンマーティン・バンテージAMRもベースカラーにオレンジを用いたデザインを維持している。
***プジョーの“ル・マン仕様”とされた色鮮やかなカラーリングは、このモンツァ以降の残りのレースでも見ることができそうだ。93号車プジョー9X8をドライブするポール・ディ・レスタは「チーム全体としてこのカラーリングに好意的だと思う。写真で目立つし、より多くのアイデンティティを与えてくれる」とSportscar365に語った。
***Sportscar365は、ル・マンでLMP2クラスのトップチェッカーを受けたインターユーロポル・コンペティションが、ル・マン後の調査が続く中、FIA国際自動車連盟から一部のパーツを除いて、残るすべてのパーツの返却を受けたことを理解している。34号車オレカ07・ギブソンのハーネス(配線)はまだFIAの手元にあるとみられる。調査結果は現在まで発表されておらず、ル・マンのリザルトがいつ確定するのかも未定のままだ。
***モンツァのスタート/フィニッシュ・ストレートでは、フェラーリ499Pとフェラーリ250LMによる特別な写真撮影が行われた。6日(木)は499Pがフィオラノで初めて走行してから、ちょうど1年にあたる日となっている。
■来季の参戦目指すイソッタ・フラスキーニがデモラン実施へ
***イソッタ・フラスキーニは先週、スペインのモーターランド・アラゴンで3日間にわたってティーポ6 LMHコンペティツィオーネのテストを実施した。ハイブリッドエンジンを搭載したデビュー前のLMHプロトタイプは、“JK”ことジャン・カール・ベルネイがステアリングを握り1400kmを走破している。
***JKは次のように語った。「クルマの信頼性とパフォーマンスは大幅に向上している。また、ハイブリッドシステムや電気モーター、ブレーキなど、クルマの重要な部分をすべて理解することができた」
***イソッタ・フラスキーニは、アラゴンでのテスト中、トラックデー用のサーキット専用走行モデル『ティーポ6ピスタ』も走らせた。このふたつのモデルはともにモンツァのパドックに置かれ、同メーカーは土曜日の午後と日曜日の午前中にレース前のデモンストレーション走行を計画している。
***モンツァでは、ダラーラ・エンジニアリングによる、ギブソンV8エンジンを搭載した『777ハイパーカー』もお披露目される。7台の限定販売となる同じくサーキット専用モデルは、FIA公認のダラーラ製モノコックを含むモータースポーツ基準で設計されているが、このクルマは競技用ではない。
***フェラーリAFコルセは、ル・マン優勝から今週末までの間にフィオラノで2日間のテストを行った。テストは1台のマシンで実施されアレッサンドロ・ピエール・グイディがドライブした。またイタリアのメーカーは今春、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツとフロイド・ヴァンウォール・レーシングチームとともに、今大会の舞台であるモンツァでテストを行っている。