レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.02.10 15:09
更新日: 2022.02.10 15:25

「2022年のZは速い」スーパーGT鈴鹿テストで垣間見えたGT500史上最大の“激戦”勢力図

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


スーパーGT | 「2022年のZは速い」スーパーGT鈴鹿テストで垣間見えたGT500史上最大の“激戦”勢力図

 スーパーGT GT500クラスを戦う3メーカー/3車種が2022年になって初めて同日に、同条件で相まみえるオフシーズンテストが1月25〜26日に鈴鹿サーキットで行われた。

「どのクルマが速いのか、いまの時期には判断できない」

「テストメニューはメーカーやチームごとに違うので何とも言えない」

 例年、シーズンオフのテストで各車両の戦闘力を尋ねると、開発陣やチーム関係者の口から発せられる言葉は、おおむねこういったものだ。タイムシートから分かることは限定的で、たしかにその言葉のとおりだが、2022年は少し様子が違った。昨年までの各車のキャラクターを踏まえて今回のテストを眺めてみると、この鈴鹿ではわずかながら勢力図が垣間見えた。

 今季のGT500は、モノコックやミッションなどの主要コンポーネントに変更はない。しかし、空力開発はクラス1+αが導入された2020年以来、2年ぶりに許されている。

 大前提として、近年の3車の“相対的な空力的キャラクター”は『低ドラッグを活かし富士に強いトヨタGRスープラ』『強烈なダウンフォースを武器とするホンダNSX-GT』『NSX-GTほどではないもののGRスープラよりはダウンフォースが強く、ただしドラッグも大きかったニッサンGT-R』と見えていた。

 そして、今回の鈴鹿テストを見る限り、各メーカーのエアロは長所を伸ばしつつ『いかに短所を克服するか』に重点が置かれているように感じられた。

 ニッサン陣営は、今季から新型Z GT500を投入するが、その空力開発では“もっと富士で戦えるマシン”とすることを標榜している。ニッサンGTチームの松村基宏総監督は、以前に本誌のインタビューで「GT-Rで得ていたダウンフォース量をできる限り保ったまま、どこまで空力効率をよくできるか(ドラッグを減らせるか)」と明言していた。

 つまり、ニッサン陣営は彼らにとってのウイークポイント(富士での他2車に対するビハインド)を改善しつつ、ストロングポイント(鈴鹿での強さ)をいかに維持するかに焦点を当てていたことになる。

 そして、富士でも戦える空力(ドラッグ低減)を目指して開発されてきたはずの新型Zは、ダウンフォースが求められる今回の鈴鹿でも安定して速かった。

 天候に恵まれたものの1月の鈴鹿は気温が低く空気密度が高かったこと、初日午後の走行では12号車にエンジンに起因しているとおぼしきトラブルが起きていたことを差し引いて考える必要があるが、それでも“もっと富士で戦える”ことを狙ったZが、鈴鹿でここまで走れるとは誰も想像していなかった。

 トヨタ、ホンダの両陣営が「2022年のZは速い」と警戒を強めていたのは、こうした背景を踏まえたうえでの言葉だったのだろう。

 近年のGT500はGRスープラとNSXが一進一退の攻防を繰り広げ、ニッサン陣営はそこから半歩後ろを走っていた感が否めない。しかし、新型Zを投入してきた2022年は、3車がほぼ互角の戦いを演じてくれそうな気配が漂う。もしかすると、2022年シーズンのGT500は史上もっとも僅差で、激しい戦いになるかもしれない。

※この記事は本誌『auto sport』No.1570(2月10日発売号)からの転載です。

『auto sport』No.1570の詳細はこちら
『auto sport』No.1570の詳細はこちら


関連のニュース