これでトップチェッカーをくぐり、タイトル戦線復帰に向けまずは土曜先勝……と思われたロッシに対しても、このレース「ふたつ目の事件」が襲い掛かり、コースの『トラックリミット違反』とシグナルグリーン時の『ジャンプスタート』により、暫定リザルトに対し45秒加算のタイムペナルティが課され、18位にまで後退する。
さらに、2位にいたカナピノと僚友のベルナルド・レイバー、ロッシの僚友を務める“スピードスター”ことジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラSTC2000)、それにダミアン・フィネンチ(ルノー・フルーエンスGT)ら4名にも『ジャンプスタート』ペナルティの対象となることが宣告され、最終的に5位でフィニッシュラインを通過したビビアンが今季2勝目を飾る結果に。
続く2位にも漁夫の利を得た2冠王者ファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックSTC2000)が入り、カナピノがなんとか3位に留まる形となった。
明けた日曜午前8時55分からの“フルタンクテスト”では、マティアス・ミラ、ペーニャ、そしてフィネンチとルノースポール・カストロール・チームがワン・ツー・スリー・フォーメーションを完成させ、迎えた午前11時50分からの最終レース。40分+1ラップの勝負に向け、前日勝者ビビアンのトヨタと、アルドゥソのホンダがフロントロウに並んでレースが始まると、オープニングラップを終えた2周目突入のホームストレートで、シボレーのカナピノが早くもホンダを捉え2番手に浮上する。
勢いそのままに“プッシュ・トゥ・パス”を有効活用したカナピノは、続くラップで首位ビビアンも捉えてトップへ。前戦でサッシャ・フェネストラズとペアを組んだサンテロのカローラも背後から追随し、終盤に向けては10番グリッドから力強いレースペースでジリジリとポジションを回復したペーニャのルノーが3番手にまで上がってくる。
チェッカーを目前に幾度も首位に仕掛けた2番手サンテロだったが、わずか0.803秒差でシボレー攻略は叶わず。カナピノがシーズン3勝目、キャリア通算25勝目を挙げ、トヨタ、ルノーの3車種が表彰台を分け合う結果となった。
一方、18番手から追い上げを見せたロッシだったが、トップ10圏内進出はならず。この結果ペーニャが155点でポイントリーダーの座に留まり、カナピノが154点と首位に肉薄。以下、サンテロが113点、ロッシとアルドゥソが109点で並ぶオーダーとなった。
続くSTC2000第10戦は、10月9~10日の週末にサンタフェ州ロサリオに位置する伝説のドライバー名を冠したトラック、アウトドローモ・ファン-マニュエル・ファンジオでの開催が予定されている。