ここでキスはターン5のアウト側から大胆な動きを試みたものの、彼女のイベコを仕留めることはできず。行き場を失った真紅のマンはシケインを横切り、ハルムより先にコース復帰してしまう。これでアドバンテージを取られた王者には5秒加算ペナルティが課されたものの、判定時点ですでにステフェン・ファース(タンクプール24レーシング/スカニア)とルーカス・ハーンを追い抜き首位に立っており、リードを10秒に広げてまずは土曜完全制圧を成し遂げた。

 このヒートでキスの両隣で総合表彰台を分け合ったハーン親子は、これが伏線になったか。明けた日曜の予選で、まずは息子のルーカスがクラス最速のタイムを記録。一方、総合ではQ1~Q3のすべてでキスが首位に立ち、いまだ誰にも最前列グリッドを明け渡さない速さを維持していく。

 そのままレース3でも勝利を飾ったキスの背後では、レンツを抜き去った父ヨッヘンが2位でチェッカーを受け、息子ルーカスは8位でリバースポールを確保するなど、親子ともども気力充分のドライビングで週末最後のヒートに向けた準備を整える。

 そのレース4スタートでジョン・ニューウェル(NWTモータースポーツ/マン)の挑戦を退けたルーカスが首位を維持すると、序盤のうちに父ヨッヘンがその背後にまで浮上。さらにスペイン出身アルバセテもハーン親子の戦略に加担し、中盤3周にわたってキスを背後に抑え込む力走を見せる。

 この間、息子の前に出てスパートを開始した父がリードを広げ、背後から迫るアルバセテとキスを必死で抑え切る役割を演じたルーカスが完璧なサポート役を果たし、ハーン親子が待望のワン・ツー・フィニッシュを達成。2024年シーズンで初めて、キスは表彰台のトップに立つことができず、これで3戦連続グランドスラムの記録を逃す結果となった。

 続くFIA ETRCの2024年シーズン第4戦は、欧州トラックレーシングの“聖地”とも称されるドイツのニュルブルクリンクにて7月13日~14日に争われる。

レース3でも勝利を飾ったキスの背後では、父ヨッヘンが2位でチェッカーを受け、息子ルーカスは8位でリバースポールを確保する
3戦連続”グランドスラム”の新記録に向け、王者キスがレース3まで制覇してあとひとつに迫る
首位の父に対し背後で”防御壁”を務めた息子が迫りくるチャンピオンを抑え切り見事に親子ダブル表彰台を完成させた

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