■評価 7/10:予選でチームメイトと接触したラッセル
ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選12番手/決勝3位
エステバン・オコン(アルピーヌ):予選7番手/決勝8位
ランス・ストロール(アストンマーティン):予選6番手/決勝6位
ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、予選では悲惨だったものの、決勝で見事に挽回した。12番グリッドからスタートし、ターン1のランオフエリアを利用したこともあって、1周目に大きく順位を上げた。それから一歩ずつ上位へと近づいていき、ハミルトンの後ろまで追いつき、表彰台に上った。ただ、ラッセルの予選はチームと自分自身を失望させるものだった。Q2ではタイヤにうまく熱を入れることができず、良いラップを刻めなかった。さらに、チームのコミュニケーション不足によって、ラッセルはストレートでハミルトンと接触したのだ。
モナコで見事に表彰台を獲得したエステバン・オコン(アルピーヌ)は、スペインでも堅実な週末を過ごした。ただ、予選ではピエール・ガスリーにかなわず、完璧とはいえなかった。そのため、決勝でランス・ストロールの後ろからスタートすることになり、また、タイヤマネジメントがうまくいかなかったことで、8位が精いっぱいだった。フェルナンド・アロンソに対するディフェンスは規則違反に問われなかったが、ぎりぎりのものだった。
ランス・ストロール(アストンマーティン)は今回初めて、アロンソに予選でも決勝でも勝つことができた。ただ、予選に関しては、アロンソがQ1でマシンにダメージを負ったためといっていいだろう。ストロールのマシンには、2番手が可能なポテンシャルがあったが、結果は6番手。レースではラッセルとペレスを後ろにとどめることができなかった。ガスリーがグリッド降格されたことと、ノリスが1コーナーのインシデントで後退したことにより、ストロールは決勝でも6位を獲得。これは堅実な結果ではあるが、アストンマーティンがコンストラクターズ選手権で2位を維持するために十分なものではなかった。
■評価 6/10:アロンソが母国で珍しくミス
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン):予選9番手/決勝7位
セルジオ・ペレス(レッドブル):予選11番手/決勝4位
ランド・ノリス(マクラーレン):予選3番手/決勝17位
ピエール・ガスリー(アルピーヌ):予選4番手/決勝10位
オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選10番手/決勝13位
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):予選8番手/決勝15位
ニック・デ・フリース(アルファタウリ):予選14番手/決勝14位
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):予選18番手/決勝16位
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、ホームグランプリの予選Q1の序盤に珍しくミスを犯し、それが日曜のレースにまで影響した。2番グリッドに楽に手が届いたと思われるが、AMR23のフロアを破損させたことで、予選9番手に終わった。レースでは、タイヤに良い感触を持つことができず、序盤は守りのレースをしなければならなかった。最後のタイヤセットで速さを取り戻し、いくつか順位を上げることができたが、チームメイトの後ろに追いついた後は、「そもそも予選でマシンを壊した僕が悪かった」と、オーバーテイクしないことを選び、最後の約10周、ポジションキープで走った。
低調だったモナコに続き、セルジオ・ペレス(レッドブル)は、スペインでも忘れてしまいたい週末を過ごした。少なくとも4位を獲得したとはいえ、優勝したチームメイトから約36秒遅れてのフィニッシュとなったのだ。
予選Q2序盤でのミスによりプレッシャーにさらされたペレスは、その後、良いラップをまとめることができずに、Q3進出を逃した。決勝はラッセルより前のグリッドからスタートしながら、メルセデス2台の後ろでレースを終えることになった。この結果から、ペレスのレースペースが特に優れていなかったことは明らかだ。
ランド・ノリス(マクラーレン)が、スタート直後の1コーナーでルーキーのようなミスをしたのは残念だった。フェルスタッペンの動きに気付かず、ハミルトンに追突、後方のグループに影響を与えた。予選でのノリスは最高のパフォーマンスを発揮し、マシンの力以上のグリッドをつかみ、不安定なコンディションでの強さを改めて示した。決勝1周目のインシデントにより、マシン修復のためピットインしなければならず、後方を走行。最終スティントでペースが向上し、3台をオーバーテイクした。
ピエール・ガスリー(アルピーヌ)にとって予選のパフォーマンスは週末のハイライトだったが、それを生かすことができなかった。素晴らしい予選ラップで、2番手からわずか0.082秒差の4番手を獲得。しかし予選中にフェルスタッペンとサインツ相手に妨害行為を行ったことで、ふたつのペナルティを受け、グリッドを降格された。ペナルティポイント上、出場停止に近い状態であるにもかかわらず、ガスリーは周囲で起きていることに十分な注意を払っていない。他者妨害についてはチームに責任の一端はあるものの、レーシングライン上でスロー走行しているときにはミラーをもっとしっかり確認するべきだ。決勝ではスタートで出遅れてさらにポジションを落とし、11位フィニッシュにとどまったが、角田のペナルティによりポイント圏内に繰り上がった。
オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、予選で自己最高の結果を出せる可能性があったが、路面が湿っていたターン10でミスをし、ワイドになったことで、3列目グリッドをつかむことができなかった。レースでは、ストレートで遅いマクラーレンで戦わなければならず、ペース不足のため13位に終わった。
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)は、予選Q3に進出するという素晴らしい仕事をした。しかし、彼自身、決勝で苦労することは予想していた。実際に、マシンのペースがよくなく、タイヤのデグラデーションが非常に高いことが、ポイント争いのチャンスを奪った。ターン1に向けて何度か素晴らしい動きを見せたものの、ヒュルケンベルグは最終的に15位どまりとなった。
ニック・デ・フリース(アルファタウリ)は、予選Q1において、ターン10で2回スピンしたことで、Q2を新品タイヤなしに戦わなければならなかったが、それでもチームメイトを破った。決勝では1周目がうまくいかなかったことから、ポイント争いから脱落、14位に終わった。
バルセロナはウイリアムズとの相性が良くないサーキットだったが、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)は、ベストを尽くしたといえよう。決勝では何度か闘争心あふれる動きを見せ、10チーム中最も遅いマシンに乗りながら、16位という、マシンの本来の力以上の結果を出した。
■評価 5/10:ボッタス、土曜の低迷から最後まで抜け出せず
バルテリ・ボッタス(アルファロメオ):予選16番手/決勝19位
金曜日に輝きを見せたバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)だが、その後は厳しい週末となった。FP3では誤ったセットアップの影響を受け、予選Q1の最初のラップでスピンを喫した。このラップをうまくまとめていれば、楽にQ2に進出できたはずだった。決勝では、1周目にノリスのクラッシュによるデブリを踏んだことで、ポジションを上げるチャンスが奪われた。ダメージを負ったフロアで後方を走り続けるしかなくなったのだ。
■評価 4/10:精彩を欠いたルクレール
シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選19番手/決勝11位
ケビン・マグヌッセン(ハース):予選17番手/決勝18位
ローガン・サージェント(ウイリアムズ):予選20番手/決勝20位
シャルル・ルクレール(フェラーリ)の採点については迷ったが、土曜日に彼のSF-23の何かが壊れていたのだと判断せざるを得ない。それほど彼はペースを失っていた。バルセロナでサインツよりも0.668秒も遅いという事態が、トラブルなしに起こるはずがない。ただ、週末の初めからいくぶん不調に見え、士気が低下しているように思えたのは確かだ。レースでは、最初のスティントでは苦戦した後、改善していったが、入賞に一歩及ばなかった。
今回もケビン・マグヌッセン(ハース)は予選でチームメイトほどのペースを発揮することができなかった。ヒュルケンベルグはQ3に進んだのに対し、マグヌッセンはQ1で敗退したのだ。レースでも状況は好転せず、ポジションを守るために見事な戦いを見せたが、18位にとどまった。
ローガン・サージェント(ウイリアムズ)は、予選でも決勝でも最下位だった。予選ではチームメイトとの差は0.6秒にもおよび、レースではタイヤの消耗が早すぎて、ポジションを上げることができずに終わった。彼にとって、シーズンここまでで、最も低調な週末だった。