ここまでの4戦では最大のパワーサーキットである、シルバーストンで行われた第4戦イギリスGP。パワーにも勝るメルセデスに対しては苦戦が予想され、実際レースでは予選ほどの大きな差ではなかったものの、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は先行する2台に追い付けない展開だった。しかし終盤、次々にタイヤバーストする波乱の展開のなか、2戦連続の2位表彰台を獲得した。
レース後の田辺豊治テクニカルディレクターはその結果を素直に喜びながらも、「状況自体は、この4戦で何も変化はない」と、依然メルセデスとの差は縮まっていないという見解だった。
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──今日のレース結果は、予想外でしたか。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):予選ではメルセデスの2台にフェルスタッペンが大きく離され、さらに他の3台はQ2落ちを喫しました。そういう厳しい結果でしたが、レースでは何とか4台すべてが入賞することを目指しました。
ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)のリタイアは残念でしたが、残りの3台は全員が順位を上げてチェッカーを受けることができた。レースでのメルセデスとの差も依然として小さくなかったですが、それなりの速さでは走れていたと思います。
最後の最後にメルセデス2台が、パンクチャーに見舞われました。それ以前からタイヤが限界に来ていたことは、彼らもわかっていたはずです。そこにフェルスタッペンがプレッシャーをかけ続けたことが、ああいう展開に繋がったのかなとも思っています。ただ絶対値としての差は、まだまだ大きいことは確かです。
──終盤にフェルスタッペンが最速タイムを狙った周回は、(パワーユニットは)予選モードだったのでしょうか。
田辺TD:最後の1周は、そのレベルで走りました。
──シルバーストンは、レッドブル・ホンダにとってはさらに不利なコースという予想でした。それにもかかわらずレースで2位表彰台を獲得できたのは、マシンパッケージの進化を示すものと言えるのでしょうか。
田辺TD:予選、レースのタイム差を見ると、メルセデスに対して置いていかれているのは事実です。確かにレースでは、予選ほどのギャップはない。しかし状況自体は、この4戦で何も変化はないですね。
──3連戦で時間的な余裕はないと思いますが、次戦までに何か状況に変化を起こすことは可能でしょうか。
田辺TD:起こすべく、努力をして臨みたいと思います。ただライバルたちも当然同じ努力をしていますから、どうなるかは実際に走ってみないとわからないですね。そもそもF1の世界は、昨日の今日で力関係が激変することはありません。もちろん向上は目指しますが、難しいことだと思っています。