更新日: 2022.04.17 23:34
TOYOTA GAZOO Racing 2022スーパーGT第1戦岡山 レースレポート
スーパーGT 2022年 第1戦 岡山 OKAYAMA GT 300km RACE
大嶋/山下組GRスープラがポール・トゥ・ウイン
スーパーGTの開幕戦が岡山国際サーキットで行われ、ポールポジションからスタートした大嶋和也/山下健太組 ENEOS X PRIME GR Supra 14号車がポール・トゥ・ウインで昨年に続く2年連続開幕戦勝利を飾りました。
スーパーGT第1戦『OKAYAMA GT 300km RACE』が4月16日(土)、17日(日)の両日、岡山県の岡山国際サーキットで開催されました。日本で最高の人気を誇るモータースポーツ、スーパーGTが例年どおりこの時期の岡山で開幕しました。今季も海外遠征戦こそ見送られたものの、全8戦でシリーズが戦われます。
TOYOTA GAZOO RacingはこのスーパーGTのGT500クラスに、昨年同様6台のGRスープラで参戦。若干のドライバー入れ替わりはありますが、フレッシュな若手からベテランまで頼もしいドライバーラインナップで今季も戦います。
昨年の同シリーズでは、GRスープラ勢は中盤苦戦を強いられながらも、最終戦で大逆転を果たし、参戦2年目で念願のシリーズチャンピオンに輝きました。今季はライバル勢が新たな車種を投入するなど、さらに激戦になることが予想されますが、3年目を迎え、熟成の進んだGRスープラで連覇を目指し戦います。
GT300クラスでは、今季新たに3台のGR86がエントリー。3台のGRスープラ、プリウスとLEXUS RC F GT3が1台ずつの計8台がGT300クラスの激戦に挑みます。また、両クラスにおいてモータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりに向け、各チームとの連携を強化していきます。
土日ともに晴れ渡り、春の陽気に恵まれた岡山国際サーキットのイベント広場には、TGRブースがオープン。GRスープラやGR86の展示、ドライバー応援メッセージ、ドライバーとのリモートトーク、監督トークショーなどで賑わいました。
予選
16日(土)は風が強いながらも好天に恵まれ、午後2時より、気温17度、路面温度21度というコンディションでノックアウト方式の予選が行われました。GT500クラスは、10分間のQ1で15台全車が出走し、上位8台がQ2へと進出します。
昨年の岡山大会で、代役としてのスポット参戦で、初めてのGRスープラながらポールポジションを獲得した阪口晴南が、今季WedsSport ADVAN GR Supra 19号車のレギュラードライバーに昇格。この阪口晴南が19号車のQ1を担当し、まだチェッカーまで時間を残したタイミングながら1分17秒201という好タイムをマークし、暫定のトップに。
昨年劇的な大逆転勝利でチャンピオンを獲得したau TOM’S GR Supra 36号車は、ディフェンディングチャンピオンの意地を見せた坪井翔が最後にこの阪口晴南のタイムを僅か0.024秒上回り、Q1でのトップタイムをマーク。
昨年の岡山大会を制している14号車は山下のアタックで3番手、昨年のチャンピオンながら今季はDENSO KOBELCO SARD GR Supra 39号車へと移籍した関口雄飛が4番手に入り、Q1ではGRスープラがトップ4を独占。そして石浦宏明のZENT CERUMO GR Supra 38号車が8番手にぎりぎりで飛びこみ、GRスープラは5台がQ2へと進出。
今季新たに宮田莉朋とコンビを組む、サッシャ・フェネストラズがアタックを担当したKeePer TOM’S GR Supra 37号車はタイムが伸びず13番手でQ1敗退となりました。
Q2では、各車がセッション終盤に向けてタイムを上げていく中、中山雄一の39号車と大嶋の14号車がファイナルラップにハイペースでのタイムアタックを展開。このバトルを制した大嶋の14号車が、自身としては6年ぶり、チームとしては昨年の最終戦に続くポールポジションを獲得。中山雄一の39号車は最終セクターでロスしたものの、それでも2番手タイム。GRスープラが最前列グリッドを独占することとなりました。
立川祐路がアタックした38号車が4番手。今季よりGT500クラスへとステップアップし、いきなりチャンピオンカーの一翼を担うこととなったジュリアーノ・アレジの36号車は6番手。4番手相当のタイムをマークしていた国本の19号車は走路外走行により当該ラップタイムが削除され、8番手グリッドからのスタートとなります。
GT300クラスは、参戦車両が多いこともあり、Q1は2グループに分けて実施。それぞれのグループ上位8台がQ2へと進出します。
A組では今季よりGR86へと車両をスイッチし参戦するmuta Racing GR86 GT 2号車の堤優威が3番手タイム。大ベテランコンビの復活で話題を呼んだK-tunes RC F GT3 96号車の新田守男が4番手に入り、この2台がQ2へと進出。昨年2勝を挙げランキング3位となったSyntium LMcorsa GR Supra GT 60号車は河野駿佑がアタックするも10番手。今季プリウスからGR86へと車両を変えて臨むapr GR86 GT 30号車は織戸学がアタックするも11番手に終わり、Q1敗退となりました。
B組では、セッションが始まってすぐにスピンでコース上に車両が止まったために13分ほど赤旗中断。残り8分でセッションが再開されると、昨年2度の表彰台を獲得している埼玉トヨペットGB GR Supra GT 52号車を駆る川合孝汰がいきなりトップタイムをマーク。今季より新たにスーパーGTに挑戦するシェイドレーシング GR86 GT 20号車はベテラン平中克之のアタックで52号車に次ぐ2番手。唯一のプリウスとなったapr GR SPORT PRIUS GT 31号車は嵯峨宏紀の懸命のアタック及ばず11番手に終わりました。
Q2はトップ9台がこれまでのコースレコードを更新するという驚くべきハイペースな予選となりました。そんななかでベテラン高木真一の96号車が速さを見せ、最前列2番手グリッドを獲得。清水英志郎の20号車がコースレコード更新タイムで9番手。吉田広樹の52号車が10番手、加藤寛規の2号車が15番手から決勝に臨むこととなりました。
なお、今季からGRスープラで参戦する松井孝允/野中誠太組 HOPPY Schatz GR Supra 25号車は午前中の公式練習走行時にトラブルが発生し、予選は出走できず。決勝までに車両を修復し、最後尾から出場します。
決勝
17日(日)も好天となり、強い日差しに照らされたコース上は気温23度、路面温度33度と暑さを感じる陽気。午後2時よりフォーメーションラップ2周を経て、82周で争われる決勝レースのスタートが切られました。
ポールポジションの14号車は大嶋、2番手グリッドの39号車は関口がスタートを担当。2列目4番手グリッドの38号車立川を含む上位勢は順位変動無くスタートを切りましたが、後方では、6番手スタートの36号車アレジが8番手へ、8番手スタートの19号車国本が11番手へとポジションダウン。
スタート直後から、2番手につける39号車の関口が首位の14号車を猛追。激しくプッシュしましたがパスするまでには到らず。4周目には2台の差は2秒に開くと、その後は14号車がどんどん後方を引き離して行く展開となっていきました。
5周を過ぎたあたりから、GT300の周回遅れ車両が現れ、これをかいくぐりながらのバトルで各車両のマージンが変化していくなか、17周目には4番手走行中の38号車立川がGT300車両にひっかかった隙を逃さず前車をパスし、GRスープラが1-2-3体制となりました。
勢いに乗る38号車立川はさらに前を行く39号車関口を攻め、22周目のバックストレートエンド、ヘアピン進入でかわし、2番手へと浮上。抜かれた39号車関口も離されることなく周回を続けていきました。
GRスープラ同士の激しい2番手争いが繰り広げられている一方で、首位で逃げる大嶋の14号車は、25周を終えたところで2位に16秒という大差をつけての独走態勢となりました。ドライバー交代が可能となる28周を終えた次の周に、2番手走行中の38号車がピットイン。立川から石浦へとドライバー交代を行いました。
翌々周には首位を行く14号車、続く39号車、36号車もピットイン。14号車はこの時点で2番手の車両に17秒以上の差をつけ、大嶋から山下へとバトンを渡しました。
まだピットに入っていない車両がいるものの、ピットを終えた実質的な首位を行く山下の14号車に対し、12,3秒差で追っていた中山の39号車はペースが上がらず、36周目に追い上げてきたライバルの先行を許すと、37周目には38号車の石浦にもかわされてしまいました。
1台がピットを遅らせる作戦を採ったため、この時点での2番手、実質的な首位を行く山下の14号車に対し、それを追うライバルとの差は10秒強で、そこに38号車石浦と39号車中山が食らいつき、実質的な2位争いが激しく繰り広げられました。
52周目にGT500クラスは最後の車両がピットインし、14号車は後続に10秒以上の差をつけて首位に復帰。その後方では3番手の38号車が変わらず2番手を追う一方で、39号車の中山はライバルにかわされ順位を落としてしまいました。
82周という長丁場のレースが後半戦に入ると、接触やスピンが頻発する展開となり、68周目にこの日最初のフルコースイエローが出されました。69周目、フルコースイエローが解除になると、この機に乗じて2番手から8番手までが連なる展開となり、坪井へとドライバー交代して追い上げてきた36号車が39号車をかわして7番手へ。
72周目には激しさを増す2番手争いで、バックストレートで3台が横一線からヘアピンへと進入。大外から攻めた石浦の38号車は1台かわすも別の1台の先行を許し、順位は変わらず。その翌周にはライバルの先行を許し、4番手に後退。76周目には7番手走行中の36号車坪井が1台かわし、6番手へとポジションを上げました。
残り6周というところでGT300車両が1コーナーでクラッシュを喫してグラベルにストップ。残り5周でこの日2度目のフルコースイエローに。残り4周でフルコースイエローが解除され、レースが再開されましたが、首位の14号車は再スタート直後に、直前を走行していた車両がハーフスピンを喫したため避けきれず追突。なんとかそのままレースは継続したものの、大きくタイムをロスし、2番手との差は2秒ほどにまで迫られることとなりました。
ポールポジションスタートから、レースの大半を10秒以上の大差で独走する圧倒的な強さを見せた14号車は、最終盤にその差を詰められたものの、なんとか2秒ほどの差を保ってトップチェッカー。昨年の岡山戦以来、開幕戦2年連続勝利を飾りました。大嶋は通算8勝目、山下は通算4勝目。38号車が4位、36号車が6位、39号車が8位でフィニッシュし、ポイントを獲得しました。
GT300クラスでは、最前列2番手グリッドからスタートを切った新田の96号車が、スタートで5番手へとポジションを落とし、そのままの順位で周回。9番手、10番手スタートの20号車と52号車は順位を守りました。
中盤のピット作業を終えたところで、高木へとドライバー交代した96号車は8番手を走行。前を行くライバル勢との差を詰めていき、5番手争いの集団に加わると、前を行く2台が接触して6番手へと浮上。さらに上位を狙った96号車でしたが、ヘアピンでGT500車両と接触し、車両前部を破損。そのまま走行を続けていましたが、ストレート走行中に突然ボンネットが跳ね上がってイン側の壁にクラッシュ。上位を争いながら無念のリタイアとなりました。
他のGT300車両はトラブルに見舞われるなど上位争いに加わるには到らず、60号車が12位、30号車が13位、20号車が14位、31号車が19位、2号車が20位、25号車が22位、52号車は26位という結果に終わりました。
ENEOS X PRIME GR Supra 14号車 ドライバー 大嶋和也
「去年も開幕戦優勝して、チームとして1年間戦ってきてその間にかなり成長しましたし、去年よりもいい結果が残せるだろうと思ってきてたものの、まさかここまでうまくいくと思ってなかったので、本当にびっくりしています。でも本当にクルマも調子良かったですし、タイヤも最後までグリップが落ちることなく、本当にみなさんのおかげです」
「正直言うと、想定よりもちょっと路面温度が高く、周りよりも高温になると辛いタイヤを選んでいたので、どうなるかと不安もありました。しかし、レース前20分間のウォームアップ走行が終わってから、エンジニアと相談してちょっと設定を変更して、それが非常に良い方向に働いてくれて、なんとか僕のスティントはすごくいいバランスに仕上がりました」
「あとはひとつのコーナーたりとも気を抜くことなく、コンマ1秒でも多くマージンを作って健太に渡そうと思い、ピットに入るところまでプッシュし続け、僕としては非常に良いレースができたなと思っています。健太の後半スティントは50周くらい走らなければならず、そんなロングランのテストもできていないし、終盤はかなりドキドキしましたが、あの辛い状態で健太がなんとか持たせてくれたことに感謝しています」
「開幕戦で勝ったことで、当然ウエイトが積まれますが、その辺をチームと去年から反省点として挙げ、シーズンオフにしっかりと、重くても、燃料リストリクターが絞られてもしっかりと戦っていけるような、戦略面だったり、クルマの作り方だったり、ピット作業だったり、そういった所をかなり強化してきています。去年のように終盤の4、5戦ノーポイントなんてことはないよう、今年こそはリベンジします。
ENEOS X PRIME GR Supra 14号車 ドライバー 山下健太
「まず本当にいいクルマを作ってもらって、チームに感謝しています。前半スティント大嶋選手がすごく速くて、10秒離してくれれば、という話をしていたんですが、実際には17秒も離してくれて、これはもう勝つしかないなという感じで自分のスティントに臨みました」
「僕としてはその17秒差をもっと広げて勝ちたかったんですが、思ったよりもペースが上がらず、GT300車両との巡り合わせが悪かったり、2回目のFCYでも前の車がハーフスピンしてそれにぶつかったりと、ちょっと色々危うい場面があり、最後は100号車にあそこまで迫られてしまいました。そこはちょっと残念ではありますが、なんとか開幕戦を勝つことができ、チャンピオンに向けては良かったですし、今年は去年よりもレベルアップできていると思っているので、しっかりとポイントを獲得してチャンピオンを目指します」