2024年F1第4戦日本GPで、レッドブル・レーシングは今季最初の大型アップグレードを導入した。F1i.comの技術分野担当ニコラス・カルペンティエルがこれを分析、マシン細部の画像も紹介する(全2回)。
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2023年秋の日本GPでの圧勝から半年後、マックス・フェルスタッペンは再び鈴鹿サーキットで勝利を収めた。レッドブル以外で最高成績を収めたカルロス・サインツのフェラーリに対するフェルスタッペンのリードは、20秒866だった。
昨年の鈴鹿でフェルスタッペンは、2位に入ったマクラーレンのランド・ノリスに19秒387の差をつけた。ほぼ同じタイム差だが、唯一の違いは、去年のノリスが2位だったのに対し、今年のサインツは3位。二人の間にセルジオ・ペレスが入ったことだった。こうしてレッドブルはフェルスタッペンと追撃者の間にペレスを差し込むことに成功し、開幕4戦で3回目のワンツーを遂げた。
初めての春開催で路面温度の上がった鈴鹿サーキットでは、多くのマシンがタイヤの劣化に苦しんだ。そんななか、ポールポジションからスタートしたフェルスタッペンは、乱気流に邪魔されることなくトップでレースをすることができ、アドバンテージはさらに増大した。フェルスタッペン自身のタイヤマネジメントの巧さ、そしてRB20のタイヤの持ちの良さも、勝利に貢献した。
フェルスタッペンはスタートタイヤにミディアムを選択(ミディアム/ミディアム/ハードのプラン)、これは路面温度の高さを思えば(最高40度まで上昇)、理想的なコンパウンドとは言えなかった。しかし上述したように乱流のないなかで周回を重ねたことで、同じミディアムを選択した他のドライバーよりも最初のスティントを延長できた。
ちなみに上位勢でミディアム新品を2セット残してレースに臨んだのは、レッドブルとフェラーリの4人のみ、その彼らが1~4位を占めた。
今回レッドブルは、上の写真に見られるように、主にエアインテークに大きな改良を施した。今季のRB20はサイドポンツーン、コクピット周りのデザインが、特に独創的だ。そして今回、ヘイロー下部にふたつの空気取り入れ口が追加された。1988年シーズンのベネトンB188に形状が似ている(2枚の比較写真の黄色矢印参照)。
サイドポッドおよびヘッドレストの後ろにあるエアインテークは維持されているなかで、今回このような新たな開口部が追加されたのは驚くべきことだ。レッドブルのチーフエンジニア、ポール・モナハンは、この新しいエアインテークの位置決めに際し、かなり多くの労力を費やしたと語る。
「空気の取り入れ口を追加する場合、圧力がほとんどかからない場所への設置は愚かというほかない。ラジエターの冷却が可能な限り効率的に行われるには、最も高い圧力が必要だからね。 それを考慮してエアインレットの変更を行った」
「この改良は、プライベートテストの直前にようやく完成した。パフォーマンスがわずかながら向上することが確認できたため、できるだけ早い実戦投入を推進した。改良パーツの一部はオーストラリアに送り、残りはここ日本で受け取った。それくらい、綱渡りのスケジュールだったよ」
(第2回に続く)