「それでもニッキーは、最後まであきらめないタイプですし、2006年にチャンピオンを獲ったときもそうでしたから、大丈夫だろうと信じていましたが……。よっぽどひどい事故だったんでしょうね…」
■MotoGPから離れてもニッキー・ヘイデンとの仲は健在
2017年の3月にタイで行われたスーパーバイク世界選手権(SBK)第2戦に、青山はアジア・タレント・カップのアドバイザーとして赴いており、たまたまヘイデンと同じホテルだったこともあり、ゆっくり話す機会があったという。
「いろいろ話しましたよ。その中で、新型CBRがなかなか機能していない状況で、ちょっと時間がかかってしまう可能性もあるかなと彼に言うと『僕には時間がないんだ』と言っていたんですよ。そのとき婚約者のジャッキーも一緒だったのですが、婚約してから2年くらい経っていたし、近い将来引退して結婚するのかなと思ったんです」
同い年のヘイデンとは、接点が多かったと語る青山。チームメイトとして走った2014年を始め、昨年は2012年に青山が所属した MuSASHi RT HARC-PRO.から鈴鹿8耐を走り、SBKでは青山が2012年に参戦したテンケイト・ホンダから参戦していた。
「2003年に初めて会って、全く違う境遇で世界にたどり着き、そこから様々な接点を持てたことは、すごく光栄なことです。ニッキーが引退したら、一緒にテストライダーができるかと思っていたので、すごく残念です。ただ、ニュースを見ていても、まだ信じられないというか実感がないですね。またサーキットに行けば会えるような気がしています」
バレンティーノ・ロッシ、ダニ・ペドロサ、ケーシー・ストーナー、アンドレア・ドビジオーゾ、そして青山と、チームメイトとして走ったライダーは口を揃えて「いいヤツ」と語っている。裏表のない、真っ直ぐな心を持っているヘイデンだからこそだろう。吸い込まれそうな碧い瞳に屈託のない笑顔は、多くの人の心の中に永遠に刻まれている。