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スーパーGT ニュース

投稿日: 2018.08.25 02:52
更新日: 2018.08.25 03:14

鈴鹿10時間:得意コースのはずが……。2台のGT300マザーシャシーが大苦戦中

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スーパーGT | 鈴鹿10時間:得意コースのはずが……。2台のGT300マザーシャシーが大苦戦中

 また、今回第3ドライバーとして加わった井口も「とにかくリヤのグリップがない。タイヤ表面にある一瞬のグリップでしか走れていないです。GT3用では構造が堅すぎて、タイヤ自体を潰せていないですね」と分析する。また、小林も「おそらくタイヤの限界にいると思う」とコメントしている。3人のドライバーたちのフィーリング、そしてコメントはほぼ同じだという。

 一方、Cars Tokai Dream28の加藤も「ワンメイクタイヤだとさすがに厳しいですね。GT3勢は1時間タイヤマネージメントすると言っていますが、うちは1時間走っても半分も減っていない」と現状を教えてくれた。

 これは1100kgという軽い車重、そして純レーシングカーでもあるマザーシャシーのサスペンション形式が大いに関係しているようで、Cars Tokai Dream28の渡邉信太郎エンジニアも「やっぱりサスペンションの形式が乗用車かレーシングカーかということですね。ザックリ言うと基本のディメンションが違います」と語っている。また、GT3カーに比べて170kg〜200kgほど軽いため、本来GT3なら問題ないはずの、タイヤの構造を潰しながらグリップを発揮するということができていない状況のようだ。今回規定でやや重くなっているというが、逆にハンデになっているよう。

「実はスーパーGTのGT3用のタイヤをエヴォーラが履いたこともありますが、やっぱりこうなります」と渡邉エンジニアは教えてくれた。

「クルマはアンダーかオーバーのどちらかなら、ドライバーなら対処できるんです。でも、突然グリップしたと思ったらスパーンといってしまう。トラクションもかけられない」とは中山のコメント。また、小林も「GT3はパワーもあるので、それがタイム差に繋がっていると思います。僕たちはコーナーで頑張るしかないけど、攻めても怖いばかりになってしまう」というから問題は根深い。

■JAF-GTは鈴鹿10時間に出づらくなる?

 ドライバーたちやエンジニアからのコメントを総合すると、GT300マザーシャシーがふだんのスーパーGTでどんな戦い方をしてきたかが逆に浮き彫りになってくる。パワーはGT3勢に比べて無いものの、ダウンフォースとクイックな特性を活かし、ストレートで抜けないハンデをピット作業で逆転するべく、無交換作戦が採れるタイヤをタイヤメーカーとともに開発することが彼らのスーパーGTでの戦い方なのだ。

 しかし、今回の鈴鹿10時間ではピットストップの時間も規定で決まっており、作業でタイムを稼ぐこともできない。また、GT3用のタイヤを履かざるを得ないことから、コース上でタイムを稼ぐことも現状は厳しい状況だ。中山は「セットはいじり倒してます」というが、決勝までにどれほど向上できるか。

 鈴鹿10時間は、日欧のチームが戦うことがコンセプトで、日本からはスーパーGT参戦チーム、スーパー耐久チームの参加が望まれている。当然スーパーGTチームのなかでも、JAF-GTチームの参戦はファンからも大会側からも望まれるものだろう。

 ただ今回の2台の苦闘を見る限り、来季参戦を希望するJAF-GTチームが現れるとは思えない。今回ピレリは大会に大きく貢献しているが、車重も異なるJAF-GT用の“スペシャルタイヤ”を作ることもレースのスタイルや意義を考えると難しいところ。来季以降の大会の仕組み、さらには今後のJAF-GTのあり方にも課題となるのかもしれない。

Cars Tokai Dream28の加藤寛規
86MCをドライブしている井口卓人


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