ECRは彼女のために佐藤琢磨のロングビーチ優勝を支えたベテラン・エンジニアのドン・ハリデイを雇い入れた。ダニカは徐々にだか確実にマシンに慣れ、インディのコースを走る感覚を取り戻していった。

 そして迎えた予選、ダニカは3度のインディ500優勝を誇るエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)よりひとつ、4度のシリーズ・タイトル獲得とインディ500での1勝を記録しているスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)よりふたつ前のスターティングポジションを掴んだ。

ポールデイのアテンプトに向かうダニカ

 ガナッシで走ることになっていたら、ディクソンのチームメイトのエド・ジョーンズのように苦戦を強いられていたかもしれない。彼は昨年3位フィニッシュしたドライバーだが、今年の予選順位は29位と後方だった。

「予選アタックは230m以上のスピードを出して走るものだけれど、退屈なものになればいい。そう言ってきて、実際にそうなった。ありがたいことと思う」

「スピードが上がれば上がるほど、ダウンフォースをどれぐらいつけるかなど、マシンのバランスを取るのが難しくなる。繊細なセッティングが必要。それをエンジニアのドンがキッチリやってくれた。おかげでマシンは本当に安定していた」

「彼も私もパイロットだから、飛ぶ時はいつも緊急事態に備える。レーシングカーの中でも同じことをやっている。アンダーステアやオーバーステアに常に備えている。幸運なことに、アタックはとても良いものにできた。そして今、予選が終わってホッとしている。実は結構緊張していたから」とダニカは語った。

 残すのはレースだけになった。彼女のキャリア最後のレースだ。ダニカはどんな意気込みでスタートに臨むのだろうか。

「まだ自分の考えはまとまっていない。あと1週間したらすべて終了。そういう考えが私の頭をよぎったこともあったけれど、まだ深く考えることはしていない。でも、引退後にまたレースがしたくなることはないと思う」

「期待に応えられない時に覚える不快感が本当に苦手だから。もちろん、プレッシャーを乗り越えていい仕事ができたとき、忘れられない感激を味わうことができるわけだけれど……。確かに、レースをやめても、懐かしく感じること、また体験したいと思うことはあると思う。でも、あの不快感だけは、もう私の人生には必要ない」と予選を終えた直後のダニカは語った。

予選7番手と好グリッドから引退レースに挑むダニカ

月曜日のレース・モードでのプラクティス、ダニカは69周を走り込み、222.926mphのベストで19番手だった。トップはセージ・カラム(ドレイヤー&レインボールド・レーシング/シボレー)の226.461mph。

 彼女の2人のチームメイトたちは、エド・カーペンターが223.573mphで14番手で、スペンサー・ピゴットが222.076mphで27番手。ドラフティングをどれだけ利用したかがスピードに大きく影響するため、ベストラップだけで仕上がり具合を判断することはできない。トラフィックの中でどれだけマシンが安定し、スリップストリームを使って前を走るマシンをパスできたか、そこが重要だ。

 今年のエアロパッケージでは去年よりオーバーテイクが難しくなっていると言われる。去年を知らないダニカには、それが有利に働く……かもしれない。

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