ここからはホンダ勢を見てみましょう。一部のチームでは新型と思われるニッシン製の4ポットフロントブレーキキャリパーを使用。詳細は伺えませんでしたが、肉抜きによる軽量化と剛性を両立させているキャリパーと推察されます。
2022年の鈴鹿8耐で使用された6ポッドキャリパーの進化系でしょうか。ブレーキホースがクイックリリース化された耐久仕様でEWC(世界耐久選手権)に参戦中のF.C.C TSR Honda Franceの2023CBR1000RR-R Fireblade SPにも装着されています。
JSB1000クラス7号車、Team ATJはフロントブレーキキャリパーダクトにカナードを追加。決勝ではカナードなしのダクトに変更されていました。こういった創意工夫、素晴らしいと思います。3Dプリンター万歳であります。
こちらがカナードなしのバージョン。
JSB1000クラス38号車、Honda Dream RT SAKURAI HONDAも内圧センサーを使用。ライダーも若手の伊藤和輝にスイッチした今季、タイヤの使い方含め今後の飛躍が楽しみです。
JSB1000クラス、ホンダCBR1000RR-Rのファンネルです。2番3番と1番4番のファンネルの高さが異なる様子が興味深いです。
ヨシムラにいきましょう。伝統のヨシムラ製R-11sqマフラーは出口には、メッシュが追加されています。
今シーズンから亀井雄大選手を迎えたヨシムラ。タンクには大きめのパットが装着されていました。
その亀井雄大選手。決して悪いリザルトではないと思いますが、表情は終始厳しいままです。自身、チームとしても目指すところはまだまだ先ということでしょうか。シーズンは始まったばかり、これからの伸びに期待したいところです。早く自身の納得する走りで、周囲の雑音を吹き飛ばしてほしいです。
今シーズンのJSB1000クラスには、1100ccのアプリリア RSV4 Factory 1100が参戦。取材された辻野博さんによるとヨーロッパの潮流が1100ccであることから、エンジン内部を触らないストック状態での参加が条件で参戦が実現したとのこと。そのECUがこちら。Aprilia Corse APX2です。
ライダーによると走行中の燃料の噴射、エンジンの燃焼、ライドハイトなどをECUが感知しあらかじめ決めた大枠のモードの中で自動的に走行中に調整を行う機能を備えているとのこと。そのおかげもあってバイオレーシング燃料へもほぼ問題なく対応出来ているとのこと。
同等品かどうかは不明ですが、アメリカでは7400ドル(およそ100万円)でECUとハーネスが購入可能のようです。ただやはりデータエンジニアによる調整は必須のようで、もてぎ戦にもフェラーリF1にスカウトされた経歴の持ち主の優秀なデータエンジニアが帯同していたとのこと。
そのアプリリア RSV4 Factoryを走らせるTeam TATARA apriliaのエース、41号車のサミュエル・カバリエーリ選手のマシンには左親指リヤブレーキレバーを装着。
フロントブレーキキャリパーブレーキダクトはドライカーボン製。
左親指ブレーキと言えばJSB1000クラス、11号車 KRP SANYOUKOUGYO RSITOHの柳川明選手も左親指ブレーキの使い手です。
リヤのブレーキマスターには2系統のブレーキホースが組み込まれます。
さて今シーズンからJSB1000クラスに導入されたバイオレーシング燃料。スーパーGTと同様に燃焼しきれなかった燃料がエンジンオイルに混入する事態は、全日本ロードでも変わらないようです。
一説にはオイルに対してガソリンの含有率が一定数を超えるとエンジントラブルの原因となり得るとのことで、各チームセッション終了後にはオイル交換、または一定の量を抜き新品オイルを足す、といった作業を繰り返していました。
また、かなり硬めのオイルで対処したというところもあるようです。ただメンテナンスをしっかりと行えばトラブルは発生しないということが証明された週末でもありましたので、またひとつ大きな一歩となり、世界に先駆けて実証できたのではないでしょうか。
次戦は、鈴鹿8耐トライアウトを兼ねた大会。スポット参戦組が多数(4月6日時点で71台)のため、燃料をどうするかは協議中のようです。ちなみにヤマハファクトリーレーシングチームの鈴鹿8耐復帰に関して。2022年の8耐を見ていてHRCなどと一緒にレースしたい、という気持ちはあるものの一旦参戦を休止すると、その分を取り戻すことは容易ではなく、バイク造り、体制作りもいちからのスタートとなり、参戦するには勝利が至上命題となるため容易に決断は出来ないとのこと。ヤマハファクトリーの8耐復帰は、もう少し時間がかかりそうです。
皆さま、いかがでしたか。ピットウォークも通常通り開催され久しぶりのライダーとお客さまとの触れ合いが戻ってきたのは、とても喜ばしいことです。パドックも解放されています。先ほどの新入社員メカニックではないですが、レースのメカニックをやってみたい、と思う方はパドックに来てお目当てのチームの監督、メカニックなどに話しかけてみてください。話を聞くだけでも得るものがあると思います。
次回のブログは、6月末のスポーツランドSUGO、アジアの若者が集うアジアロード選手権になります。これから世界に羽ばたいていくアジアの若者の生き様、見逃し厳禁です!