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MotoGP ニュース

投稿日: 2020.09.29 09:10
更新日: 2020.09.29 10:54

【レースフォーカス】序盤に攻めたクアルタラロとミル&リンスが最終周に刻んだラップタイム/MotoGP第9戦

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MotoGP | 【レースフォーカス】序盤に攻めたクアルタラロとミル&リンスが最終周に刻んだラップタイム/MotoGP第9戦

 ヤマハライダーのなかでもモンスターエナジー・ヤマハMotoGPにとっては、厳しいレースだった。バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は、この第9戦カタルーニャGPで、2021年シーズンはペトロナス・ヤマハSRTから参戦することを正式に発表。迎えた予選では3番手タイムを記録し、今季初のフロントロウを獲得した。

 決勝レースでは序盤に2番手を走行し、クアルタラロに交わされて3番手に後退するも、再び2番手に浮上。転倒を喫したのは、その2周後、16周目の2コーナー。フロントタイヤの左側の温度が低いとコメントされている今大会では、この2コーナーと5コーナーでの転倒が多発していた。

 いいスタートを切り、タイヤを労わりながら周回を重ねていたというロッシ。しかし、ロッシはモルビデリを交わし2番手に浮上した14周あたりから攻め始めたという。それにはふたつの要因があった。ひとつは、トップを走るクアルタラロから離されたくなかった、ということ。そして、もうひとつは「ドゥカティや、特にスズキがレース終盤で速いバイクだということを僕は知っていたから。そして、彼らがそう遠くない位置にいることもわかっていたんだ」

 そろって表彰台を獲得したスズキは、クアルタラロのみならず、ロッシにもプレッシャーを与えていたのかもしれない。

2020年MotoGP第9戦カタルーニャGP バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)
2020年MotoGP第9戦カタルーニャGP バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)

 そしてもうひとりのヤマハファクトリーライダー、マーベリック・ビニャーレスは、前戦の今季初優勝から一転、対照的な結果となった。5番グリッドスタートのビニャーレスだったが、スタートで大きくポジションダウン。これが響き、9位でレースを終えることになったのだ。

 ビニャーレスはカタルーニャGPの週末で、フロントがロックしてしまうという問題を抱え、その解決に取り組んでいたという。その問題は解決したが、別の新たな問題が浮上。いろいろなものを試すうちに「方向性を見失った」と語る。

 しかし、ビニャーレスはなによりの問題がスタートにあると考えている。ビニャーレスによれば、スタートでヤマハYZR-M1は「いつものように」4速、5速でパワーがなかったという。

「例えば、(1コーナーまでに)ミサノではギヤを1速、2速、3速まで上げる。でも、ここでは僕たちは5速まで上げる。これが違いだと思う。他のバイクは3速、4速、5速で、もっとポテンシャルがある」

 1周目の序盤で15番手にまでポジションを落としたビニャーレスは、その後、約15周にわたってアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)やカル・クラッチロー(LCRホンダ・カストロール)の後ろで周回を重ねた。オーバーテイクができなかった、とビニャーレスは語る。

「ひとりで走っているとき、ラップタイムはいい。けれど、誰かの後ろにつくと、もうオーバーテイクできないんだ」

「もし最前列からスタートできれば、今日はまったく違った結果になっていただろうね。レースの後半では、僕はいつもとても強いから。タイヤには何も問題はないよ。でもこのバイクではいいスタートを切れないと、ポジションを守るのが難しくなってしまうんだ」

 9位フィニッシュにより、チャンピオンシップのポイントランキングは3番手で変わらないものの、トップのクアルタラロとは18ポイント差に開いた。残り6戦、安定した結果のために解決の糸口を見つけたい。

■中上、7位フィニッシュは「ものすごく残念」

 中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)も、第9戦カタルーニャGPを失意のうちに終えたライダーのひとりだった。中上は11番グリッドからスタートして7位でフィニッシュ。しかし、自身としては最上の結果を期待していた。

 中上もほとんどのライダー同様にフロント、リヤともにソフトタイヤを選択。レース序盤は1分41秒台のタイムを刻んだ。上位を走るライダーの1分40秒台と比較すると、このラップタイムは速いとは言えない。しかし終盤に入ると、そのペース、特に最終ラップのタイムは、表彰台を獲得したミルやリンスとそん色ないもの。だからこそ、7位フィニッシュは満足のいく結果ではなかった。

2020年MotoGP第9戦カタルーニャGP 中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)
2020年MotoGP第9戦カタルーニャGP 中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)

「レース序盤、ブレーキングで強くいけませんでした。おそらくですが、タイヤをセーブしすぎたのかもしれません。それで、ポジションを落とし、差を広げてしまいました。でもそのあと、僕はとても速かったんです」

「ラップタイムをキープしていたら、いい結果が獲得できると思っていたんです。レース終盤には、僕は間違いなく最速のライダーでしたし、まだリヤタイヤにはグリップが残っていました。レース序盤にちゃんとマネジメントしていましたから」

 レース終盤にはダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ・チーム)やフランセスコ・バニャイア(プラマック・レーシング)に接近。しかし、ドゥカティライダーをオーバーテイクするのにも苦戦した。

「コーナー中間では僕はとても速いのですが、ドゥカティライダーがそこで少し遅く、僕の加速が鈍ってしまうんです。オーバーテイクできませんでした」

「7位はものすごく残念です。このレースは、優勝のチャンスがあると思っていました。どれほどがっかりしているのか、説明できません」

 無念のレースとなった中上。裏を返せば「優勝」を口にするほど手ごたえを感じていた週末だったということだ。次戦以降に期待が膨らむ。


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