「その後、予想どおりにチーム側がインフラや研究開発に費やされるコストに音を上げ始め、ついにはシリーズから脱落し始めると、その後はゲームのように次々とピースが抜けていき、最後には崩れ落ちる『ジェンガ』のような様相だった」

 しかしゴウはこのスーパーツーリング時代こそ、現在に繋がる成功への大きな学びがあった時代だとも指摘する。

「お金を無駄にしない方法や、TV視聴者やサーキットの観客が見たいものを本当に理解する方法について、大きな学びがあった。我々は多くの調査やリサーチを行い、巨額の費用が投じられたエンジンにも着目した」

「グランドスタンドにいる誰もが、エンジン内部の働きなど気にしていない。ギヤボックスがどうか、サスペンションの構成がどうか、電子機器がどう働くか、マシンとピットでどんなテレメトリーが作動しているか、その存在そのものを気にしてなどいないんだ」

「ファンが見たがっているのはハードな接近戦だ。ときにはコンタクトを伴うような闘志を感じる種類のね。それを実現し、不要なコストを取り除けば成功への方程式が完成する。真に面白く、迫力あるモータースポーツを提供したければ、“エンジニアリング・マスターベーション”を取り除かなければならない。それが我々の仕事だ」

 さらにゴウは、そうした技術的要素に加えてコスト削減にも貢献しつつ、トラック上のドライバーがより魅力的なレースを戦う手助けをする方法として、テレメトリーの禁止を例に挙げている。

「BTCCは技術的な演習の場ではない。NGTCからロードカーに還元できる技術はないが、これは世界のシリーズを見渡しても非常に稀な状況になっている。なぜ、人々はそんなに技術的な方向へ進みたがるのだろう。スーパーツーリングは本当にあらゆる分野で無駄遣いが散見された」

「なぜ、マシンとピットのリアルタイム・テレメトリーが必要なんだ? ドライバーに情報を提供しすぎると、彼らは自らの経験に基づいてではなくエンジニアの指示によってドライブすることになる」

「BTCCではテレメトリーを許可していない。ドライバー自身が周囲のレースを理解し、数値の情報に基づいてブレーキやタイヤ温度などに対処する必要もない。感覚を頼りに、ただ周りのライバルたちに対峙することになるんだ。それこそが、激しい競争を演出する方法だと考えている」

BTCC復活の立役者となったTOCAのアラン・ゴウ。ポスト・コロナ時代にも「新たな施策を打ち出していく」と語る
現在のNGTC規定ではFFとFRが混走するなど、多様性を実現する共通パーツ規定も隆盛を支える

本日のレースクイーン

優羽ゆうは
2025年 / スーパー耐久
LOVEDRIVE RACING
  • auto sport ch by autosport web

    FORMATION LAP Produced by autosport

    トランポドライバーの超絶技【最難関は最初にやってくる】FORMATION LAP Produced by auto sport

  • auto sport

    auto sport 2026年1月号 No.1615

    ネクスト・フォーミュラ 2026
    F1からカートまで
    “次世代シングルシーター”に胸騒ぎ

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円