ENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE
第6戦スーパー耐久in富士スピードウェイ
開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km
11月15日(予選)
天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:14,300人
11月16日(決勝)
天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:26,100人
チャンピオンの可能性も残した最終戦。トラブルで涙を飲む……
2025年もaprは、全7戦で争われるスーパー耐久シリーズに、FIA-GT3で競われるST-Xクラスに臨む。DENSO LEXUS RC F GT3をドライブするのは永井宏明選手と蒲生尚弥選手、小林利徠斗選手、そして嵯峨宏紀選手。シリーズ第7戦の舞台は富士スピードウェイで、4時間での戦いとなる『S耐ファイナルFUJI』に臨む。
第5戦のオートポリスで優勝、第6戦の岡山国際サーキットで2位と、aprは今、明らかに波に乗っている。ランキングでこそ2位から3位に下げたとはいえ、トップとの差はわずか8ポイントでしかない。しかも今回は最終戦とあって、通常より1.5倍のポイントが与えられる。
ただし、その一方でST-Xクラスには有効ポイント制度があり、ここまで全戦で完走しているだけに、今回得たポイントを必ずしもすべて獲得できるわけではないという難しさはあるにせよ、ここまで来たら全力を尽くすのみ!
公式予選 11月15日(土)13:35〜
金曜日の専有走行は、雲ひとつない青空の下でスタートが切られた。午前の1回目は、いつもどおり蒲生選手が、最初にDENSO LEXUS RC F GT3に乗り込んでセットアップを進めていく。続いて永井選手がドライブし、チェックが済むと再び蒲生選手が。終了間際に記された1分42秒195が、このセッションのベストタイムとなった。
午後の2回目も蒲生選手からの走りだしとなり、早々に1分41秒687にまで縮め、進めているセットアップの方向性が、正しいことが明らかにされる。その後は永井選手、小林選手、嵯峨選手の順で走行し、予選に向けたチェックを済ませることとなった。
予選が行われる土曜日も好天に恵まれたものの、気温は低下。そのため、ウォームアップは前回の岡山以上、入念に行われた。Aドライバーの永井選手はアウトラップに加え、3周も費やしたほど。しかし、その甲斐あって計測4周目には1分42秒266を記録し、さらに次の周には1分41秒392まで短縮を果たして4番手につけた。トップとの差もコンマ3秒と、ごくわずか。
続いてBドライバー予選に臨んだ蒲生選手だったが、計測時間はAドライバー予選より5分短い10分のみとあって、のんびりしていればタイムアップにもなりかねない。ウォームアップを行いつつ、計測1周目から1分44秒台に入れ、徐々にタイムを縮めていくことに。計測4周目には1分40秒570を記した後、ラストアタックとなる5周目には1分40秒404を絞り出す。しかし、トップとは1秒8も離され、7番手という結果に。合算タイムにおいて、6番手に終わる。
この後、Cドライバー予選では小林選手が、Dドライバー予選では嵯峨選手が決勝で用いるタイヤのスクラブを行い、また決勝に向けたセットアップのチェックを行っていた。
永井宏明選手
「もうちょっとでした。今回も(ウォームアップは)多めにやりました。それで今回はバランス良く、熱を入れられました。セクター1、セクター2はうまいこと、ミスなくまとめられましたが、セクター3でちょっと頑張り過ぎて、タイムロスしてしまったのが悔やまれます。次の予選で蒲生くんにセットアップも調整してもらって、挽回してもらえることを期待しています」
蒲生尚弥選手
「自分たちのベストは出せていると思いますけど、予選が10分間だと、フロントタイヤが温まらず一発はなかなか難しかったです。なので、予選順位はちょっと良くないと思いますけど、その分、決勝は安定して走れるはずなので追い上げに期待してください。最終戦、頑張ります」
小林利徠斗選手
「決勝に向けて、セットのチェックとタイヤの皮剥きをしていました。ここまでセットはいろいろ試して、方向は良くなっていっているんじゃないかと。ただ、自己比較でいくと、全然悪くはないと思いますが、相手のいることなので、明日は精一杯走るのみです」
嵯峨宏紀選手
「雨が降ってきて、グレー路面だったんですが、ちょっと大事を取ってというか、リスクを負うこともないので、あえてレインタイヤで行ったんですけど、思いのほか路面が乾いてきている割には、レインタイヤでも走れているなという感じがあったので、明日の戦略を取る上でのヒントになっていれば良かったかなと。車のバランス的には、ドライと特には変わらなかったので。明日の天気次第で、どういう作戦を取るかという、引き出しを作れたのは良かったと思います」
金曽裕人監督
「タイヤが温まらないから仕方ないですし、フロントタイヤが大きいからこういうことになるは承知の上。10分間でのアタックはRC Fには厳しいです。どうしても低気温になった時は、タイヤサイズの兼ね合いで前々から予選は厳しいし、時間的にはどうしても温め切れないから、アタックではアンダーステアが出てしまいます。そのことに尽きます。だから、明日のスタートもそうだし、アウトラップも今どうやって、そのあたりをリカバリーするか考え中です。真剣に考えています。決勝そのものは安定していると思いますが、それまでの間、最初の10分間で全部やられてしまいます。そこをなんとかしたいですね、方策を探しているところです」
決勝レース 11月16日(日)13:15~
今回は1グループ開催の4時間レースで、3度のピットストップが義務づけられている。ゴール直後に花火が打ち上げられる予定とあって、スタートはやや遅め。スタート進行は、12時20分から開始される。日曜日の富士スピードウェイも寒いままながら、天気はいい。
スタート担当は永井選手。ちなみに今回はアメ車を対象としたST-USAクラスが設けられ、ポールポジションを獲得したのは、そのクラスの車両。といってもFIA-GT3のキャラウェイ・コルベットなのだが、サクセスウエイトを積んでいない分、有利なのは事実であり、また直接タイトルを争う相手ではないから、無理に仕掛ける必要はない。
決勝ではクリーンスタートが切られ、まずはDENSO LEXUS RC F GT3はポジションキープからの発進に。プロドライバーが駆る2台は早々に逃げていくものの、ジェントルマンドライバー同士の争いでは、永井選手は負けるわけにはいかない。2周目にまず1台を、4周目にもう1台をパスして5番手に上がる。
先行するプロドライバーは早めにジェントルマンドライバーと交代したため、23周目に永井選手は2番手に。スティント後半ではあるものの、よりペースを安定して刻むようになり、1番手に離されないどころか、むしろ差を詰めていく。そしてAドライバーに義務づけられた1時間をクリアした35周目に、小林選手とバトンタッチ。2番手のままDENSO LEXUS RC F GT3はコースに戻っていく。
42周目、トップを走り続けていたST-USAクラスの車両が、トラブルを抱えてピットイン。これで小林選手は総合でも2番手に上がる。そして間隔も詰め始めていたのだが、スタートから1時間43分を経過した58周目、ピットに戻ってくる。もちろんルーティンではない。足回りにトラブルを抱えたためだ……。
しかし、これで諦めないのがapr。直すからには徹底的に。ほぼ40分を要し、トップからは28周遅れとなってしまうも、代わった蒲生選手のペースが速い。復帰からしばらくは様子見の走りだったが、問題ないと察してからはトップとも遜色のないタイムで周回を重ねていく。その時点でST-Xクラスは2台のトラブルから、5番手のままではあり続けていた……。
ラスト30分は嵯峨選手が担当。それから間もなく2番手を走っていた車両がトラブルによりガレージイン。周回数では上回っていたから、コースに戻ればDENSO LEXUS RC F GT3は5番手のままながら、復帰できなければ4番手に上がる。他力本願ながら、結果として4位でチェッカーを受けることに。
チャンピオンの可能性も残されていただけに、結果には不満も残るところだが、しぶとさは大いに見せることができた。ランキングも3位のまま。しかし、引き続き挑戦者として、新たなシーズンに臨む。悲願を果たすために!
永井宏明選手
「スタートを担当させてもらって、クリーンなバトルで順位を上げることができましたし、流れも良かったと思っています。車のバランスも予選から決勝に向けて、小変更したことがうまくいって良くなったので、安定して走ることができました。小林くんにいい形で渡せたので、さらに追い上げていって欲しかったんですが、こんなことになっちゃうとは。直してくれてチェッカーを受けられて、リザルトは残すことができましたので、厳しい結果ですけど、満足感のある良いレースだったと思います」
蒲生尚弥選手
「クルマはもう、部品を換えてもらったので大丈夫でした、まぁ、こういうのも含めてレースだと思いますので、はい。でも、出し切ったので悔いはないです。一年間、皆様ありがとうございました」
小林利徠斗選手
「ペースは悪くなかったと思うんですけど、そうですね、僕が乗っている時に壊れちゃったので、仕方ないですね。う〜ん、あのまま走っていけば、もっと他のチームもタイヤとか苦しくなっていたと思うので、優勝のチャンスはあったと思います。決勝に強いセットだったり、走らせ方だったりは、まだ見直せるところはあるので、今後につなげていきたいと思います」
嵯峨宏紀選手
「まぁ、まわりの脱落待ちと言っては失礼ですけど、ただ完走しただけになっちゃいましたね。途中のトラブルがもったいなかったですが、何もなかったとしても、まわりの状況次第だったので、チャンピオンには届かなかったかもしれません。また、仕切り直します」
金曽裕人監督
「クルマのバランスも良くなったし、ドライバー全員のペースも良かったんですが、最終的に足回りに今まで起こったことのないトラブルが出て、こういう結果になってしまいました。今回の案件に対して改善。対策やライフ管理など、再度見直します。昨年に続き、チャンピオンに手が届きそうだったので、何事もなかったらと悔しいです。来年はもう一段、気を引き締めていきます。一年間、皆様ありがとうございました。来年こそ祈願のチャンピオン獲ります」

