MotoGPクラス初年度、Moto2マシンからの乗り換えに腐心し、シーズン中にはライディングに悩みもした。そんな中上がつねに参考にしていたのは、2018年チャンピオン、マルケスだった。

「同じホンダ車両で、ホンダのなかでも頭ひとつふたつ抜けた結果を残しています。1日の終わりにはマルクのデータを見て勉強しています」

 ただ、中上にとって“ライディングの先生”は、チームメイトのカル・クラッチローだ。2018年シーズン前のインタビューで、中上はオフシーズンのテストではクラッチローが「ビックリするほど助けてくれた」と語っていた。その関係性は、今も変わっていない。

中上(右)にとってチームメイトであり、頼もしい先輩でもあるクラッチロー(左)
中上(右)にとってチームメイトであり、頼もしい先輩でもあるクラッチロー(左)

「(クラッチローは)聞けばなんでも答えてくれるんです。だからいろいろ相談しています。ホンダのRC213Vは独特で、オールマイティではないところがあります。カルは違うメーカーを渡り歩いてホンダ機に乗っているので、ホンダ機のよさなども知っています。ホンダのMotoGPマシンの走らせ方は、カルが一番知っているんじゃないでしょうか」

「タイヤに関してもカルの方が早くテストしているので、『これ、よかったから試したらいいよ』って教えてくれるんですよ。ライディングに関しても、『もっとこうした方がいいよ』ってアドバイスをくれます。ほんと、ライディングの先生ですね。すごく助かっています」

 チームメイトのみならず、中上は所属チームであるLCRホンダとも良好な関係を築いている様子。LCRホンダの話題になると、中上は「(チームとの関係性は)ものすごくいいです!」を相好を崩した。

チームメイトともチームとも、いい関係性を築いている。環境は申し分ない
チームメイトともチームとも、いい関係性を築いている。環境は申し分ない

「アットホームなチームです。LCRホンダには今年初めて加入しましたが、このチームのままでワークスバイクに乗れればいいなと思うくらい、居心地がいいんですよ」

「コミュニケーションにもまったく困ってないですし、全員と和気あいあいと話すことができます。シーズン序盤は壁みたいなものがありましたが、話しながら理解し合って関係を築いていき、シーズン後半は本当に仲がよくなりました」

 LCRホンダの代表であり監督を務めるルーチョ・チェッキネロ氏は、元ロードレース世界選手権(WGP)ライダー。中上がチームとチェッキネロ氏に大きな信頼を寄せていることは、その様子からもわかった。

「監督のルーチョさんは本当にいい人で、いつも気にしてもらっています。もともとライダーというのもあって、ライダーの気持ちや悩みをすぐに理解してくれるんですよ。ライディングの先生がカルで、チームについてはルーチョさんに助けてもらっています」

「環境はすごく恵まれています。だから、走りだけに集中して、結果を残せれば(みんなで)ハッピーになれる。2019年は、それを目指します」

 戦闘力の高いマシン、自身を取り巻く環境と条件はそろっている。中上が2019年、見すえている目標はどこなのだろう。

「全19戦あるなかで、どんなときでもシングルフィニッシュが目標です。必然的にプレッシャーを感じるところもあるけれど、まずは安定してレースを終えることですね。そして5位、6位あたりのレースをしたいです。それができるようになれば、次は表彰台を目指します。きっちり自分ができるパフォーマンスを最大限に引き出して、納得のいくレースをしたいと思います」

 2019年は、もうMotoGPクラスの新人ではない。ルーキーたちを迎え撃つ立場にもなる。へレステストでは、進化を遂げた存在感をアピールした。2019年、MotoGPクラスのポディウムに立つ中上の姿を、期待せずにはいられない。

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