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国内レース他 ニュース

投稿日: 2022.09.12 19:18

HELM MOTORSPORTS 2022年FIA-F4第7戦/第8戦鈴鹿 レースレポート

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国内レース他 | HELM MOTORSPORTS 2022年FIA-F4第7戦/第8戦鈴鹿 レースレポート

インディペンデントカップは、まるで「鳥羽劇場」のよう
第7戦は圧勝、第8戦はほぼ最後尾まで落ちてなお逆転勝利!

「HELM MOTORSPORTS」は、今年もFIA-F4選手権に挑む。3年目となるシーズンは3台体制とし、鳥羽豊が継続で、そして堀尾風允を新たに擁することになった。さらにスポット参戦の佐藤巧望を、前回に続いて加えている。シリーズは全7大会・14戦での開催が予定され、第4大会の舞台は鈴鹿サーキットだ。

 前大会の富士において、堀尾はようやくトンネルから抜け出せたようだ。予選がキャンセルされ、試行錯誤中だった金曜日の専有走行でレース1のグリッドが決しただけに、ここでは入賞ならなかったものの、その中で見出した光明によってベストラップでは8番手に。好位置からスタートしたレース2ではポジションアップも果たし、6位でゴール。今季最上位を得たからだ。

 対照的に佐藤にとっては、悔しさだけが残る週末になっていた。なんと2レースともに追突され、無念のリタイア。経験の少ない富士だけに、せめてマイレージを稼いで今後の糧としたかったが、それさえ果たせずに終わっていた。

 鳥羽に関しては、もう言うまでもないだろう。レース1こそインディペンデントカップ2番手からの発進だったものの、苦手なはずのスタートを決めて、1コーナーまでにトップに浮上。そのまま逃げ切れば、レース2では最初から最後までトップを守り抜いて、今季5勝目をマーク。ランキングのトップとして、よりリードを確固たるものとしていた。鈴鹿サーキットでの今大会は、3人揃って好結果を残すことが期待された。

Qualifying

 今回も走行開始は木曜日から。再び予選は2組に分けられ、鳥羽がA組、堀尾と佐藤がB組での走行となった。木曜日のセッション1はA組だけの走行に。ここで鳥羽はトップからコンマ4秒遅れの2分12秒733をマーク。続いてB組だけのセッション2が行われ、佐藤は2分11秒499、堀尾は2分11秒523と、それぞれトップから1秒遅れずにいたが、11番手と13番手で今ひとつ。セッション3は全車が走行するも、序盤のみドライコンディションで、途中から雨が降り出したこともあり、3人ともタイムを伸ばすことはできなかった。

 金曜日のセッション1は、逆にB組だけの走行。佐藤がトップのコンマ6秒遅れとなる、2分9秒561にまでタイムを伸ばすも、堀尾は2分9秒928留まり。セッション2では鳥羽が2分11秒260で2番手ながら、トップとの差はコンマ01秒を切るまでに詰めていた。そして、再び全車走行となったセッション3では、温度の大幅な上昇によって全体的にタイムが伸びなかった中、鳥羽が2分12秒101で待望のトップに浮上。佐藤は2分11秒112で16番手と、まだまだ波に乗り切れずにいた。

 続いて土曜日の朝に行われた予選は、A組の鳥羽から走行を開始。コンディションにも恵まれたこともあって、計測2周目からアタックを始めて、いきなり2分11秒台へ。次の周にベストタイムとなる2分11秒020を記録し、さらに2周後にはセカンドベストタイム、2分11秒087をマークし、ともにインディベンデントカップのトップとした。

 その鳥羽からのインフォーメイションを受けて、B組に臨んだ堀尾、佐藤はやはり計測2周目からのアタックとし、3周目にタイムが出せた暁には、いったん完全にクールダウンを行おうという算段に。これは正解で、堀尾は2分10秒168を記録した後、2分9秒973にまでタイムアップ。佐藤もまた、2分10秒145を記録した後、2分10秒004にまで短縮を果たす。しかし、ふたりとも場所取りは良くなかった感も……。そのため、堀尾は9番手と10番手となり、佐藤は11番手と9番手となった。

QF COMMENTS
#61 Driver Sato Takumi

「車が思っていたフィーリングと違って、場所取りも悪かったので、うまくまとめられませんでした。ただ、方向性は見えていますので、決勝では上がっていくのみです」

#62 Driver Horio Fuma
「僕のミスです、場所を含め。僕の脳みそが足りませんでした(苦笑)。それでみんなに迷惑かけているので、決勝では挽回できるようにしていきます。反省はしますけど、喪王終わってしまったことを引きずっていてもしょうがないので、決勝では本来のパフォーマンスを発揮して、全力でバトルしてきます!」

#63 Driver Toriba Yutaka
「もっと行けるはずなんですけど、う〜ん。ちょっと置きに行っている感もあり、正直、10秒台は見えました。後悔はたくさんあって、これで決まったなという感触ではなかったので、ちょっと悔しくて。もちろんインディペンデントのトップだったのは嬉しいですけど、なんか消化不良というか。これを決勝に向けてアジャストして、高いレベルでコンスタントに走らなければいけないですね」

2022年FIA F4第7戦鈴鹿 佐藤巧望と堀尾風允(HELM MOTORSPORTS)
2022年FIA F4第7戦鈴鹿 佐藤巧望と堀尾風允(HELM MOTORSPORTS)

Rd7決勝レース
8月27日(土)天候:晴れ
路面状況:ドライ

Race1

 堀尾が15番手、佐藤が19番手、そして鳥羽がクラストップで臨むレース1。それぞれ無難なスタートを切ってレースを開始するも、オープニングラップのヘアピンで2台が絡むアクシデントが発生、すぐにセーフティカーが導入される波乱の幕開けとなった。

 4周目にリスタートが切られ、堀尾は小気味良く前を行く車両を抜き続けていくも、130Rでクラッシュがあり、またしてもセーフティカーが導入される。9周目からバトルは再開され、14番手からさらなる浮上を狙った堀尾だったが、リスタート直後の2コーナーで痛恨のスピンが。これで大きく順位を落としてしまう。

 一方、佐藤もバトルを繰り広げるのだが、オーバーテイクにはあと一歩の決め手を欠いていた。10周目にやっと1台をかわして17位でフィニッシュ。堀尾は26位だった。鳥羽にとっては、まさに盤石のレースとなっていた。スタートを完璧に決めると、あとはもうインディペンデントカップの車両を一切寄せつけず。若手とのバトルも危なげなくこなし、7勝目を挙げることとなった。

Race COMMENTS
#61 Driver Sato Takumi

「まずスタートが自分の中では全然ダメで、そこが一番の反省点です。バトルの中では、前の車に近づきすぎてダウンフォースは抜けちゃうし、前の車はスリップ着いているので、なかなか前に出ることができませんでした。ペースはあったと思いますから、スタートさえ決められていれば、違った展開になったかもしれません。明日は少し前の方からスタートできるので、今度こそスタートを決めて、シングルでは帰って来られるように頑張ります」

#62 Driver Horio Fuma
「14番手まで追い上げていったんですが、2回目のリスタート後に、前が勢いよく飛び出しちゃって、それにつられて粘っていたんですが、縁石にスキッドが当たって、それでスピンしてしまいました。恥ずかしいんですけど、勢い余ってという感じですね、僕も狙ってはいたんですが……。着々と抜いていって、だいぶ攻めの姿勢は見せられたとは思いますが、ポイント獲りたかったですね」

#63 Driver Toriba Yutaka
「バッチリでしたね(笑)、どうしたのってぐらい、スタートが良くて。そこからは全然、危なげなく行けました。若手もだいぶいて、本当はもっとリスク負ってでもバトルしたいなと思ったんですけど、シリーズがかかっていますし、(齋藤)真紀雄くんがずっと2位で来ているじゃないですか?点数はある程度開いていますけど、ここでクラッシュしてノーポイントというのが一番痛いので、そのことだけを頭に入れて、ある程度のリスクはとりますけど、安全に戦えるようにきれいなレースをしようとやっていました」

2022年FIA F4第7戦鈴鹿 インディペンデントカップを制した鳥羽豊(HELM MOTORSPORTS)
2022年FIA F4第7戦鈴鹿 インディペンデントカップを制した鳥羽豊(HELM MOTORSPORTS)

Rd8決勝レース
8月28日(日)天候:晴れ
路面状況:ドライ

Race2

 レース2は佐藤が17番手から、そして堀尾は19番手からのスタートに。だが、ふたりともスタートを決めきれず、ひとつずつ順位を落としてしまう。しかし、佐藤は2周目に相次いで3台をかわして15番手に、堀尾も18番手に浮上する。その後も前走者の後退によって、ひとつずつ順位を上げ、その勢いをキープしたいところだったが、3周目終了前後のタイミングに、数カ所でアクシデントが発生。やはりセーフティカーが導入されてしまう。

 これがどうにも、ふたりの勢いを削いでしまった感はあった。6周目のリスタート直後に13番手に浮上した佐藤は、引き続き前の車に迫っていくも、なかなか抜き切ることができない。9周目に入ってようやく12番手に上がるも、それ以上のポジションアップは果たせずに終わる。堀尾もまた、7周目に1台をかわすのがやっとだった。

 しかし、1台のペナルティによる降格もあり、最終的には佐藤が11位、堀尾が15位に。予選より順位を上げることはできたが、ともに入賞ならず不完全燃焼感を残すこととなった。一方、鳥羽は余裕のトップ発進を果たすも、3周目のS字で前を走る車両がスピンしていたから、たまらない。間一髪で接触は免れたものの、自らもスピンを喫し、ほぼ最後尾まで順位を落としてしまう。

 だが、直後のセーフティカーランで、大きく遅れを取ることがなかったのは不幸中の幸い。リスタート後にはクラス6番手とする。だが、7周目のヘアピンで、逆転を試みるもブレーキがロック。もはや、これまでかと思われたものの、鳥羽は折れなかった。仕切り直して残り3周を、完璧なオーバーテイクショーとした。最終ラップに差し掛かった段階では、まだ3番手だったものの、1コーナーで1台、そしてヘアピンで最後の1台をかわして、トップ返り咲きに成功!7勝目をマークして、ランキング2位との差も69ポイントにまで広げることとなった。

Race COMMENTS
#61 Driver Sato Takumi

「最後はちょっとタイヤがきつくなってしまい、前とも一定の距離となり、それほどごちゃごちゃやっていたわけではないのに、本当に最後は淡々と走るみたいな感じになってしまいました。もしかしたら今回で最後になるかもしれませんが、またチャンスを得られるよう、努力していきます」

#62 Driver Horio Fuma
「スタートがすべてだったのかな……、というところで。ミスしたわけではないんですが、後ろのスタートがすごく良くて、1コーナーまでに行かれてしまいました。もっと練習して、スタートを百発百中で決められるようにしないと。レース後半も、着いていくのがやっとでした。次戦SUGOは抜きにくいコースだと思うので、同じようにひとつのミスが後々すごく響いてくるので、精度をしっかり上げなくてはなりません。SUGOでのレース経験は少ないですが、得意なんですよ。頑張ります、そろそろ結果出したいので!」

#63 Driver Toriba Yutaka
「しんどかったです!ただ、スピンに巻き込まれはしましたが、当たらなかったんですよ。セーフティカーも出たので、大きく遅れずに済みましたし。でも、リスタート後は経験豊富な方がひとりいて、ブロックの位置が絶妙なんですよ。そのうちヘアピンでブレーキが遅れて、ロックアップしちゃって。今日はこれで終わっちゃうかなと思って、ストレート通った時に“ラスト2周”というのが見えて、その瞬間スイッチがピコンと入りました(笑)。危なかったけど、楽しいレースでしたよ。あと3大会は好きなコースばかりですし、最後は地元のもてぎですから、このままの感じで頑張っていきます!」

Director Reiji Hiraki
「今週、走り出しがあまり調子良くなくて、気温が高かったせいか、コンディションの変化に3人とも着いていけなかったな、という印象ではありました。ただ、その中でも、ちょっとずつアジャストしていって、ドライバーの方も合わせ込んでくれて、ステップは踏めたのかな、と思っています」

「鳥羽さんに関しては今週、着実にポイント取っていきましょうと話をしていたんですが、予選でトップになって、レース1はそのままスタートして、ゴールしてくれたという感じです。レース2は巻き込まれた後、ちょっと焦っていた感じもありました。ペース自体は速いから、もう少し上手く展開を組み立てていけば、もっとスムーズに上がっていけたはずなのに、とは思いましたね。チャンピオンシップもかなり有利になってきているので、もっと攻めていってほしいところです」

「堀尾くんはテストの段階から調子は悪くなくて、ただトップとのタイム差がある中で、どうやって詰めていこうかと、いろいろセットや走りを変えて、結果以上にいい感じでレベルアップできたように思います。次のSUGOが得意みたいなので、事前にテストもしますし、いい結果を残すことを期待します」

「佐藤くんは前回の鈴鹿が良かっただけに、今回とのギャップがかなり大きく感じます。コンディションの変化に対応しきれず、終わってしまったという印象ですね。いろいろ経験してもらって、これからのドライバーだと思うんですけれど。昨日はスタートを失敗して落ちてしまいましたが、今日は順調に順位を上げてくれたのは良かったと思います。次はSUGOなので、車としても相性はすごくいいので、みんなに期待しています!」

NEXT Race

 次回のFIA-F4は、また3週間後にスポーツランドSUGOで、9月17〜18日に開催予定です。そして、その前にこの週末、9月3〜4日にはホームコースである、モビリティリゾートもてぎでスーパー耐久の第5戦が開催されます。前回のオートポリスでは2勝目を挙げて、HELM MOTORSPORTSは、まさに絶好調!再びランキングのトップに立ったからには、このまま突っ走ります。皆さまには、今まで以上の応援、支援をお願いします。


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