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F1 ニュース

投稿日: 2020.06.08 16:45
更新日: 2020.06.08 16:53

F1名ドライバー列伝(5)ミハエル・シューマッハー:不屈の精神と人間離れした速さ。フェラーリ黄金期を築いた絶対王者

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F1 | F1名ドライバー列伝(5)ミハエル・シューマッハー:不屈の精神と人間離れした速さ。フェラーリ黄金期を築いた絶対王者

 2020年はF1世界選手権にとって70周年にあたる。その歴史のなかで、33人のワールドチャンピオン、108人のグランプリウイナーが誕生、数々の偉大なるドライバーたちが興奮と感動をもたらしてきた。この企画では、英国ジャーナリストのChris Medlandが何人かの名ドライバーを紹介、彼らが強い印象を刻んだ瞬間を振り返る。

 今回紹介するのは、7度のF1チャンピオン、ミハエル・シューマッハーだ。1991年から2006年、2010年から2012年にF1で活動、1994年と1995年はベネトンで、2000年から2004年にはフェラーリで王座に就いた。7度のタイトル獲得回数とともに91回の優勝回数も、現時点でF1史上最多記録となっている。

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 勝利数やタイトル獲得数など、F1の記録を更新したミハエル・シューマッハーに関して、ひとつ見過ごされがちな事実がある。それは2度目のタイトルの後、5年かけて3度目をつかんだことだ。

 シューマッハーは31歳の時点で“わずか”2回しかタイトルを獲得していない。フェラーリで5連覇を成し遂げたのはそれより後になってからだ。セバスチャン・ベッテルは26歳の時に4度目の王座に就き、ルイス・ハミルトンは3度目のタイトル獲得を30歳で達成したことを考えれば、シューマッハーは比較的年をとってから偉業を成し遂げたのだということが分かる。

 シューマッハーがフェラーリで黄金時代を築くまでには数年を要した。しかし移籍後間もない1996年スペインGPで、両者が成功を収めることになるだろう兆しが見えた。

 ベネトンですでに成功を収めていたシューマッハーに、フェラーリは1979年のジョディ・シェクター以来のドライバーズ選手権獲得という期待をかけた。1995年にベネトンで速さを発揮し、チャンピオンになったシューマッハーは、翌1996年、とびぬけた速さがあるとは言えないフェラーリF310で戦わなければならなかった。そして彼は、その最強でないマシンで自分が特別なドライバーであることを証明することになる。

1996年当時のミハエル・シューマッハー(フェラーリ)
1996年当時のミハエル・シューマッハー(フェラーリ)

 序盤5戦は、完走したレースではすべて表彰台を獲得し、シューマッハーへの期待は高まっていた。しかし第6戦モナコでは、ポールポジションを獲得しながら、ウエットコンディションの決勝で開始早々にクラッシュし、リタイアを喫する。

 期待を裏切る形となったシューマッハーだが、その2週間後に名誉を挽回してみせた。バルセロナでのスペインGPで、予選3番手を獲得。当時圧倒的な強さを誇ったウイリアムズに乗るデイモン・ヒルには1秒近い差をつけられたものの、チームメイトのエディ・アーバインより0.8秒速いタイムを記録した。

■ドラマチックなフェラーリでの初優勝。雨中で他より1周3秒速く周回


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