シーズン前半最終戦の第11戦ハンガリーGPで、アルファタウリ・ホンダはピエール・ガスリーが6位、角田裕毅が7位チェッカー。第6戦アゼルバイジャンGP以来となる今季2度目のダブル入賞を果たした(2位表彰台のセバスチャン・ベッテルの失格裁定で、5、6位に繰り上がり)。
角田は初日に満足に走れなかったことが響き予選16番手が精一杯だったが、レースではきっちりその苦境をはね返して見せた。初日のクラッシュについて角田自身は、「ガスリーに後れを取っていたので頑張った」とコメントしていたが、ホンダF1の本橋正充チーフエンジニアは、「それもあったかもしれませんが、最適なセットアップも見つかっていなかった。チームがドライバーの要求にどう応えるかを詰めていくことも必要だ」と、角田だけの非ではないという見方を示した。
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──スタート直後の多重事故は、ガスリーにはちょっと不運な、逆に角田選手にはラッキーな展開だったのではないでしょうか?
本橋正充チーフエンジニア(以下、本橋CE):どうでしょう。結果的にはそうなりましたが、ガスリーもスタート直後の混乱をうまく避けてくれました。その点は、よかったと思っています。一方の角田選手は、かなりうまく抜けて行った。あとでオンボード映像を見たのですが、本当にうまかった。あれで一気にポジションをあげてくれました。
──角田選手は早めのタイヤ交換で、かなり長いスティントを走り続けました。
本橋CE:あれだけの周回数、タイヤを持たせるのは本当にしんどかったと思います。タイヤと同時に燃料のマネージメントもしないといけない。しかし燃費走行をしすぎると、タイヤが冷えてしまう。そういう状況で、しっかり走ってくれたと思いますね。この週末は車体バランスをうまくまとめ切れていなかったのですが、レースでは他車との状況も含めてうまく走っていましたね。
──燃費的にも、かなりギリギリだった?
本橋CE:そうですね。最初からギリギリを狙っていったということもあります。1周の距離が短いこともあって、(周回遅れになって)1周少なく済む可能性もありました。タイヤマネージメントも大変ですから、それを見越した観点から燃料は軽いに越したことはありません。実際のレースはウエットで始まり、1周目に多重事故が起きたことで、状況が大きく変わった。ですので多くのチームが、事前の戦略通りの走りはできていなかったはずです。いずれにしても、燃費は厳しいレースでした。
──結果的にはドライバーふたりともかなりバラけた周回が多かったわけですが、当初はDRSトレインのなかで走り続けることを想定していたのですか?
本橋CE:はい。ですのでタイヤを守らないといけない、あるいは前後のクルマのペースにつられがちになる。そんなことを予想していましたが、実際にはフリーエアで走れることが多くて、戦略的なズレは出てきていましたね。