最終戦の地、バレンシアでは何が起こっても興味深い日となるだろう。69シーズンにわたるロードレース世界選手権最高峰クラスの歴史のなかで、最終戦までタイトル争いがもつれこんだのは、わずかに18回しかない。

 その最初は1950年で、ウンベルト・マセッティがジェフ・デュークと争った時だった。マセッティは速いが扱いの難しいジレラの4気筒バイクを駆り、デュークは速さはさほどないものの扱いやすいノートンの単気筒バイクで戦った。結果的に、マセッティが1ポイント差でチャンピオンを獲得している。

 最終戦までチャンピオン決定がもつれた18回のうち、1978年から1983年と連続したときがある。そのうちの3回(1978~1980年)でチャンピオンに輝いたのがケニー・ロバーツだ。しかし、フレディ・スペンサーと争った1983年、ロバーツはスペンサーにタイトルを奪われる。

 この年、イタリアのイモラで、奇妙なことがあった。“キング・ケニー”のゆがんだファンにより、スペンサーが脅迫を受けたのだ。手紙はスペンサーのガレージの裏に書かれていた。

 スペンサーは週末のほとんどをモーターホームで過ごし、グリッド上では警備員が彼を守った。最終戦でロバーツはレースに勝ったが、スペンサーは2ポイント差でタイトルを獲得。スペンサーはこの年、最高峰クラスの最年少チャンピオン記録を打ち立てた。

 近年では2年前の2015年に繰り広げられた、ロレンソとロッシによるチャンピオン争いだろう。最終戦バレンシアで決着したチャンピオンシップは、5点差でロレンソがタイトルを獲得した。

2015年は、ヤマハのチームメイト同紙によるチャンピオン争いだった
2015年は、ヤマハのチームメイト同紙によるチャンピオン争いだった

 マルケスは2013年、スペンサーの最年少チャンピオン記録を更新した。マルケスがバレンシアでタイトルを獲得すれば、5年間で4度の最高峰クラスのタイトル獲得となり、さらにいくつかの記録を更新することになる。マルケスがチャンピオンになる可能性は高い。しかし、それはまだ『if』なのだ……。

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