一度、アスリートとしての限界を経験した寿一、しかし、後半戦に向けて上り調子にあり、今シーズンの活躍を期待していたファンも多いはず。自身も最終戦直後はモチベーションに溢れていたという。しかし、オフシーズンが進むにつれ心境が変化。特に「モータースポーツの面白さを伝える役割を果たせなくなってしまう」と感じたことが大きかったという。

「今はテンション高く話ができていますけど、本当にタイは怖かったんです。このままでは、僕が得意とするモータースポーツの面白さを伝えるという役割を果たすこともできなくなってしまうと感じました。それすらできなくなってしまったら、僕には何もなくなってしまいます」

「2016年シーズンを戦って、ぐちゃぐちゃになりながら今まで通りレースの面白さ、ドライバーの魅力を伝えていくより、少し調子が上がり始めたところでやめようと思いました。もちろん、上がっていった先を見てみたい気持ちもありましたが、上がり続けていく保証はありませんし、スーパーGTはそこまで甘い世界ではありません」

 ただ、今回こういった形で引退宣言することについて、寿一は心残りがふたつあることを明かした。

「やっぱり『今年で辞めます』と言って辞めたかったですね。スーパーGTには各レースにファンがいて、その地方の方々と地域に密着したレースができていると思います。そこに1年間、ありがとうと言いながら戦うことができませんでした」

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