翌日の決勝レースはスプリントから一転、転倒リタイアという結果に終わった。スタートで後退したクアルタラロは、12番手走行中の3周目に高速コーナーの7コーナーでスリップダウンを喫したのである。クアルタラロをオーバーテイクしようと接近していたヨハン・ザルコ(プリーマ・プラマック・レーシング)を巻き込み、そろってクラッシュした。

 決勝レース後の囲み取材にやってきたクアルタラロは、すでにあった左足の固定に加え、左腕を吊っていた。「クラッシュして肘をひねった。だからこういう風に腕を固定しないといけないんだ」と言う。

 怪我としては腕よりも足のほうが深刻だったようだ。このときは「足のほうはチェックしないといけない。でも、普通に考えたら足の指の手術をしないといけないだろう。数週間は少し痛みがあると思う」と説明しており、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPのリリースでは「メディカルセンターでの検査の結果、(7コーナーのクラッシュによる)骨折はなかった」と発表された。その後、同チームのSNSでは、オランダGP後の6月26日月曜日に左足親指の手術が行われ、成功したことが伝えられている。約5週間のサマーブレイク前の怪我だったことは、不幸中の幸いだった。

 転倒の理由については、「スタートでクラッチを離すのがちょっと速すぎて、ウイリーしちゃったんだ。普通のスタートじゃなく、完ぺきなスタートにしたかったんだけど、パーフェクトに近くしようとしすぎて全くだめなスタートになってしまった。かなりポジションを失ってしまったんだ。それで朝(ウオームアップ)みたいに走ろうとしたんだけど、7コーナーでフロントを失ってしまった」と説明する。現状ではオーバーテイクが難しいからこそ、スタートを決めようという気負いがあったのかもしれない。

 このときクアルタラロとバトル中で、転倒に巻き込まれたザルコは、クアルタラロが苦戦しているのがわかって驚いたという。ザルコは指のあたりに少し痛みがあるものの、幸い、大きな怪我はなかった。

「1コーナーで彼をオーバーテイクしようとしたけど、彼はクロスラインで抜き返してきた。彼のバイクは6コーナーでかなり振られていたから、7コーナーで素早く飛び込み、8コーナーでオーバーテイクする準備をしていたんだ。でもその瞬間に彼のフロントが切れ込み、僕は彼のすぐ側にいた。バイクを避けられず、かなりのスピードでクラッシュしてしまったんだ」

 クアルタラロにとってはスプリントレースの3位と決勝レースの転倒リタイア、明暗が分かれたオランダGPとなったのだった。

決勝レースでは3周目に転倒を喫し、リタイアに終わったクアルタラロ(#20)
決勝レースでは3周目に転倒を喫し、リタイアに終わったクアルタラロ(#20)

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