こうした状況のなかで、中上はホンダのレギュラーライダーで唯一、前半戦の8戦に参戦し続けた。スプリントレースではスペインGP、決勝レースではアメリカズGPの転倒リタイアを除いて、完走している。シーズン前半戦のベストリザルトは、オランダGPの8位だ。

 苦況のなかで、どのようにモチベーションを維持してきたのか? と、オランダGPの決勝レース後に尋ねた。中上は、答えにくそうに少し、笑った。

「非常に難しいところですね。僕もやっぱり、この3連戦で悩むこともあったんです。状況がうまくいっていなくて結果も出ていない。でも次に向けて何かあるのか、というと、何もない状態で……。次のレースも、どんなに頑張ってもぎりぎりポイント獲得できるかできないか、という順位での戦いが見えているわけですから。そんななかで、モチベーションを保つのはすごく難しいところでもありました」

「ただ、自分のパフォーマンスを失っているわけじゃないし、自分はこの順位(を走るライダー)じゃない、ということも証明したいという思いもありました。だけど、リスクを負うと転倒して怪我をしてしまうんです。リスクがあまりにも高い状態でした。今でも難しいですね」

「なので、奮い立たせるというか。チームがあっての自分でもあるので、よりチームとのコミュニケーションをとったり、あまりネガティブなことだけを話さないようにしたり。細かなところではありますが、笑顔になるようなことをして、次に走るときに、『どうせだめだから』ってネガティブな状況にならないようにしました」

「こういう状況なので、モチベーションとして難しいところは、正直、あります。ただ、失ってはいない。後ろ下がりにはならないように、常に前向きにベストを尽くすよう、毎セッション走っています」

 答えには、中上の苦悩が詰まっていた。その言葉は、ポジティブとネガティブの間で揺れていた。シーズン前半戦を、中上はまさに振り子のような心中で送っていたのかもしれない。

オランダGPでは今季自己ベストリザルトの8位でゴールした
オランダGPでは今季自己ベストリザルトの8位でゴールした

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