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海外レース他 ニュース

投稿日: 2024.03.23 12:21
更新日: 2024.03.23 12:22

【2024年フォーミュラEをイチから学ぶ/前編】東京E-Prix観戦で押さえたい週末の流れと決勝レースのポイント

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海外レース他 | 【2024年フォーミュラEをイチから学ぶ/前編】東京E-Prix観戦で押さえたい週末の流れと決勝レースのポイント

 同日にFP2と予選を終えるフォーミュラEの決勝レースは予選終了から少なくとも3時間後に行われる。決勝は事前に決められた周回数と追加ラップを合わせたレース距離(最大レース時間は75分間)を競う。

 フォーミュラEのレースでは、他のカテゴリーでスタート前に行われるフォーメーションラップを行わず、あらかじめマシンを停止させていたダミーグリッドから本グリッドへと移動することでスタートまでの準備を終える。このタイミングで、各ドライバーはタイヤを空転させるバーンアウトを行い、タイヤの温度を上げることが多い。

 レースはスタンディングスタートを基本として行われる。決勝レースでの各マシンの最大総電力は300kwと定められているが、開始から2周を終えた各ドライバーは最大総電力を350kwに引き上げることができる“アタックモード”の使用が可能となる。

【2024年フォーミュラEをイチから学ぶ】東京E-Prix観戦で押さえたい、週末の流れと決勝レースのポイント
2023/24年フォーミュラE第1戦メキシコE-Prix 決勝レーススタート

 このアタックモードは、特定のコーナーのレーシングラインからアウト側に設けられた『アクティベーションゾーン』を通過することで、一定時間マシンの最大総電力を350kwに引き上げることができるものだ。なお、フォーミュラEでは各ドライバーがレース中にアタックモードを2度使用することが義務付けられており、アタックモードの継続時間は合計8分間を分割する2分間/6分間、4分間/4分間、6分間/2分間という3通りから選択することになる。

 ここでポイントになるのは、アタックモードはパワーを上げることができる一方で、使用する際にはコースアウト側に設けられたアクティベートゾーンを通過する際に必ずレコードラインから外れる必要があるため、順位を落とすリスクがあることだ。そのため、フォーミュラEのアタックモードは、ライバルに先行して使用したり、逆にレース終盤まで温存したりと、各ドライバーによって使用タイミングが異なるため、戦略の幅を生む大きな要因のひとつになっている。

【2024年フォーミュラEをイチから学ぶ】東京E-Prix観戦で押さえたい、週末の流れと決勝レースのポイント
2023/24年フォーミュラE第3戦ディルイーヤE-Prix アタックモードを使用するユアン・ダルバラ(マセラティMSGレーシング)とレコードラインを走るパスカル・ウェーレイン(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)

 また、もうひとつのポイントになるのはレース途中での周回数増加だ。道幅が狭く、両サイドが壁に囲まれた市街地コースがメインサーキットになるフォーミュラEでは、セーフティカー(SC)やフルコースイエロー(FCY)の導入機会が多い。そのため、レース80%の周回を終えるまでに導入されたSCやFCYの総計時間を、FIA国際自動車連盟が事前に定めた基準ラップタイムを基に周回数に変換し、元のレース距離終了の3周前までに“追加周回数”としてレースに加算される。

 ガソリン燃料ではなく電力をエネルギー源とするフォーミュラEでは燃費ならぬ“電費”が重要な戦いの鍵を握る指標となる。その“電費”を稼ぐためには、ライバルらと接近戦のバトルをしながらも、ブレーキング時の回生エネルギーを利用してエネルギーをセーブする必要がある。そのなかで、使用可能なエネルギーをすべて使い切って順位を競うため、最終的な追加周回数に合わせてエネルギーをマネージメントしつつレースを戦わなければならないのだ。

 このようにしてフォーミュラEに参戦する各ドライバーやチームは、多くのバトルを繰り広げながら、アタックモードの使用タイミングや電力消費に戦略を凝らし、残るエネルギーのすべてを使い切ってレースを戦っていく。今回の東京E-Prixが初めて、もしくはひさびさのフォーミュラE観戦となるファンは、これらの流れやポイントに着目しながら観戦してみてほしい。今回のフォーミュラEレースウイークの紹介はここまで。次回はマシン、パワーユニット、タイヤといった技術面を紹介していきたい。

【2024年フォーミュラEをイチから学ぶ】東京E-Prix観戦で押さえたい、週末の流れと決勝レースのポイント
2023/24年フォーミュラE第3戦ディルイーヤE-Prix 上位集団のポジション争い


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