シーズン2勝目にここで手を届かせることができなかったのが悔やまれるものの、琢磨がトップコンテンダーであることは誰もが認めるところとなった。ASのエンジニアリング強化も予想以上に早く効果を発揮しており、琢磨はどんなコースに行っても上位で争う、あるいはそれが可能と思わせるパフォーマンスを見せた。
ただ、あまりにも多くの不運が琢磨に襲い掛かった。アイオワでのホイールトラブル、トロントでのイエローのタイミング、ポコノでのウイングトラブル、ゲートウェイでのもらい事故、ワトキンスグレンではウエイストゲートトラブル。ソノマはタイヤ、さらにはマシントラブルで、17戦中に15位以下が9回もあった。
それでも琢磨のランキングは8位で自己ベストとなった。実は年間ランキングでのトップ10入りも今回が初めてだ。それがなったのはダブルポイントのインディ500優勝があったことと、それを含む4回のトップ5フィニッシュ、2回のポールポジションといった好パフォーマンスがあったからだった。

ちゃんとしたマシンがあれば優勝を争える。琢磨は8シーズン目にして本当の実力をアメリカに知らしめた。
しかし、琢磨はインディ500を共に制したASを1シーズン限りで離れることになった。ASがエンジンをシボレーへとスイッチする話を検討したため、ホンダで走らねければならない琢磨は他チームを探すしかなくなった。結局ASはホンダで2018年以降も戦うことを決めるのだが、その時点までで琢磨はレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)への復帰を決めていたのだった。

RLLの躍進は目覚ましい。この3シーズンほど、ホンダ勢の中で最も安定した高パフォーマンスを見せてきているのがグラハム・レイホールとRLLRなのだ。彼の今シーズンのランキングは6位。ホンダ勢では3位のスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)に次ぐポジションで、アンドレッティ・オートスポート勢のアレクサンダー・ロッシ、琢磨、ハンター-レイの上をいった。
2カーへの体制拡大にはシーズン中から取り組んでいるので、琢磨用エンジニア及びクルーにも精鋭が集められることを期待したい。

