しかしファイナルラップのターン2で、アルミローラのマスタングにヒットされたパストラーナのカムリは、トップ10圏内を争った奮闘もむなしくスピンモードへ。そのままラーソンの右リヤに激突し、錐揉み状態の5号車カマロZL1は全開のままウォールの餌食に。
その背後では、トップスピードで混沌に陥れられたブッシュやケセロウスキーに、ハムリンやウォレスJr.らが煙を上げ、ライアン・ブレイニーとオースティン・シンドリック(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)らも火花が飛び散らせながら優勝争いから脱落。
これでコーションの指示が出されたものの、その発動直前にラインを横切ったのは、3番手に浮上したクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)の「タイムリーなプッシュ」を受けたステンハウスJr.で、自身2017年以来、実に199戦ぶりとなる勝利を手にし、所属するJTGドアティにとっても2014年のワトキンスグレン以来、266戦ぶりのビクトリーレーンとなった。
「なんてこった、信じられないよ! ここは2017年に僕が最後に勝った場所(デイトナ・サマーレース)でもあるんだ」と2011年のトレバー・ベイン以来、シングルカーチームでこの『グレート・アメリカン・レース』を制覇したステンハウスJr.。「昨年は勝利に近づく数回のショットがあったが、最終的には足りなかった。大変なシーズンだったが、今季ついにこの『デイトナ500』でやり遂げたんだ!」
土曜に同じく開催された2023年のNASCARエクスフィニティ・シリーズ開幕戦『Beef. It’s What’s for Dinner. 300』でもオーバータイムの混乱によるビデオ判定が実施され、ジャスティン・オールゲイアー(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)や、ジョン・ハンター・ネメチェク(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタGRスープラ)らを退けたオースティン・ヒル(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)が2年連続開幕勝利を達成。
そして今季よりNASCARクラフツマン・トラック・シリーズと名称を新たにし、実に11年ぶりにデイトナで争われた開幕戦は、金曜雨絡みの短縮決着でこちらも開幕連覇となったゼイン・スミス(フロントロウ・モータースポーツ/フォードF-150)が勝利を挙げ、今季シングルカー体制に刷新した服部茂章率いるハットリ・レーシング・エンタープライズ(HRE)は、16号車タイラー・アンクラム(トヨタ・タンドラTRD-Pro)が7位フィニッシュの滑り出しを見せている。