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F1 ニュース

投稿日: 2023.12.30 07:05
更新日: 2023.12.29 08:40

【F1チームを支える人々:カラム・ニコラス/レッドブル】PUのシャシーへの統合を担当。20万人のフォロワーを持つ人気者

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F1 | 【F1チームを支える人々:カラム・ニコラス/レッドブル】PUのシャシーへの統合を担当。20万人のフォロワーを持つ人気者

 F1チームには多数の人々が関わり、さまざまな職種が存在する。この連載では、普段は注目を浴びる機会が少ないチームメンバーに焦点を当て、その人物の果たす役割と人となりを紹介していく。今回は、レッドブルのシニア・パワーユニット・アセンブリー・テクニシャンのカラム・ニコラスに焦点を当てた。

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 シーズンを圧倒的な強さで支配したレッドブルは、何度も何度も成功を喜ぶ瞬間を迎え、そのシーンは広く報道された。チームメンバーがピットボードとともに記念撮影をするのは習慣になり、さらにそれとは別に、それぞれのマシンのクルーで写真を撮る場面、チームメンバーがトロフィーとともに写真に収まる場面を目にすることも増えてきている。

2023年F1日本GP レッドブルのコンストラクターズタイトルを獲得を祝うマックス・フェルスタッペンとチームメンバーたち
2023年F1日本GP レッドブルのコンストラクターズタイトルを獲得を祝うマックス・フェルスタッペンとチームメンバーたち

 そういうシーンによく登場する人物のひとりが、レッドブルのシニア・パワーユニット・アセンブリー・テクニシャンのカラム・ニコラスだ。彼は『F1Mech』としてSNSで積極的な発信を行っており、インスタグラムのフォロワーは20万人近くに達している。今のF1がどれだけ大きな存在になり、コンストラクターとそのメンバーについて詳しく知りたいと思っているファンがどれほど増えているかが分かる。

カラム・ニコラス(レッドブルF1のシニア・パワーユニット・アセンブリー・テクニシャン)
カラム・ニコラス(レッドブルF1のシニア・パワーユニット・アセンブリー・テクニシャン)

 ニコラスが現職に就き、ファンの間でアイコン的存在になる前のキャリアを振り返ろう。彼は2009年にシルバーストンでピットレーン・ウォークを経験し、F1の魅力に取りつかれた。ガレージの中を覗き、マシンの作業を行うメンバーを見て、ピットストップ練習の様子に驚いたニコラスは、自分もいずれはチームの一員として働きたいと考えた。

 シルバーストンは彼にとって学習の面でも重要な場所になった。地元の自動車整備工場でメカニックとして働いたがリストラされ、ニコラスは、さらに上へとステップを踏むには、資格を取得する必要があると考えた。そうして彼は、シルバーストンのナショナル・カレッジ・フォー・モータースポーツに入学、さまざまなジュニアチームに自分の名前を知ってもらおうと努め、自分より若い学生たちに追いつくために、できるだけ早く実地経験を積みたいと考えた。

 ブリットカーの週末に、シルバーストンのパドックを歩いていると、小さなチームがホンダ・インテグラの作業を手伝わせてくれた。その経験により、ニコラスは他のチームにアプローチする機会を得て、GP3のステータス・グランプリで見習いとしての契約を結ぶことができた。

 ナンバー2メカニックのポジションまで昇進するなかで、ニコラスはチームのLMP2カーにも携わった。彼は、これまで参加したなかで最も素晴らしいレースとして、ル・マンを挙げている。

 その後、マルシャのデイブ・オニールからの要請で、ニコラスはF1へのステップアップを果たした。メカニックとして膨大な学習を積むことができたが、チームは2014年末に経済的な危機に陥り、彼は新たな職場を見つけるために、他のすべてのチームに履歴書を送った。

 フェラーリで面接した後、結局ニコラスは、2015年シーズンに向けて、レッドブルに加入することが決まった。ファクトリーでの準備を行う仕事からスタートしたが、わずか1週間で組織変更があり、サポートチームと協力してデモ走行のための作業を行うようになり、その後、レースチームで働くことになった。

2023年F1日本GP レッドブルのコンストラクターズタイトルを獲得を祝うマックス・フェルスタッペンとチームメンバーたち
2023年F1日本GP レッドブルのコンストラクターズタイトルを獲得を祝うマックス・フェルスタッペンとチームメンバーたち

 ニコラスはいま、レースおよびテスト用のパワーユニットの組み立てとサービスにおける責任を担い、ライフサイクルの監視も行っている。非常に複雑なF1カーにおいて、パワーユニットをシャシーに統合するためのシステムが、彼が受け持つ重要なエリアとなる。

 現代F1における多くの役職と同様に、彼の仕事はマシンの操作とパフォーマンスにおいて非常に重要なものだ。さらに彼は、ピットストップの速さでもトップのレッドブルにおいて、ピットストップクルーのガンマンという大事な役割も持っている。

 まだ30代半ばの若さで、複数の世界選手権に関わった経験を持つニコラスは、これからF1チーム内でさらにステップアップしていくだろう。そして、これまでの経験を生かして他の業界へと進出する可能性もありそうだ。

2023年F1ラスベガスGP シャキール・オニールとレッドブルのカラム・ニコラス(シニア・パワーユニット・アセンブリー・テクニシャン)
2023年F1ラスベガスGP シャキール・オニールとレッドブルのカラム・ニコラス(シニア・パワーユニット・アセンブリー・テクニシャン)


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